審査員のコメント
今回の受験者ののべ人数は16人で、かなりの数でしたが、1 人で受験したのは3件だけで、2人組が5件、3人組が1件あっ たので、受験件数としては合計で9件でした。
 ところで、ふつうよく言われているのは、古代の摩擦発火法は 小学生には難しいということです。それでもヒモギリ式なら小学 生にも出来ると言われています。またユミギリ式も良い道具を使 って練習を重ねれば、小学生にも出来ないことはないと言われて います。しかしキリモミ式だけは小学生には無理だというのが常 識になっています。
 ところが、驚いたことに新磯小学校ではヒモギリ式・ユミギリ 式の他にキリモミ式にも挑戦したのです。そして練習を重ね、全 体のレベルはかなり高度なところまで達していました。それは指 導者が優れていたことと、練習にかなりの期間をかけて、かなり の回数を重ねたからと思われます。
 それにしても受験件数に比べて合格件数が少なかったのは、お そらく発火具があまり良いものとは言えなかったことでしょう。 審査員の見たところ、もし発火具の良いものを使用したならば全 員が合格したのではないかということです。その点、残念といえ ばいえないこともありませんが、考えようによっては、こうした 挫折はある程度は体験した方がよいともいえます。最初から全て うまく行くというのは、将来のことを考えるとかえって心配の面 もあります。
 道具の主な欠陥はヒキリ棒をもっと細くすること、今回使用の 棒の直径を2〜3割細くすること。また発火弓が小さすぎるよう で、長さを少なくとも50〜60cmにし、弦はなめし革にするか、あ るいは柔らかい木綿縄に変えるかした方がいいでしょう。
 またキリモミ式のヒキリギネも先端の太さ 8.5〜9 mm、長さは 70 cm、くらいにすると小学生にもやりやすくなるでしょう。