第 16 回 検 定 が 無 事 終 了

   第16回古代発火法技能検定は7月7日(土), 11:00から慶応
義塾普通部校舎で実施されました。今回の検定は中学生だけが
多数受験するという、とてもめずらしいケースでした。
 ふつう古代発火法は腕力とスタミナが不可欠と思われ、中学
生には難しいと考えられているかもしれません。しかし今回は
慶応義塾の中学生20人がまとまって受験するという本検定協
会にとっては快挙と思われたので臨時の検定を実施することと
し検定会場も慶応義塾の校舎を使用させてもらいました。


今回の検定合格者

    ★ヒモギリ式5級合格者(ヒモギリ5級は3分以内)
  石井 大貴(慶応義塾普通部2年生、横浜市在住)
  森 譲大朗(慶応義塾普通部2年生、横浜市在住)

合格者は思ったより少なかったが   

 受験人数は20人でしたが受験発火法の内訳をみると、ヒモ
ギリ式が9件、すべて二人1組のチームで計18人、その他キ
リモミ式1件、ユミギリ式1件で各一人ずつ。すべての合計が
11件20人ということでした。
 審査員の感想では古代発火法に全力をあげて挑戦した中学生
の姿勢をまのあたりにして、大人たちを対象とした検定とは一
味違った清涼感を味わえたということです。
 慶応義塾指導教員の森上先生の話では、中学生たちはこの4
月から自分たちで古代発火法をいろいろ調べ自分たちで道具を
準備して練習し検定にのぞんだといいます。古代発火法の熟達
者などから教わったことは全くないのだそうです。それは考え
てみるととても凄いことです。合格者は少なかったけれど、ど
の人もグループも、もうもうと煙を出し、赤い火種が出来たか
出来かけたところまでは行ったのです。合格者以外の受験者も
炎まではあと一歩というところまでは到達していたのです。

再発見の道のりを思う
   
 ベテランから発火法を学び、古代発火法を手早く体験すると
いうやり方もありましょう。それはそれで決して否定されるべ
きことでもないと思います。しかし古代人の苦労をしのびなが
ら、自分の手で試行錯誤しながら古代の方法をさぐりあてるや
り方はとても得難い体験だと思われます。今回の慶応義塾普通
部の中学生のやり方はその意味でも貴重な例だと思います。
 当検定協会でも、とかく検定合格にのみ気持ちが偏りがちな
傾向を今回深く反省させられた事例です。
 もともと本検定協会が設立されたとき、その根底には古代発
火法を通して古代人の生活をしのび、人間と道具、手作業の尊
さなどを学ばなければならないという思想があったはずです。
古代人のばあいも発火法を見つけ出すまでにはさまざまな苦労
と長い道のりがあったはずで、そのことは決して忘れてはなら
ない事だと思います。
 自分の身体での試行錯誤によって目的に向かう体験は、人生
体験の一つとして貴重なものといえるのではないでしょうか?
 聞くところによると、かの20人の中学生たちは、さらに工
夫を重ねた上で、再び検定に挑戦するのではないかとのことで
す。楽しみですね。期待したいと思います。