担当審査員のコメント
今回の会場になった福島県石川町の干五沢ダム・レークサイ
ドキャンプ場は標高500メートルの高原にあり、当日はかなり
気温が低く肌寒い一日でした。前夜から朝までの雨で湿度も
高く、受験者にとってはあまり良いコンディションではなかっ
たようです。今回の受験者はほぼ全員が福島県平田村の環境教育グ
ループ「たけやま森の学校」(国際火遊び学会東北支部を兼ね
る)で製作した発火具を使用していました。平田村産の杉の火
きり板は軟らかくキリモミ式には最適で、和光大学でも使用し
ています。ただ、ヒモギリ、弓ギリのハンドピースはちょっと
軟らかく磨耗しやすい材質だったようで、改良の余地がありま
す。弓ギリ式で残念ながら不合格となった学校法人石川高校考
古学サークルの山内祥行君やその他の人の失敗の原因は、弓ギ
リのゆるみの調節ができていなかったことと、火種を麻繊維で
包む技術がまだ稚拙で、振り回す時に火種が隙間からこぼれ落
ちてしまうことでしょうか。性能の良い発火具を作ること、早
く確実に火種を作ること、火種を炎にすることは、古代発火技
術の三本柱です。炎にする技術も磨いてほしいと思います。
2部門で2級合格した宗像哲也さんは「たけやま森の学校」
の事務局長で、福島県内各地で火起こしの体験学習を行なって
います。今後の活躍と、来年の1級合格を期待しています。
(古代発火法検定協会理事・審査員:関根秀樹)