STORY.PT2.

2010年06月04日
赤い宝石
木ノ葉の人々が集まる「木ノ葉銀座」には様々な食材や日用品を扱う店があ
る。



一軒の「果実店」でカカシはしばらくそれに見とれた。

艶やかに輝くまるで赤い宝石のような、


それは苺。


大きくていかにも甘そうだ。

「どうです、今年は出来がいいですぜ」

小柄で人のよさそうな店主がカカシに勧める。

(もしこれをイルカ先生に買っていけば)

きっと、


(むふふ)


イルカはさぞ喜び、今夜は大サービス!!

「よし、買った!」

少し値段は高かったけれど・・・。




カカシの覆面の下の口元は緩んでいた。


そんな午後。










ここ数日、


イルカのアパートで奇妙な事件がおきていた。


それはイルカが部屋に居る時必ず、玄関のチャイムが鳴る。

ところが出ると誰もいない。


何度も何度も同じ事がおきた。


「ピンポンダッシュ」



いったい誰がそんな酷い事をするのだろうか?



一度だけ逃げていく黒い影を目撃したが、素早くてイルカには追えなかっ
た。



(もしかしてストーカーとか?)


いやいや。




気味が悪いし腹もたつ。


勿論、恋人のカカシにも報告したが、



一度捕まえてしめてやりたい!














イルカはアカデミーから帰って素早くキッチンに立つ。


なれた手つきで今夜の夕食のおかずを作る。


今夜は「マーボ茄子」

カカシ先生の好きなものの一つ。




ご飯をつくり大好きな人を待つ、

それは何ともいえない楽しみだった。









夜の7時すぎカカシは現れた。



「お風呂沸いてます」


愛らしく言うイルカに再びカカシの口もとは緩む。



「イルカ先生、見てくださいこれ」


早速、本日の戦利品を取り出す。


それは見事な苺のパック。

2パック購入した。



キラキラとそれはイルカに今すぐにでも食べてください、と誘惑している。

「すごい、とちおとめですね」

「とちおとめ?・・・イルカ先生にはぴったりの苺ですね」



「すぐ洗います」


夕飯を食べる前にイルカは苺を洗った。


そんな嬉しそうなイルカをカカシは見ていた。

(大サービス、間違えなし)







イルカはお皿にへたを取って赤くぴかぴかの苺を並べた。



ほんのりとスイートな香りがまたいい。



二人は御膳の前に正座して「苺様」に手を合わせた。


その時、


イルカの部屋のチャイムが鳴った。

「あっ!」

そうだ、きっとまたあの「ピンポンダッシュ」犯だ。


こんな時にまで現れるとは、


「俺でます」


二人は素早く、イルカは玄関から、カカシは窓からおもてに出た。





黒い人影がイルカのアパートから飛び出していった。



「逃がすものか!」


カカシは先回りした。



イルカの反対側から犯人を追う。


しかし賊は白い鳥に乗り空に消えた。

(今のどこかで)



悔しいけれども捕獲は失敗した。

「残念ですね、イルカ先生」

「はい」


「今夜は戻りましょう。苺様が待っています」

「ええ!」



二人は部屋に帰った。



二人が部屋を空けたのはほんの数分の事。

それは御膳の上から消えていた。


そればかりではない、夕飯のおかずの「マーボ茄子」と炊きたてのご飯まで
消えてしまったのだ。


「わあああ〜〜」


イルカはショックでベットにふして、泣きだした。


食べ損ねたご馳走ほど悔しいものはない。



夜の大サービスどころか、恋人をなだめるのに必死のカカシだった。












そして、ここは薄暗い洞窟のような「某暁」アジト。


苺様を取り囲む黒いコート集団。

「よくやりましたね、ディダラ、トビ」

暁の食事担当の鬼鮫がお手柄の二人を褒めた。


「素晴らしい」


イタチが砂糖の入った壺を持ってきた。

「イタチ、なんだよそれ?」

飛段が首をかしげた。

「苺には砂糖と牛乳をかけ潰して食べるのが、我が、うちは一族の掟」

「あたまいてえ」


「さあ〜皆さんあの人が帰ってくる前に」


あの人=リーダ、ペインである。



夢中で彼らは赤い宝石を食べた。







そう、あの悪質な「ピンポンダッシュ」の犯人も苺泥棒もすべて彼らの緻密な
策略だった。






「ピンポンダッシュ」


それは犯罪です。






カカシは落ち込む恋人を連れてファミレスに入った。


そして二人で苺のケーキを注文した。

しかし、その苺は小さくてそのうえ酸っぱかった。





ああ〜幻の赤い宝石。




090223.
2010年05月28日
どうにも止まらない 後編
「イルカ先生、おまたせだってばよ」
「あれ?カカシ先生は?」
「ああ〜なんか急用が出来たって、これラーメン代」
「そうか、なら俺達も帰ろうか」
「早くお風呂に入るってばよ」
イルカの手をひく偽ナルト。

取り合えず成功だ。





イルカ先生の住む部屋は木ノ葉の商店街から近く、古い2階だてのアパート
だった。

ナルトに変化したカカシは部屋でかしこまって正座をしていた。

ワンルームにリビングこたつ、ベットにテレビなどがバランスよく配置されて
いて、居心地はよさそうだ。

そして何故だか部屋には、いい香りがする。

「先生、これなんの香りだってばよ」

「えっ?におうか・・・やはりラーメン臭いのか?」

「ラーメンじゃなく、いい匂い」

甘くてお花のような匂いだ。

これがイルカ先生の匂いだろうか?


まじかで見るうみのイルカは可憐だ。




ナルトの姿のカカシにイルカはカルピスを作ってくれた。

「ナルト、修業はどうだ?」
「うん、カカシ先生がすご〜くよくしてくれるってばよ」
「そうか、よかったないい先生で」
ナルトの事を自分の事のようにイルカは喜んだ。


「なあ〜イルカ先生はカカシ先生ってどうおもう?」
「え?カカシ先生とはまだあまり会ったことないけど・・・でも何時もエロ本読
んでいるって噂だし、悪い人ではないみたいだけど」

(よしよし)


にんまりと偽ナルトは微笑んだ。


「先生は恋人いるってばよ?」

「恋人?お前何を言い出すかとおもえば、俺にはお前がいるだろう」

「えっ?!」

ナルト”がイルカ先生の恋人?”

まさか!


「冗談だよ。さあ、早く風呂入ってこい」

”がく”


(一緒にはいらないんだ)



偽ナルト、カカシは甘えた声でイルカを誘った。

”なあ先生も入るってばよ”

「ごめん、ナルト、今日は先生あの日なんだ」
「あの日?」
「生理で」

”ぼっ”


カカシは生理ときいて顔を赤くした。


どう考えても男が生理になる訳ないが、でもイルカ先生ならありかもしれな
い。










カカシは風呂に入り、自分の姿に戻った。


さて、これからどうしょうかね?




羨ましくてナルトといれかわったものの、

子供だから、何も手はだせない。


しかし、イルカ先生に甘えたり、彼の情報をききだすいいチャンスだ。


(ナルトには悪かったな)





カカシはよくお湯につかり、再びナルトに変化した。





部屋ではイルカ先生が本を読んでいた。

「ナルト、いえ、カカシ先生、あなた何考えているんですか?」


”ぎくっ”


カカシは固まった。
「俺だって本物のナルトかどうかくらいわかります」


イルカは立ち上がり腕を組んだ。


”どろん”


カカシは本来の姿に戻った。



「すみませんでした・・・・イルカ先生、俺は少しでもイルカ先生に近ずきたく
て、ナルトには悪いことをしました」

「おれと?」


カカシは頭をさげた。


「だってさ、ナルト。カカシ先生謝っているよ」

「ナルト?」


今まで押し入れに隠れていたナルトが現れた。


「カカシ先生、酷いってばよ」
「すまん」


「まあ、カカシ先生も反省しているみたいだし・・・ナルトじゃあ、一緒にお風
呂入ろうな」
「うん、イルカ先生!」

”ちょっとおお〜〜”



なんで二人で〜〜〜


いやらしいいわねえ〜〜





”きいいい”




カカシは部屋に取り残され悔しくてハンカチをかんだ。




(絶対、イルカ先生の恋人になってやるう)


カカシは強く決意した。









その晩はイルカの部屋でナルトと三人で並んで眠った。



カカシはどきどきして眠れなかった。



なんだかナルトは二人の息子で親子のようだ、なんてカカシの妄想は止まら
なかった。





眠れない夜にカカシは妄想に走った。



もう、こうなると誰にも彼を止められない。




今、俺は猛烈にイルカ先生が好きです。


うおおおおおおおおおお”



090928.

2010年05月22日
どうにも止まらない 前編
噂では、うみのイルカ先生にはまだ決まった恋人はいないという。




つい先日、木ノ葉の代表的上忍であるはたけカカシは彼の部下のナルトか
ら一人の男性を紹介された。

「ナルトのアカデミーの担任のうみのイルカです」

”にっこり”

黒く長い髪を上で一つに結び、そしてキラキラと輝く丸い瞳は宝石のごとく美
しかった。

”キュン”
”キュン”

カカシははじめて彼を見るなり、胸がたかなった。

ナルトに紹介され、顔が赤くなった。



そして、うみのイルカはナルトの事をまるで自分の身内のように大切にしてく
れていた。


ナルトも彼をとてもしたっていた。






カカシは少し彼について調べた。

好物は「一楽」のラーメン。趣味は湯治。

性格も温和で明るい。


誰にきいても評判のいい先生だった。





湯治かあ〜

いいよな、二人で温泉に入って旅行でも出来たら、どんなに楽しいだろう。


(むふむふ)


カカシはイルカの裸を想像して口元をゆるました。

うなじが色っぽいだろう。


でれ〜〜〜〜



(俺、一人で何考えてるんだろう?)





カカシはすっかり彼が好きになっていた。












カカシには最近、三人の部下が出来た。



やんちゃなナルトにお利口なサクラ、そして名門うちは一族のサスケ。

今は毎日4名で修業をしていた。

「ねえねえ、カカシ先生・・・・先生は恋人いるう?」

まだ乙女ざかりのサクラはぼおっと、愛読書を読みふけっているカカシに声
をかけてきた。



「いないよ〜」

カカシは答えた。


本当の事だ。

「好きなひともいないの?」
「う〜〜ん、そうだなあ〜」

好きな人ときかれ、あのうみのイルカ先生がいいとは、流石に女の子には言
えなかった。


サクラはつまらなそうにふうんと言った。



一方、ナルトとサスケはののしりあいの喧嘩をしていた。
「こら、真面目にやらないと全員、昼の弁当なしだぞ!」

弁当なしに三人は素直に修業に戻った。













その晩、カカシは「一楽」の暖簾をくぐった。


この店は木ノ葉のラーメン好きの人には評判が高いらしい。

もしかして、ここで待っていれば彼(イルカ)が来るかもしれない。





「へい、らっしやい」

人のよさそうな主人テウチが笑顔でカカシをむかえた。

「じゃあ〜このお店の一番人気なの」
「それでは、味噌チャーシュですね」
「それとビール」

「へい」




他に客はいない。





カカシはイルカを待った。

毎晩通ってここで自然と彼と仲良くなる計画だ。



そして3日が経過した。





すっかりカカシは「一楽」のテウチと顔見知りになっていた。

「テウチさん、今夜は塩で」

(ああ〜今夜も会えない)


会えないと想うと余計に会いたい想いがつのる。



カカシは毎夜イルカ先生の事ばかり考えていた。


ネットで調べたら彼にはファンクラブが存在した。



(かわいいもんなあ)


カカシもファンクラブに入会した。

特典はイルカ先生のスマイルポスターだ。

今から届くのがまちどうしい。





まるで初恋のように、

カカシは恋こがれた。



もうこうなってくると、想いは止まる事がなかった。





「イルカ先生、はやく、はやく!」


カカシがマイワールドにいると、どこからか聞き覚えのある声がした。

(ナルト?)


イルカ先生?



(はっ!)



カカシの後ろにはナルトに手をひかれたイルカ先生が「一楽」へと・・・・。

「ええ〜カカシ先生、なんでこんなところにいるんだってばよ」


「なんでって、俺だってラーメンくらい食べるよ」

「カカシ先生、こんばんは」

”にっこり”

(きらきらきら)



カカシにむかって、イルカはこぼれるようなまぶしい笑みを浮かべた。


この微笑みがたまらない!



カカシはイルカに夢中でラーメンをこぼした。
「あっ!」


「大丈夫ですか?」


テウチがカカシのこぼしたラーメンの汁をふきんでふいてくれた。


「すみません、テウチさん・・・・・折角のラーメンを、もう一杯お願いします」

「へえ〜カカシ先生もラーメン、お好きなんですか?」

「勿論です、この一楽のラーメンは里一番です。ねえ、イルカ先生」




そしてナルトという1名、余計なオマケはいたが、カカシはやっとイルカと会え
たのだ。





ナルトをはさんで3人でラーメンを楽しんだ。




ナルトは悔しい事によくイルカ先生とこの店に来るらしい。


憎たらしいかぎりだ。




「ねえ、イルカ先生、今夜先生のアパートに泊まりにいってもいいってば?」

「ん、いいぞ」

「な、なに!?」



カカシは思わず席を立ちあがった。



(ナルト、お前って奴は何時からそんな風になったんだ?)



「一緒にお風呂に入るってばよ」

「そうだな」

イルカ先生の部屋に泊まり、そのうえお風呂に二人で入るとは!





男同士でいやらしい。


(でも、羨ましい)




カカシは興奮した。


なんとか、ナルトと自分が入れ替わって。



そうだ。


「ちょっと、ナルト。話がある」
「なに?」

「内緒の話」




カカシは席を立ち、ナルトを呼んだ。

「スミマセン、イルカ先生、すぐすみますから」






カカシはナルトを外に連れ出した。

「なに先生?」

「これをみろ」


カカシは自分の額あてをはずした。



カカシの写輪眼を見せられたナルトはその場に倒れた。


「ごめんな、少し眠ってもらう」



そして、カカシはナルトに変化した。




これでナルトになりきって、イルカ先生のお部屋に。


ナルトの姿のカカシはにゃりと笑った。



★後半は来週予定です。

2010年05月14日
おやすみ先生
深夜の赤ちょうちんで彼は一人酒を呑んでいた。

黒々とした髪を高くむすび、丸くて澄んだ瞳に鼻に一本の傷があり印象的な
若者だった。

「今夜はのんで、のんで・・」

”そうだ、嫌な事は忘れよう”



昼間、たて続けに仕事でミスをした。

「たるんでるな、最近のお前」

「すみませんでした」

彼の先輩の中忍に、彼、うみのイルカは深く頭をさげた。



(最近こんなことばかりだ)


自己嫌悪に一人気がつくと夜の街へ出ていた。



はじめは「一楽」でラーメンを食べて帰るつもりだったが、もやもやした気分
で店をはしごしていた。






イルカは日ごろはアパートの自分の部屋でのむ事が多かった。

でも今夜は部屋に戻りたくなかった。

「親父、酒をもういっぱい」

「お客さん、随分のんでますが、大丈夫ですか?」

「ああ、今夜はろみたいんだ」

「へい」


店の親父がイルカを心配した。


何故なら顔が真っ赤だったのだから。

口もまわらないようだし、このお客さん大丈夫なんだろうか?

そんな感じだ。


「へい、らっしゃい!」

その時、店の親父の顔がぱっと嬉しそうに輝いた。

「今夜は少し暑いね、パクさん。冷たいのもらおうかな」

「へい、何時も有難うございます。カカシさん」

「えっ?・・・カカリさん?」

イルカは酔いのまわった瞳で顔をあげた。


「あれ?イルカ先生じゃないですか。どうしたの?目が赤い・・」

「そうれすか?のんれるんれす」


はたけカカシは驚いた。


何時も受付で明るい笑顔の優しいイルカ先生が瞳を赤くして深夜に一人酒
を呑んでいる。

何かあったのだ。


「ねえ、俺でよければ話きかせてよ。何かあったそうでしょ?」

「カ、カカシへんへい」

”うるっ”


イルカは今度は涙ぐんだ。



「おれは、らめなおろこなんれす」


イルカはへこんでいた。




折角呑みに来たのにカカシは一瞬だけそう思ったが、相手は里一番の笑顔
のかわいいうみのイルカ先生なのだ。


ここで、カッコよく恩を売っておいて損はない。


カカシは点数かせぎを考えた。



”カカシ先生って頼れる”


”素敵”



下心たっぷりにイルカを見つめた。



「どうぞ、俺でよければ。なんでもはなして、すっきりしてください」

「じつは・・・・・」





イルカはまわらぬ口で話はじめた。



このところ、アカデミーでも受付でも何故か仕事のミスが続いたこと、

そして先輩から冷たくされていること。

テンションの落ちる日々。



「ま、そういう時はありますよ。でも大丈夫です、自分を信じて、さあ、イルカ
先生嫌なことはのんで俺に吐いて忘れましょう」

「オヘ〜〜〜〜」

イルカは吐きそうになって手で口を押さえた。


カカシは慌てた。


「だいじょうぶ?」

本当に吐きそうだなんて、吐くの意味が違う。


これ以上お酒を呑ませたら、どうにかなりそうだ、彼は。




「もう、今夜のところは帰りましょう。俺、おくります」

カカシは親父のパクさんに二人分のお金を払った。

「あれえ〜?」



”こっくり”

”こっくり”



酔っ払い、うみのイルカは座ったまま眠りこけていた。


(仕方ないねえ)



「どうしますカカシさん?」


「うん、おぶって帰るよ」


「流石、カカシさん面倒見がいい!」

パクさんは感心した。


カカシは言った。

「この人は特別ね」


よいしょ。


カカシは眠るイルカを背中におぶった。



そして気がついた。


”イルカ先生の住所はどこだ?”


考えたが、何処に住んでいるかまではカカシも知らない。




(このさいだ)



カカシはそのまま酔っ払いをおぶい自分の住居に連れて帰った。












寝室のベットにそのしなやかな身体を横にして、そっと靴と忍服のベストを脱
がせた。


イルカはよく眠っている。


あどけない、寝顔がいい。



(かわいいなあ)



俺は今夜はちょっといい思いをした。



「おやすみ先生」



カカシはその顔をじっと見ていた。




いつまでも、

いつまでも。




090927.
2010年05月07日
白馬の王子様
はたけカカシは木ノ葉を代表するほどの上忍だ。

一見、何でも完璧そうに見える男だが、

少し恋愛には奥手だった。


しかし彼の胸の中は夢と妄想でいっぱいだった。

愛読書「イチャイチャシリーズ」のような素敵な恋が彼の理想だった。


そう、彼には理想の相手がいた。

その人の名はうみのイルカ。アカデミーの教員、
トレードマークのしっぽをゆらし、微笑む姿はS級の犯罪のごとく罪深い。

カカシは日々、イルカとの恋愛妄想に走った。


しかし、妄想だけでは恋人はつくれない。


そしてカカシはついにたちあがった。



取り合えず男同士正面から堂々と交際を申し込む。









カカシはアカデミーの建物の脇にひそみ、彼の必殺技でなんと、アカデミー
の隣に遊園地を出した。











てくてく。


ああ〜今日も一日終わった。

今夜は何味のラーメンにしょうかな。


その日、アカデミーの前でカカシが待っていることなど夢にも知らず平和なう
みのイルカはのんびりと建物をでた。



アカデミーの門の外には白い馬がいた。

「うま?」


その馬にははたけカカシがまたがっていた。


「どうぞ、イルカ先生お迎えにまいりました」

「へ?」

”この人何考えてるねん!”


慌てるイルカの腕を掴み白馬に乗せる。


「いや〜〜〜〜〜〜」



”パカッパカッパカッ”


白馬は走った。


勿論、BGMは「暴れん坊●軍」


「ひいい〜〜〜〜〜」


ぐるぐるとイルカの目は回った。




気がつくとイルカは無人の遊園地にカカシと二人。


カカシになかば拉致されたと同然だ。


「いったいあなたは何を考えているんですか!?」

イルカは怒った。



「怒った顔も素敵ですね。・・・さあどうぞ。今宵遊園地は二人だけのもので
す。思う存分デートしましょう!」

「でえとお〜〜〜?」


男の俺と男のカカシ先生がデート。

しかも、アポなし、同意なしありえない!



「嫌です、帰ります!」

イルカは出口に向かった、
しかし上忍のカカシにはかなわない。



カカシはイルカの手を掴んで放さない。

「さあ、まずはコーヒーカップに乗りましょう!」


”ぐるぐるぐる”



イルカは何が楽しいのかコーヒーカップに乗ってカカシと回った。

微妙な回転速度にイルカは酔った。

吐きそうだ。




(おえ〜〜〜)



ベンチに座り込むイルカにカカシはどこからか冷たい飲み物とタオルを持っ
てきてくれた。
「大丈夫ですか?」

”横になって”


イルカはベンチに横になった。



(へえ〜結構優しいんだな)

イルカはちらりとカカシの顔をみた。


「イルカ先生、・・・俺好きな人と一度でいいから遊園地に行くのが夢でした。
でも子供の頃から任務だらけでそれに里のくノ一はみんな凶暴で、ろくにこ
の歳まで恋も知らずにきてしまいました」


カカシは夢を語る。


「俺の理想は優しくて笑顔の綺麗なひとです」

”ぼっ”


その時、イルカの全身が熱くなった。


「カカシ先生、じゃあ今夜は二人で楽しみましょう!」



”やった!”





カカシの夢はメリーゴーランド。

とくに白馬にまたがりたかった。




誰もいない遊園地、

二人は遊びまわった。






あっという間に時間は過ぎていった。

「カカシ先生、もう俺は帰らないと、もうすぐ11時です」

「えっ?でもまだ、そうだ24時間やっているレストランでこれからディナーで
も」

「でも、12時までに帰らないと俺・・・・・」




イルカには実は秘密があった。


先日悪い魔法使いに呪いをかけられたのだ。



深夜の12時になるとキュートなイルカ先生は醜い木彫りの熊の置物に変わ
ってしまうのだ。



「ごめんなさい、カカシ先生!」



イルカは走った。





「イルカ先生・・・・」



慌てて去って行ったイルカは鞄を落としていった。


カカシはそれを拾いあげた。


これは是非届けないと。



というのは口実で、

実はイルカのアパートに押しかける気だった。







イルカは部屋に帰った。


一月前、イルカは森にどんぐりを拾いに行った。

そこで黒いロングコートのようなものを着た長身の怪しい人物と出逢った。

男は出逢い頭にイルカに言った。

「お前、私の嫁になれ!」

男の名はペ●ン、森の悪い魔法使い。



「あなたは俺の好みではありません」

イルカは断った。


「わたしと交際しないのなら、毎夜12時にお前を醜い熊の置物にかえてや
る」


ふられたはらいせでペ●ンはイルカに呪いをかけた。





「ああ〜もうすぐ12時だ。おれは・・・」


11:58、後2分でイルカは木彫りの熊さんに。







そして午前12時。


イルカの部屋には熊の置物が・・・・。







カカシはイルカのアパートに忍び込んだ。



勿論夜這いだ。


「イルカ先生?」


部屋にはイルカの姿がいない。


おかしいな、カップラーメンを食べたあとがあるのに。



カカシはイルカの鞄を置いた。


手がすべり、鞄からどさどさと荷物が落ちた。


「あれ?」


一冊のノート。


「イルカの日記」

イルカ先生の日記だった。


カカシは好奇心に負けてそれを開いた。




”俺は悪い魔法使いぺ●ンの呪いで毎日深夜の12時から朝の6時までの
間木彫りの熊に姿を変えられてしまう。

夜がくるのが怖い。

この呪いをとくには、王子様とキスをしなければならない。でも王子様って何
処にいるんだろう・・・・・・”


日記にはイルカの悩み事がかかれてあった。



カカシは部屋に転がる木彫りの熊を見つけた。


「イルカ先生?」

そうだ、これが先生なのだ。






カカシは再び白馬を空間から呼びだした。


そしてマスクをはずし美しく微笑んだ。


そっと木彫りの熊にキスをする。



”どろん”





悪い呪いはとけた。




イルカはきょろきょろした。


手も足も人間のイルカだ。

部屋には白馬と素顔のカカシ先生。

「と、言うことはカカシ先生は王子様だったんですか?」


「ええまあ」

そういう事にしておこう。




「すご〜い」



イルカはうっとりと素敵なカカシ王子を見上げた。


自称王子様、はたけカカシは白馬にまたがった。





夢は大きく。


今、始まる。




0902月頃です。



2010年04月30日
つよくつよく
”どうしたんだろう?”


その晩、カカシが恋人の部屋に帰るとそこに居るはずの彼の姿はなかっ
た。

何時もならば、カカシが部屋に来る時は仕事からまっすぐ帰っているはずな
のに。

急な残業かもしれない。



時計を見ると午後9時をまわっていた。


”コチコチコチ”

静かな部屋に時をきざむ音がやけに大きく聞こえた。


テレビもつけずにカカシはイルカの帰りを待った。



たまにはこういうことだってあるさ、

イルカ先生だって付き合いもある。


遅く帰っても怒らないことだ。


カカシは自分に言い聞かせた。


もしかして、同僚とお酒でものんでいるのかもしれない。

それとも・・・・。

一瞬、嫌な想像がカカシの頭をよぎった。


カカシは頭をふった。










深夜、とぼとぼとアパートにイルカは帰ってきた。

「カカシせんせー」

イルカの顔が赤い。
やはりお酒を呑んできたのだろう。
「今、冷たいお水持ってきます」

カカシはコップに水をくみイルカに手渡した。

その時、ふんわりとイルカの身体から女の匂いがした。


(まさか?)



まさか、イルカ先生に限って俺をおいて女性と一緒だったなんて・・・。


その時カカシの中で激しく嫉妬の炎が燃えあがった。

押さえきれない、感情にカカシは強くイルカの身体を抱き寄せた。

「今夜はねむいです」

「俺は眠れないよ、このままでは」

そのままイルカをベットに押し倒した。

「やめてください」

今まで一度だって嫌がるイルカを求めたことはない、でも今夜は無理をさせ
てしまった。











「大丈夫ですか・・・・」
暗い部屋の中、カカシはぐったりと横たわるイルカの顔をのぞきこんだ。


「俺・・・へろへろなのに・・・酷い」




俺は嫌な男かもしれない。


嫉妬深くて独占欲が強くて・・・。




気まずい沈黙。



このままだとイルカ先生は朝起きあがれないかもしれない。







カカシは後悔していた。










翌朝。

起きあがれないのはイルカではなくカカシの方だった。


「カカシ先生、起きてください」

イルカは何事もなかったように笑顔でカカシを起こした。
「イルカ先生、そのう・・・・」

「昨夜の事は俺が謝りますね。でも、昨夜はアカデミーで一人退職する先生
が居て、最後に送別会をすることになったんです。
だから断れませんでした」
「ごめん・・・俺」
やはり俺の方が悪い。



「その先生は女の先生で、前々から俺の事が好きだったんです。お酒のん
で絡まれました。でもカカシ先生、俺だってお付き合いもあります」
「ごめん」

俺の思い込み。


カカシはイルカに素直に詫びた。


「もうあんな酷いことはあなたにはしません」


「いいんです、わかってくれたのなら、・・・でも昨夜のカカシ先生たくましかっ
た」

”ぼっ”


カカシはその言葉に耳まで赤くなった。

「さあ、朝ご飯食べて、遅刻するとまた五代目の綱手パンチですよ」


「はい」



俺は恥ずかしかった。





キッチンから卵焼きのいい匂いがする。



「身体大丈夫ですか?」


「俺、そんなやわじゃありませんし、ふふカカシ先生って結構心配性ですね」

「そうかな?」

「でも、焼いてもらえるうちがいいのかもしれませんね、」

「イルカ先生は俺が女の人とのんで帰ったら、やいてくれますか?」
「勿論です、縄で縛って鞭打ちますよ」

「こわ〜〜〜」


でも可愛い事を言うんだな、イルカ先生は。


ごめん、もう本当に無理させないから。











「そりゃあ、たまにはイルカだってそういう事もあるだろう。あれでいてあいつ
モテルんだぞ」


夜の酒場、久しぶりにカカシは彼の上忍仲間の猿飛アスマと酒をのんでい
た。


二人はいいのみ仲間だった。
ふたりとも久しぶりで話がたまっていた。
「あの人を信じてあげる事が出来なかった俺が悪いんだけど、」

アスマはタバコに火をつけた。

気がつくとカカシはつい呑みすぎていた。


「ご馳走様、あいかわらずお熱いようだな」
「そお〜あっ、いけないもうこんな時間!」

「イルカに宜しくな」

カカシは自分の分の代金を置いて立ち上がった。




カカシは夜の街を走った。

きっとイルカ先生は今、俺の帰りを待っているだろう。



カカシはイルカの住むアパートの階段をかけあがった。





イルカは御膳の前に正座して怖い顔をしていた。



「すみません、アスマに捕まっていました」


イルカはにっこりと笑った。
手招きをする。


”こっちに来てください”


イルカはおもむろにカカシのズボンをおろした。
「いゃ〜〜〜〜〜」


「今夜は寝かせませんよ、きいいい〜」



「縄と鞭は勘弁してください〜〜〜」



結局イルカ先生も、やきもちやきなのだ。



やいて、やかれて、俺たちはお似合いのカップルなのだろう。


カカシは嫉妬に顔を赤くする恋人を抱きしめた。


つよく。


つよく。



090822・

2010年04月23日
あの日と同じ雨
雨の音がぽっぽっと聞こえてくる。

そろそろ起き出さなければならない。

重く疲労した身体を彼は起こした。


昨夜夜半、任務は無事終了した。

今朝はその報告をしてその足で五代目に「お呼ばれ」していた。

いったい何の用件だか、あまりいい予感はしなかった。
(雨か・・・)


傘をさして歩くのはめんどうだが、


彼、はたけカカシはベットをようやく抜け出した。




カカシの部屋はさんざんな有様だった。

ここ数日は任務に追われて、掃除はおろか洗濯も山だ。


何時だったか、上忍仲間の猿飛アスマが言っていたが、

汚い部屋に住んでいるとロクな事がないと。



そのとうりかも知れない。



カカシは着替えて覆面を装着した。

一人の男から忍、はたけカカシの顔になる。






カカシの部屋は脱ぎすてられた黒いノースリーブを拾った。
1枚、
2枚、
3枚、


同じタイプのモノを彼は沢山持っていた。

洗濯ができない事も多いので、


これは暗部時代からのお気に入りのアイテムだった。


(あ〜あ〜俺にも誰か世話をしてくれるひとがいたらいいな)


かいがいしくお部屋を掃除してくれたり、
お料理もしてくれたり、

そんな相手がいたら・・・。

ちょっとだけそんな事が頭をよぎった。







掃除機をかけてカカシは部屋を出た。


(ぐうう〜)

気がつくと昨夜から何も食べていない。



雨の中を歩いていると、どこからか風に乗って食欲を刺激するいい香りがす
る。


(ラーメン!)




そういえば「一楽」が近い。



報告など後でいい!


カカシは匂いの方向に引き寄せられていった。



綱手に遅刻の言い訳を考えながら「一楽」ののれんをくぐる。

「いらっしゃいませ」

そこには親父のテウチではなく、

世にも素敵な笑顔の天使がいた。

「イルカ先生!」


「カカシさんお久しぶりです」

「どうしたんですか、まさかアカデミーをリストラされたとか?」

「ええ、転職したんです」
「マジですか?!」

イルカはにこやかに微笑んで嘘ですといった。



そして天使は不慣れな手つきでカカシに味噌ラーメンを作ってくれた。




事情をきくとテウチは流行りの風邪でダウンしてその間里の仲間たちが交
代で店を手伝っていた。



たまたま今日は非番のイルカの当番だった。


カカシはついていた。


「どうぞ」

「あのう、どんぶりに指」

「あ、すみません」

天然にイルカは白い歯を見せた。

(いいなあ〜イルカ先生って)



会うたびにカカシはおもっていた。




彼の笑顔を眺めながら食べるラーメンは極上だった。








「何時もの事だが、カカシ、何時間待たせるんだ?」

怖い顔の五代目。



「いやあ〜ここに来る前に銀行に寄ったら、おばあちゃんがフリコミしてい
て、怪しいから止めていました。詐欺だったら大変ですし」


あはは。

「ガイと同じ嘘はやめろ」


「スミマセン」


綱手は黒いファイルの束を出して見せた。

「この中から3日以内に1枚選ぶ事。これが今回のお前の任務だ」

「見合いですかあ?」


しかも強制的。



「どの娘も木ノ葉の名門の、お前には勿体ないくらいの相手だ」

「はあ〜〜〜」

全く、呼び出されてこんなのか。



そういえば数日前、ガイやゲンマにも同じものを回覧していたな。


「会うだけでも会ってみたらどうだ。いいぞ結婚も」

「独身の綱手さまから言われたくないですね」

「つべこべ言わず選べ!」


”へいへい”


カカシはファイルを手にその場だけの返事をした。






「名門女子ファイル」


それを片手にそのままカカシはは部屋に帰る気がせず街にでた。


もう時刻は夕方で酒場もひらいていた。








木ノ葉の忍たちの間で人気のある安くて旨い居酒屋に入った。





店はまだ時刻が早いせいか客もまばら。


その中にカカシははまたもや、笑顔の天使を見つけた。


「イルカ先生」



一日に二度も会えるなんて。

「よくお会いしますね」


イルカはビールを呑んでいた。


カカシは断りもなくその隣に席をとった。



イルカは酒がはいっていて顔が赤い。


近くでまじまじとその顔を見ると黒い大きな瞳は潤んでいて色っぽい。


「俺、しばらく任務で家を留守にしていました。そしたら部屋がとんでもなない
ことになっていて」

「え?」

「洗濯の山、埃の山。・・・そしたらこんな時に俺の世話をしてくれる可愛いひ
とがいたらなんて」
「それでお見合いですか?」

イルカはカカシの荷物のファイルが何だか知っていた。



「ええ〜そうは思ったんですけど、俺、なんというか女性ってよく理解できな
いというか、メンドクサイんですよ」

唐突に問題発言をカカシはする。

「はあ?」

イルカは丸い瞳をますます丸くした・

「いえ、女嫌いというんではなくて、なかなか今の歳まで好きだと思える相手
に出逢えなくて」


イルカは鼻の傷をポリポリとかいた。



「難しいですね。・・・・結婚とかになると・・俺もまわりに若い女性が居ても、
不器用で・・」

「五代目から3日以内にこのファイルから結婚相手を選べなんて、そんな事
言われてもねえ〜」


カカシはため息をついた。



「あのう、カカシ先生はどんな方が好みなんですか?」


「俺は、優しくて明るいそう、イルカ先生みたいなひとがいいんです!」


”ずど〜〜ん”



カカシは直球を投げた。

イルカは椅子からコケた。











ふたりは店を出た。


カカシはイルカを自分の部屋に誘った。


イルカは断ったけれど、

最高級のサーロインステーキがあると言ってカカシは上手く彼を連れて帰っ
た。


雨はようやくやんでいた。










カカシはせっせとキッチンに立ち腕をふるった。


そのかたわらでイルカはサラダを作っていた。


自分にも何かさせてください、なんて素敵な事を言ってくれた。



優しくて、

明るくて、


カカシの中でイルカ、嫁計画がたてられていく。















「イルカ先生、朝ですよ」


カカシは優しく恋人を起こした。



毎度の事だが、哀しい事に朝食はカカシが作っていた。


彼の理想の恋人、イルカ先生はまだ眠りこけている。



お世話をやいてくれる相手ではなく、結局自分の方がお世話をしていた。

現実なんてそんなところだ。



それでもカカシはハッピーだと思った。


ただ、部屋は何時もイルカ先生が来て綺麗になった。




なお、あの例のお見合いファイルは木ノ葉の里を回りまわって他里まで飛ん
でいったとか。






「雨か・・・・」


カーテンをあけ、カカシは空をあおいだ。




あの日と同じ雨が降っていた。




090421.
2010年04月16日
目撃
働き者で明るいイルカはアカデミーの教員の他にもシフトで受付の業務をこ
なしている。


この日は書庫の整理を頼まれていた。


一つ一つ丁寧にイルカは整理していた。


書庫のある部屋は薄暗く本の独特の匂いがした。


”カタカタ”

イルカの居る部屋の戸が開いた。


「?」

誰かがそこに入ってきた。

「イズモ〜〜はやくう〜」

「待てよコテツ」


それはあのイズモとコテツの二人だ。


二人はイルカが中に居る事に気がついていない。


声をかけようかと思ってイルカは口を開けた。


”ブチュウウ〜”


二人はイルカが見ているとは知らず熱くて強烈なキスをかわした。






イルカは声もたてずに息を殺してそこにじっとしていた。

(あの二人そういう関係だったのか)

それにしてもこんな場所でけしからん!



イルカはその時、お腹のあたりがむずむずしてきた。


(トイレに行きたい)


でも、今でて行く訳にはいかない。



イルカは二人が書庫を出るのをじっと待った。




「ああ〜やっと出て行った」







イルカはは小走りにトイレに走った。


これでやっと個室に入れる。



イルカが個室に入ったその時、


外から靴音がした。

「ゲンマア〜〜すきすき〜〜」

「馬鹿、恥ずかしいだろう〜俺もライちゃんが世界一好きだ」

(げろっ!)


それは特別上忍、ゲンマとライドウだった。




イルカが個室に居るのをおかまいなしに、二人はイチャつきはじめた。

「ねえ〜〜いいだろう〜」

「でも〜ライちゃん恥ずかしい」

(とんでもない!)

イルカは顔から火がふきそうだった。


いったい、この里はどうなっているのだろう?


イルカはショックで出るものも出なくなった。


二人のせいで便秘になってしまった!








”あ〜あ疲れた”



イズモにコテツ、ゲンマにライドウ。

男同士でなんて破廉恥なんだろう。










イルカは仕事を終え、アパートに走った。

「イルカ先生〜〜おかえり〜〜〜」

「ただいま〜〜カカシせんせい〜」

”ひしっ”

”ひしっ”




イルカ先生は他人の事を責められないと思います。


090826.
2010年04月09日
好物
食後のゆったりとした、ひと時。

今夜はイルカが紅茶をいれてくれた。

いい香りだ。
「どうぞ、お一人様一個限りのものを主婦の人とバトルして勝ち取りました」
「す、すごいですね」


イルカが夢中で奥様にまざって、紅茶を買う姿がリアルにうかんだ。

”ぷっ”

思わずカカシは笑った。

「もう〜笑うなんてひどいです」

「あ、そうだ!」

カカシは思い出したようにベストのポケットから小さな包みを取り出した。

「なんですそれ?」
「ああ〜今日、テンゾウ、いやヤマトから貰ったんだ。どうぞ」

「きい〜〜〜〜〜」

カカシが出したのはチョコレートだった。

イルカはそれを見て、嫉妬した。



チョコはアーモンドのようだ。
「さあ、紅茶に合いますよ」


カカシは一粒口にほおりこんで、うっと口を押さえた。


チョコの中身はアーモンドではなく、ワサビ。



「カカシ先生、大丈夫ですか?・・・もう、何考えているんだか、ヤマトさん
は!」


イルカがお水をコップに入れてカカシに飲ませた。



(テンゾウの奴、イルカ先生にこれを食べさすつもりだったのか)




憧れのカカシ先輩の恋人のイルカ。

暗部時代からのカカシとの付き合いのあるヤマト。


イルカもヤマトも互いを意識しあっていた。




「ねえ〜イルカ先生、一度ヤマトをこの部屋に呼んでもいいですか?」
「えっ?」

「ね、一度二人できちんと話でもしてみたら?」

「そうですね・・・・」







そんな訳で数日後。



カカシはヤマトを連れイルカのアパートを訪ねた。

「どうぞ、狭いお部屋ですけど」
「ホントに狭いですね」

”ぐさっ”




カカシはヤマトをつっいた。

「何失礼な事言っているのあんた?」
「ボクは正直者ですから」




イルカは気を取り直して笑顔を作った。

「ヤマトさん、今夜は特別に胡桃料理を作りました。・・・胡桃のご飯、胡桃
汁、胡桃とジャガイモの炒め物それから胡桃ハンバーグにデザートは胡桃
ケーキ」

「え、ホントですか?イルカ先生」


好物の胡桃ときいてヤマトの表情が明るくなった。





イルカは事前にヤマトのプロフィールを調べていた。




三人は酒を呑みながら夕食を食べた。


楽しい夜だった。







帰り際ヤマトはイルカに言った。

「我儘で勝手な人ですが、宜しくお願いします」

「え?」

「イルカ先生のような人になら、安心して先輩をまかせられます・・・お料理最
高でした」

”キラリ”



爽やかにヤマトの歯が光った。










二人はヤマトの帰った後、再びあの紅茶を飲んだ。




二人のティータイム。


「ヤマトが、先輩よかったですね、だって」


イルカは嬉しそうに微笑んだ。





「よかったです。でも俺もヤマトさんがいい人でほっとしました」



「そうだ、あいつから土産にミックスナッツをもらいましたよ」


「へえ〜」


カカシは土産の袋をガサガサと開けた。



香ばしいなんともいえない匂い。



二人は夢中でそれを食べた。


気がつくとあっという間にナッツは二人の胃袋の中。




そろそろいい時間になっていた。

「ねえ〜いいでしょう」

「はい?」

「もう〜いい?」

二人は見つめあった。




カカシがイルカに顔を寄せたその時、


”つう〜〜〜〜”


カカシの鼻から、赤い液体が落ちた。





甘い時は終わった。


ナッツ類の食べすぎには注意しましょう!


090402.

2010年04月02日
そんな馬鹿なこと
何かを夢中でしていると時がたつのは早い。


カカシは久しぶりに、いらない物の整理をしていた。

「これ、何だろう?」

押し入れの中から小さな封筒。

開いてみるとその中には一枚の写真。

色あせてセピア色になっていた。



「父さん・・・」

それはカカシがまだ幼い頃に父、サクモと写したものだ。



父は現在のカカシとよく似ていた。



カカシは時がたつのを忘れ物思いにふけった。


これをイルカ先生に見てもらおう。







夜、カカシの住居に恋人のうみのイルカがやって来た。

「押し入れを掃除していたらこんなものが」
「これって?」



イルカは初めてカカシの父の写真を見た。


はたけサクモ、「木ノ葉の白い牙」は有名人だ。


「カカシ先生、お父様にそっくり」
「ええ、俺もびっくりしました」

「髪の毛ロングなんですね」
「そうなんです」
「うふふ」

イルカは楽しそうに笑った。


「イルカ先生、今、変なこと考えたでしょう?」
「わかります?・・・ねえ〜カカシ先生も髪のばしましょうよ」
「お断りします」
「冗談です。・・・でも子供の頃のカカシ先生って凄い可愛いですね」
「イルカ先生ほどでないですよ」

以前、カカシはイルカに見せてもらった子供時代の写真。


イルカも両親とそっくりだった。

まるで影分身のような一家だった。



「ねえ〜カカシ先生、子供に変化してください」

イルカは瞳を輝かせおねだりをした。

小さなカカシ君が見たい。



「だめです」
「ええ〜いいでしょう?一度くらい」
「もう〜じゃあ〜イルカ先生も子供に変化してくれたら、いいですよ」

「ホント?」



”どろん”
”どろん”



そして部屋には、小さなカカシ君とイルカちゃん。

「わ〜〜〜〜〜〜〜」


イルカは子供にかえって部屋の中を走り回った。



「元気だね」

「うん!」



子供の姿のカカシは多重影分身の術で二人に増えた。



「どおしてふたりになるの?」
「記念撮影だよ」


一人のカカシがカメラをかまえた。


二人で記念に一枚撮った。







「ああ〜楽しかった」


「ホントですね。公園とかあの姿で遊園地とか行きたいです」

カカシは考えた。


それはいい。

小さなイルカはめんこくて、連れて歩くのは楽しそうだ。



皆に自慢してやりたい。





イルカは早速カメラのフイルムを現像しにコンビニに走った。


出来上がりが楽しみだ。





コンビニでイルカはフイルムをだした。

ついでに買い物もした。


何だか子供になったせいかアイスが食べたかった。




支払いを済ますとレジでくじ引きがやっていた。


イルカは一枚箱の中に手を入れてくじを引いた。




「おめでとうございます!・・・木ノ葉屋敷ペアチケットです!」


「うわあ〜」

凄い。遊園地のチケットなんて。


木ノ葉屋敷は最近話題のスポットだった。



アイスを持ってほくほくイルカはカカシの部屋に戻った。






「このアイス美味しいですよ」

「甘そうですね」

「だから、カカシ先生にはおせんべを買いました」

イルカはコンビニの袋からおせんべえをだした。

「それから、きいてください。コンビニでくじを引いたら当たりが出ました!」

「当たった?なにが」

「木ノ葉屋敷のペアチケットです!」


”それは凄い”



しかし、二人には問題があった。


二人は交際していることを世間に隠していた。


もし、二人で遊園地なんぞ人の多い場所に行ったら噂になりかねない。




「でも、俺カカシ先生と一緒にいきたい」

「ん〜〜じゃあ〜先生こうしましょう。15歳くらいに変化してみせて」

「15歳?16歳でも17歳でもなく?」
「そう15歳がいいです。二人で15歳になって行きましょうよ」





二人はこうして木ノ葉屋敷に行く計画をたてた。








その頃。


イルカの行ったコンビニではナルトとサクラが買い物をしていた。

「ナルト、あんたもアイス好きね」

サクラはペットボトルのお茶を買った。


二人は店員に勧められてくじを引いた。



「おめでとうございます!」


サクラが当たりを引いた。


「スゲエ、サクラちゃん、俺も行きたかったってばよ、木ノ葉屋敷」

「ちょっと〜誰があんたと行くなんて言った?」

「じゃあ〜誰と行くってばよ?」


「そうね、いのと行こうかしら。残念ねナルト」


”ひゅう〜”

ナルトはサクラに冷たくふられた。





そして偶然の悪戯かサクラといのがカカシたちと同じ遊園地に行く事になっ
たのだ。












15歳に変化したイルカも魅力的だった。

今夜はこの姿でお願いしたいものだ。


少し危ない事を考えながら同じく15歳に変化したカカシは遊園地に向かう。



住宅街にこつぜんと、木ノ葉屋敷はあった。



二人は気合を入れた。


「コーヒーカップに乗りましょう!」


イルカはノリノリだった。



ところがカカシは少し困り顔。



「どうしたの?」

「だって、あれ回転するんだよね」

「当たり前です。さあ〜早く!」



躊躇しているカカシの背中をイルカは押した。


二人はコーヒーカップに乗り込んだ。




”ぐるぐるぐる”




回る。回る。コーヒーカップ。


カカシは酔っていた。


こんなことで上忍がいいのだろうか?




それにしても、生まれて初めてこんなものに乗る。


子供時代にこういった場所に縁がなかったカカシにはお化け屋敷もメリーゴ
ーランドも恐怖体験だった。



しかし、さすがにイルカの手前初めてですとは言えず、カカシはふんばった。



がたがたと不安定な音をたてて登るジェットコースター。


カカシは思わず目を閉じた。




カカシはここに来たことを少しだけ後悔していた。


しかしカカシとは対照的にイルカは楽しそうだ。




それだけに、もう帰ろうと言いだせなかった。







その頃、時を同じくしてサクラといのの二人もこの遊園地に来ていた。


ふたりは若い娘らしく、きゃらきゃらと遊びまわった。


「ちょっと〜サクラあの人たち」

いきなりいのが立ち止った。

「なに?イケメンでもいた?」

「あのベンチにいる二人」

「どこよ」




サクラはいのが指さした方向を見た。




そこにはジェットコースターで、へろへろになったカカシがいた。



はたけカカシ15歳とそれを介抱しているうみのイルカ15歳。

「大丈夫ですか?」


イルカは焦った。





カカシの様子が変だった。



「今、何か飲みもの買ってきますね」



イルカはカカシをベンチに寝かせ立ちあがった。






サクラといのは目撃してしまった。



歳は自分達と同じくらいだけれど、

どう見てもベンチにいるのはカカシ先生とイルカ先生だ。

「カカシ先生だわ、あの銀色の髪に覆面、それにあの鼻傷にしっぽはイルカ
先生だわ!」

「うそ〜〜〜」

「あの二人こんなところで何しているのかしら?」

「怪しいわ〜〜いや〜ん」


サクラは想像して頬を紅くした。


カカシ先生とイルカ先生が遊園地でデート!?


いけない想像でサクラといのの頭はいっぱいになった。










ああ〜とんだ一日になってしまった。




カカシはしばらくベンチで休んだ。



イルカに支えられ帰宅した。


まだ足元がふわふわする。



「イルカ先生ごめんね。折角楽しんでいたのに」


「いいんです。楽しかったです。また連れていってくださいね」

「また〜あ〜もう駄目です〜」



お化け屋敷は怖いし、

コーヒーカップは目が回る。

「冗談ですよ・・・・でも一度二人で外で思い切り遊びたかったから、よかった
です」


二人にはまた新しい思い出ができた。







その頃。

木ノ葉の里では高速の早さでカカシとイルカが木ノ葉屋敷でデートをしてい
た、スキャンダルをしゃべりまくる、サクラといのがいた。




090728.



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