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確かに、お膳の上に置いたはずなのに・・・。
部屋の鍵をつけた、キーホルダーが見当たらない。
イルカは部屋をくまなく探した。
それは、アカデミーの生徒の一人、木ノ葉丸から今年の誕生日にプレゼント
された、大事な物だった。
「ああ〜どうしょう!」
”どっぷり”
イルカは落ち込んだ。
今夜は久しぶりに恋人のはたけカカシが、泊まりに来る楽しい夜だというの
に。
イルカは食事の支度さえ忘れてしまった。
”カチャリ”
部屋の鍵が開く音。
「あ、カカシ先生!!」
「こんばんは!」
片手に洋菓子店の箱を手に嬉しそうに彼は微笑んでいる。
「すみません、つい無くしたキーホルダーの事で頭がいっぱいで、夕飯を作
るの・・・・わすれました」
「先生、最近疲れているのでは?」
「そうかも知れません・・・・近頃こんな事が多くて・・・・」
恥ずかしそうに小声でイルカは言った。
二人は「一楽」で夕食をと、イルカのアパートを出た。
鍵はカカシの合鍵で閉めた。
「一楽」は里でも人気が高く、この日も行列が出来ていた。
二人もそれに加わった。
その前には、猿飛アスマと奈良シカマル。
ばったり!
「よお〜アスマ」
カカシが声をかけるとアスマは苦々しく笑った。
「どうしたの?」
様子が変だ。
「シ、シカマルとは・・その・・・偶然、ここで会ったんだ・・・・」
「なに、ビクビクしてんだよ、アスマ、いいじゃないか」
この二人は以前から関係が怪しいとカカシは思っていた。
あの鈍いマイトガイですら、二人の仲を疑っていた。
やがて、カカシとイルカ。アスマとシカマルの席が空いた。
「これは、皆さんおそろいで」
主のテウチは馴染みのお客に思わず白い歯を見せた。
イルカは味噌ラーメンを食べながら、考えていた。
「★★!???」
その時、何か電気のような物がイルカの脳裏を走った。
イルカは慌ただしく立ち上がり、食べかけのラーメンと恋人を放置して、走り
だした。
「イ、イルカ先生!!!」
カカシは狼狽した。
何事だろう?
ラーメンを残すなんて、しかも俺まで、まさか、忘れているのか?
「カカシ先生、顔、青いですよ」
「追いかけろ、カカシ!」
シカマルとアスマは口ぐちに云った。
カカシはラーメンの代を払うのも忘れ、イルカを追いかけた。
イルカは自分のアパートに向かっているようだ。
イルカは思い出したのだ。
アパートの風呂を沸かしたまま、外出した!
恐ろしい事実。
カカシの事すら、忘れて、夢中で走った。
”トントントン!”
階段を駆け上がり、息を切らせながら、ポケットから、キーホルダーを出し、
ドアを開いた。
お風呂は、消えていた。
全身の力が抜け、イルカはその場に座り込んだ。
「しっかり、イルカ先生!」
後から飛び込んできたカカシが身体を支えた。
「なにがあったんです、あんた?」
イルカは無くしたはずのキーホルダーを手に持っていた。
「まあまあ〜物忘れなんて、誰にでもありますよ・・・そんなに真剣に悩まなく
てもねえ」
カカシはイルカを励ますよう「焼きそば」を作った。
なにせ、二人共ラーメンを食べ損ねたのだ。
肉と野菜を手際よく炒めて、麺を加え、塩と胡椒、そして仕上げにソースで
完成。
「さあ〜食べて元気だして!」
優しい恋人に感激でイルカは鼻水をすする。
「ありがとう・・・カカシ先生」
イルカは箸を持ち、焼きそばにかぶりついた。
「うっ!?」
”甘い!”
カカシは塩と砂糖を間違えていた。
もう一つ、カカシは一楽の代金を払うのも忘れていた。
イルカの事で飛んでしまった。
ただ、この晩は二人共、悲しくなって、何も考えられず、布団にもぐりこん
だ。
久しぶりのえっちも出来ずに終わってしまった。
(残念ですね)
その頃、夜の繁華街をシカマルとアスマはブラブラ散歩していた。
「そういえば、先刻、一楽で誰かと会ったような気がするが、シカマル誰だっ
け?」
「アスマ〜誰にも会ってなんかないぜ、大丈夫かあんた?」
物忘れ、勘違い、
あなたにも心当たりはございませんか?
ええ、わたくしは年中です。
100807.
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”カカシ先輩、たまにはボクと付き合ってくださいよ”
つぶらな瞳でカカシの暗部時代の後輩、ヤマトことテンゾウが誘う。
「いや、でも・・・・俺、イルカ先生を待たせているし、悪い」
ボクの敬愛する、はたけカカシ先輩には強力な恋人がいた。
その名をうみのイルカ、アカデミーの教員で中忍の「しっぽ男」その彼に先輩
は魂を奪われているのだ。
イルカ先生を待たせてある、
その一言がテンゾウの心にグサリと突き刺さった。
昔は頼もしく、りりしかった、カカシ先輩もあのしっぽ男の前では、デレデレな
のだ。
「じゃあ〜来週でいいです。たまには息抜きしましょう!」
「ま、たまにはね」
先輩は面倒くさそうに、ボリボリ頭をかいた。
テンゾウは自宅の「ヤマトハウス」に帰宅した。
お湯を沸かし、お風呂に入る。
一日の疲れを癒す至福のひととき。
この「ヤマトハウス」もこのお風呂もすべて彼の木遁の術で作りあげた作品
だ。
しっぽ男めえ〜〜
”うきいい〜〜”
テンゾウは可愛いイルカに嫉妬が止まらない。
何故先輩はあんな天然がいいのだろう?
ボクだって、これでもイルカ先生と同じ歳だし、笑顔だって爽やかなの
に・・・。
ボクには何が足りないのだろう?
風呂からあがり、テンゾウはノートパソコンの前に座った。
最近、うみのイルカについてのデーターを彼は集めていた。
テンゾウはライバルの研究をしていた。
うみのイルカは里の上忍や中忍たちに評判が良かった。
あの潤んだ黒い瞳や優しい笑顔は魅力的なのだ。
イルカのサイトも多く存在した。
イルカのファンが作ったサイト。
”やっぱり、イルカさんには癒されます”
”あの笑顔を見ると、任務の疲れも飛びます”
癒し系かあ〜
よおおし!ボクも先輩を癒してみせる。思うぞんぶん。
”ゴオオオ”
テンゾウは燃えた。
本日の炎は青色だった。
「あちい〜〜!」
相変わらず自分の炎でやけどした。
そんなある夜のテンゾウ。
その頃。
はたけカカシはお布団の中で恋人のイルカを抱っこしていた。
「イルカせんせ〜あったかい」
「もう〜甘えん坊さん」
「だって俺は、先生になら甘えたいんです」
イルカはカカシの綺麗な銀の髪をなでた。
「ヤマトさんとのお出かけは駄目ですよ」
来週の事だ。
「だめなんですか?」
「あの人はカカシ先生の事がスキなんですよ」
”だめです”
「はい、イルカ先生」
カカシはイルカの云う事なら何でもきいてしまう、そういうところがあった。
しかし、後輩との約束も破れない。
一応、任務という理由でその日は先生を誤魔化そう。
ぬくぬくとイルカの体温がカカシに伝わってくる。
気持ちよく、何時しかカカシは眠りについた。
カカシは一人森の中で彷徨っていた。
森の中に一軒のログハウス。
「すみません、どなたかいらっしゃいますか?」
カカシは扉に手をかけた。
つぶらな瞳の見た覚えのあるヘッドギアの若者が5人もいた。
5人ともそっくりだった。
「ようこそ!テンゾウの家へ」
「先輩〜お待ちしていました」
カカシはテンゾウ軍団に囲まれていた。
テンゾウ達は潤んだ瞳でカカシを見つめた。
「今夜はスキにしてください」
”ひいいい〜〜”
深夜、
汗だくでカカシは目覚めた。
何と不吉な夢だろう。
テンゾウの軍団だなんて・・・。
どうせなら、イルカ先生の方がどれだけよかったか。
あいつが5人もいたら、怖いなあ〜。
カカシはテンゾウとの約束を思いだしていた。
テンゾウとは暗部時代からの、長い付き合いだ。
あまり、誘いを断り続けるのも、可哀相だ。
しかし、イルカ先生の悲しむ顔は見たくない。
ベットの中でカカシの恋人は安らかに眠っている。
安心しきった寝顔。
(ごめんね〜付き合いだから)
数日後。
カカシはテンゾウに案内をされテンゾウの自宅「ヤマトハウス」に招かれた。
「さあ、どうぞ先輩」
笑顔のテンゾウに背中を押されカカシは部屋の入り口から中へと入室した。
その刹那。
”タラリ〜〜ラ〜リイラアラア〜〜♪”
ハワイアンミュージックが、カカシの耳に飛び込んできた。
部屋には、ところどころに、ハイビスカスの花。
まるで南国のリゾートのようだ。
(なにこれ?)
「アロハア〜〜ようこそ、せんぱい〜〜〜」
そこには頭にハイビスカスを飾り、腰蓑を着けたテンゾウが、5名。
”テンゾウ軍団”
悪夢再来。
”タラタラタラ”
カカシは流れてくる冷たい汗をぬぐった。
これで、ボクの踊りで先輩も心から癒されるはず。
「さあ、歓迎のダンスをごらんあれ!」
”ドンドコドコドコドコ”
太鼓の音に合わせ、軍団は腰を振った。
今夜は心いくまで、先輩をボクの笑顔で・・・。
なんてね。
ああ〜。
どうして何時もこうなってしまうのだろう。
先輩は半分泣きそうになりながら、走り去ってしまった。
ぽっんと残されたテンゾウは窓を開き夜空を見上げた。
「おお〜神様〜こんなボクですが、先輩のハートをください」
手を合わせた、その瞬間、
”BON!”
白い煙が部屋に立ち込め、そこには一匹の白い犬が現われた。
何処かで観たことがあるような、
もしかして、この犬が神なのか?
「お願いします、カカシ先輩とらぶらぶになりたいんです」
その犬(神?)は威厳のある声で言った。
「おまえには、まだ早い!」
091102.
★最後はあの某携帯のCMでした(わああ)
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イルカの中で何かが変化しょうとしていた。
そう、あの”愛の炎”を飲んだ夜から・・・。
カカシの今回の任務は半月ほどだ。
そろそろ帰還してもいい時期だった。
イルカは何度も考えた。
あの夜のキスは、本当のところどういう意味なのだろうか?
はたけカカシ、エリート上忍のただの気まぐれなのかも知れない。
恋愛感情のない相手に、
しかも普通は男が男にキスするものなのか?
あれ以来、イルカは夜になると胸が痛んだ。
それは昔九尾事件で両親を失った時の痛みとはまた異なる。
彼に、恋という魔法をかけられてしまった。
時間か経過するほどに彼の存在が気になる。
通常、人間の記憶は時間が経過すれば薄れていくものなのだ、それなの
に、イルカの場合、あの夜のキスの感覚がより鮮明になって残っているの
だ。
何時しか、食欲も減ってしまった。
まんじりとしない夜が過ぎていく日々・・・。
会えない時ほど燃え上がるのが恋。
まるで、あのカクテル”愛の炎”にしてやられたのだ、自分は・・・。
イルカの眠れない夜がすぎていく。
おかげで、翌日の朝、目覚ましが鳴ってもイルカ先生は起きあがる事が出
来ませんでした。
彼の今までの平凡な生活は変わってしまったのです。
恋は人間を変えるやはり魔法のようなものなのでしょうか?
朝食もとらずイルカは職場に走った。
どんなに急いでも遅刻なのだけれど。
額に大量の汗がにじむ。
仕事では単純なミスを繰り返す、受付のやり取りすら、こなせない。
「イルカ、ちょっと」
イルカより年長の男がイルカを呼んだ。
受付のカウンターを出て別室に、
彼はイルカの先輩の中忍。
「イルカどうしたんだ?・・・最近ミスばかりしている、おかしいぞ」
「大丈夫です。・・・・少し夏バテしているみたいです」
”申し訳ありませんでした”
イルカは頭を下げた。
「体調が悪いなら、早めに医師の診察を受ける事だぞ」
「はい、ありがとうございます」
原因はお医者様ででも治せない。
どうする事も出来ない。
イルカは水を飲んだそして深呼吸した。
今夜はお酒を飲んで早く休もう。
気がつくとそろそろ定時がせまっていた。
後、5分。
その待っている5分は短いようで、長く感じた。
早く部屋に帰って、シャワーをあびて・・・。
”しっかりしろ”
”バタン”
受付のある部屋の扉が開いた。
イルカは立ち上がった。
はたけカカシがそこに現われた。
「イルカ先生、ただ今戻りました」
「お、おかえりなさい」
他に言葉が出ない。
嬉しくて、嬉しくて仕方ない自分がいる。
「報告書をお願いします」
「はい・・・ただ今」
少し手の動きが鈍くなりながらも、イルカは業務をこなした。
”グラリ”
その時、イルカの世界がぐるりと回転した。
赤い色と黒い色が視界にチカチカとハレーションを起こした。
「イルカ先生!」
イルカはその場にくずれた。
不規則な食生活と睡眠不足から貧血をおこしたのだ。
次にイルカが目覚めた時は、彼は木ノ葉病院のベットの上だった。
ベットの傍らにはカカシ先生が立っていた。
「おれ・・・・」
「気が付きましたね。・・・・最近体調がよくないと皆さん言っていました」
「ぜんぶ・・・全部、あなたのせいです」
「えっ?」
ぽろぽろとイルカの黒い瞳から熱い涙がこぼれおちた。
「やっと、やっとカカシ先生に会えた」
「イルカ先生・・」
カカシはそっと手をのばし、イルカの頭をなでた。
「そうです、やっと俺もあなたに会えた」
「おれ・・・カカシ先生にあいたくて・・・・胸が・・・・」
”ギュッ”
”俺もです、イルカ先生”
イルカの手をカカシは強く握る。
イルカもそれを握りかえした。
残念ながら、ここは木ノ葉病院の病室。
二人の間にほんのりと甘い空気が漂った。
「イルカ先生、体調が戻ったらまたあのお店に行きましょう」
「愛の炎はもういいです」
「いえ、次回は”薔薇色の人生”というカクテルをご馳走します」
「なんですかそれは?」
また妖しげな。
イルカは吹き出した。
うみのイルカの平凡な生活ははたけカカシという一人の男により、一転して
しまった。
俺にはこれから、薔薇色の人生が待っている。
どんな薔薇色なんだか?
090610.
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ただ、仕事場とアパートの行きかえりだけのごく平凡な毎日だったはず
が・・・・。
うみのイルカは毎朝目覚ましで同じ時刻に起きる。
教員たるもの遅刻などは出来ない。
そして習慣でテレビのニュースを観ながら、ご飯とみそ汁、規則正しい生活
を常に心がけていた。
そう、この日までは俺は俺なりに平凡な日々だった。
「あなたは胸が痛む事はありませんか?」
今朝のニュースでは元アナウンサーでタレントの司会者がそんな事を言って
いた。
不思議に毎年、夏になると俺は理由もなくテンションが落ちる。
原因というものもはっきりしないが、
左の胸のあたりが痛い。
これは、昔父ちゃんと母ちゃんを同時に失った後、時折俺を襲ってくる。
胸の痛み。
昨今は心ない悲惨な事件が多くそれをみるたびに、心が痛むと司会者は言
っていた。
それが痛みだと。
だから俺のものとはまた違うものだ。
イルカはテレビを消した。
イルカはこの日は受付の仕事が入っていた。
教員として働く他に受付の仕事にも入る事も多い。
まだ最近始めたばかりで少しぎこちないが、任務に出た忍たちの報告書を
受け取り確認するものだった。
そして空いている時間には資料の整理。
たまった資料のファイリングをすませたら、丁度午後の3時。
イルカは受付に戻った。
これから夕刻にかけては忙しいのだ。
その前にお茶でも飲もう。
販売機でイルカは冷たいお茶を買った。
席に座ったと同時に誰かが入室してきた。
「ご苦労さまです」
白銀の髪に顔のほとんどを覆面でおおっている、ナルトの現在の上司だ。
名前ははたけカカシ。
他里のビンゴブックにまで載る、大物だ。
「暑いですね」
「はい、暑い中、ご苦労さまでした」
彼は唐突にイルカに話かけてきた。
「今夜お時間あります?」
「は?」
18禁の愛読書を片手に彼は微笑んだ。
「本日はまっすぐ帰宅する予定です」
俺は微笑んだ。
カカシの瞳がキラリと光った。
「こんな暑い日には冷たいビールで」
「いいですね・・・・」
一応その場に合わせてイルカは答えた。
「じゃあ、5時に入口で」
「えっ?」
カカシは一方的に言って部屋を出て行った。
”おいおい”
俺の返事はどうでもいいのか?
勝手だなあ。
定時。
イルカは身の回りの整理をすませ建物を出た。
一方的とはいえ、約束は約束だった。
門の前で少し猫背の彼が相変わらず18禁の本を読んで待っていた。
イルカはカカシに案内され一軒の酒場に入った。
カウンターが広く、日ごろイルカが同僚と行く店よりハイレベルな店。
(高いのかな)
「今、イルカ先生はこの店は高そうだと思ったでしょ」
「あ?」
心の中をのぞかれたようで、イルカは少し焦った。
「大丈夫、今夜は俺の方がお誘いしたので俺に支払わせてください」
「困ります。そんな訳にはいきません」
カカシはプラチナカードを取り出した。
給料前で財布は寒いが、イルカはワリカンを主張した。
おごってもらう理由もない。
二人は横に並んで座っていた。
「マスター、この方に”愛の炎”をお願いします」
「ぷっ」
ビールと言っていたはずが、愛の炎とは、何処のメーカーのビールなんだ
か?
イルカはひいた。
紅色のカクテルがイルカの前に置かれる。
「つまみはどうします?」
メニューを見せてもらったが、イルカには見なれない料理名がずらり。
「カカシ先生が選んでください」
「そう、では、アンチョビのピザとサーモンのマリネ、それからナマ春巻き」
「かっこいい」
イルカは思わず口走ってしまった。
まるでテレビのドラマなんかで恋人同士が食べるようなメニューだ。
「愛の炎」はすっきり口あたりもよく、飲みやすい。
イルカは次第にハイテンションになっていた。
「イルカ先生はパンツはかぶるのと匂いを嗅ぐのとどちらが好みですか?」
「それは、やっぱりかぶる方です」
「あははは」
二人は酔いまくる。
そして話題も飛びまくった。
「じゃあ、俺のパンツかぶってください」
「ひ〜〜〜〜〜〜〜」
冗談なのか、本気なのか?
恐ろしい事をカカシは言う。
「結構毛だらけ、猫はいだらけ」
すでに「愛の炎」も3杯目、
少し脳に破壊されるような影響が出てきた。
カクテルの落とし穴。
「イルカ先生、一つ伺ってもいいですか?」
「はい、はい、はい♪」
「これから、ホテルにいきませんか?」
「はい、はい、はい♪」
”げっ”
イルカは返答している自分に驚いた。
この「愛の炎」には何か特別な人の心を狂わすような、薬でも混入している
のか?
それに先ほどから身体が熱くてベストも脱ぎ捨てしまった。
熱い、熱い。
「木ノ葉一、のお部屋を予約してあります」
「はい、はい、はい」
どうしょう、自分のブレーキが止まらない。
イルカは額の汗をぬぐった。
「さあ、俺とご一緒に」
そんな、イルカをはたけカカシは連れ出した。
「木ノ葉一のホテルって、あなたの部屋なんですか?」
少しだけ酔いもさめ、イルカは自分に戻る。
イルカはカカシの部屋に正座していた。
「カカシ先生、冷たいお茶をいただけますか?」
「ウーロン茶でいいですか?」
「ええ」
それにしても、こんな処まで一緒に来てしまって、大丈夫なのか?
イルカはカカシの部屋を見回した。
綺麗にしているな。
調度の色のバランスや全体のセンスが落ち着いていて、いい部屋だ。
やがてグラスに冷たいウーロン茶を入れた、カカシがこちらに歩いて来た。
「どうぞ」
「はい・・・有難うございます」
「大丈夫、怖い事しませんから、俺」
”ギクッ”
またもや、自分の心を見られているみたいだ。
イルカは冷たい水分を一気に飲みほした。
「どうして俺こんな処に居るんだろう?カカシ先生は危険だ、何されるかわか
らない」
カカシはシニカルに笑った。
イルカは宙を見た。
「冗談です。・・・今夜は楽しかった。久しぶりに沢山笑いました」
カカシは今度は本当に笑った。
そして、自分の顔をおおう覆面に手をかけた。
「どうぞ、お礼です」
「えっ?!」
イルカは目まいを覚えた。
想像以上な美貌の青年、はたけカカシの素顔。
イルカはぼんやりとその端麗すぎる彼の素顔を見つめた。
カカシはクスッと笑って、自分の顔をイルカの顔に寄せてきた。
ほんのかするほどの軽いキス。
彼の唇は柔らかかった。
次第にそのキスは深くふかく、本気のものとなっていく・・。
イルカは全身力が抜けそうだった。
そして、イルカはその場に座りこんだ。
「今、どんな気分です?」
カカシは再び覆面を装着した。
「騙されている、そんな気分です、怖い事はしないと言いながら!」
「あなたを見ていると・・・いや、何でもありません。・・・今夜はここまでです。
それにその気でない相手を抱く趣味は俺にはありません」
カカシはきっぱり言った。
何事もなかったよう、カカシはイルカをアパートまで送ってくれた。
まだ、残っている、彼の唇の感触が・・・・。
「じゃあ、明日から俺は少し里をでます。また」
「ご馳走様でした」
そう言い残しカカシはイルカに背をむけて歩きだした。
すたすたと振り返る事もなく彼が去っていく。
イルカはしばらくその場から動けなかった。
その晩は彼の唇の感触が残っているようで、
熱くて、熱くてイルカは眠る事が出来なかった。
★後編は来週予定ですy。
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青い空、白いふわふわの雲、よく晴れた非番の朝。
こんな日は一人で部屋で寝ていたら勿体ない。
その日久しぶりの非番をむかえたカカシはベットからおりて窓の外を見てい
た。
気持ちのよい風が吹き込んでくる。
このところ任務がたて続けでろくに休日もとれずにいた。
カカシはモーニングと洗濯をすませ
愛読書を片手に部屋をでた。
先日、アスマからある店の噂を耳にした。
そこは木ノ葉に新しく開店した「スーパー銭湯」
塩サウナや露天の岩風呂がある。
行ってみたい。
その時はそう思った。
ただ、多忙なカカシの場合、
行ってみたいと自分が思ってもそれが実現する事が少なかった。
非番はついつい寝てしまう。
それが自分の中で小さな不満となっていた。
まあ、だからといって遊び歩きたいとは違うのだが・・・。
たまにはアクションを起こそう。
そんな訳でカカシは一人で「スーパー銭湯」の門をくぐった。
午前10時、開店とほぼ同時に中に入る。
広々として出来たての店は綺麗で感じがよかった。
受付で着替えとタオルを受け取る。
やっぱり、青い空を眺めながら、まずは露天風呂だ。
カカシは自慢の岩風呂に直行した。
何とまだ誰もいないはずの風呂に、
うなじの美しい彼を見つけた。
”はあ〜〜〜いい〜湯だあ〜〜〜なあ♪”
彼は気持ちよさそうに鼻唄をうたう。
「イルカ先生!」
「あれ、カカシ先生、あっ!素顔!!」
声をかけられたのはそれはアカデミー教員のうみのイルカだった。
カカシが日ごろからちょっかいをだしている可愛い中忍の先生だった。
イルカはカカシの素顔に驚いている。
(やった♪)
カカシは心の中で歓喜した。
「カカシ先生がこんなところに来るなんて」
イルカはまじまじとカカシの素顔をみている。
何時もの覆面はしていない、、まあ風呂の中までは当然の事だ。
イルカは少し戸惑っていた。
なにせ素顔は絶世の美男なのだ。
それに一流の上忍が銭湯に現われたのだから。
「ああ〜気持ちいい、こんなのはじめてです」
イルカはにこにこと微笑んだ。
少し頬が赤い。
「カカシ先生がここにいらっしゃるとは想像がつきませんでした」
「そうですね。アスマから噂できいて・・・それにたまの非番ですしリラクゼー
ションしたくって」
確かにくつろげる空間だった。
「そうですね。温泉に行くには時間もかかりますし、手ごろに来られるから便
利ですね」
(おお〜いいかんじ!)
カカシはちらちらとイルカの身体を見た。
下半身はタオルで隠されているものの、
しなやかで美しい肢体だ。
(たまんない、イルカ先生)
”ぼこぼこ”
「へっ?」
そう思ったらカカシの自慢の息子が上をむいてしまった。
カカシは慌てて息子をおさえた。
「ねえ、カカシ先生、ここ塩サウナもあるんです。行ってみませんですか?」
「はい、凄いですね、是非」
二人はサウナルームに入った。
平日でまだ他の客はいない。
じんわりと身体をつたう汗は心地いい。
二人は横になった。
入浴に満足して二人はその銭湯を後にした。
「イルカ先生、俺一月ぶりの非番なんです」
「え?一か月も・・・・」
イルカは目を丸くした。
はたけカカシクラスの上忍となると休みをとるのも難しいだろう。
「だから折角だから、これからカラオケボックスに入ってみたいんです」
「カラオケGO!]
木ノ葉に一軒だけ存在するカラオケボックス。
一度でいいから、こういうところに来たかった。
イルカ先生は慣れているのだろう。
どんどんリモコンで曲を入力していた。
「さあ、カカシ先生も唄いましょう!」
「ええっ?!」
しかし、カカシには唄など普段聴く時間もなく知っている曲など少ない。
それに初体験なのだから。
イルカ先生は気持ちよさそうに唄をうたっていた。
なかなかに甘くていい声だ。
カカシにとってますます、いい体験だった。
そうだ、ここはカラオケボックス、密室に二人きりなのだ。
カカシはさり気なく席を移動した。
イルカの隣を確保した。
相手と親密になる為にはまず近くにいくことだ。
イルカは唄に夢中であまりその事には気がついていなかった。
カカシはフロントに酒とツマミを注文した。
イルカのオンステージがナマでみれるのだ。
そう思うと口元がゆるんだ。
「ああ〜よく唄った、ねえ、カカシ先生も何か唄いましょうよ」
曲名が書かれた本を渡されカカシは躊躇した。
最新のヒット曲など知らない。
カカシはペラペラと本をめくった。
そしてやっと知っている曲を見つけた。
カカシはリモコンで曲の番号を入力した。
”じゃん、じゃかじゃん♪”
カカシは唄った。
”人生〜楽ありゃ〜〜苦もあるさあ〜〜〜〜”
それは時代劇のテーマ曲。
しかも音程がはずれていた。
イルカはコケた。
でも終わった後には、ぱちぱちと拍手してくれた。
「照れちゃいます。イルカ先生のまえで」
「いえ、水戸黄門は名曲です」
二人は運ばれてきたアルコールを飲んだ。
「俺、恥ずかしいけれど、今だに行ったことのないところばかりなんです・・・
カラオケボックスもはじめてで」
カカシは遠くを見た。
人間が遠くを見る時は過去を思いだすという。
幼いころから天才忍者として育てあげられた彼には一般の生活とは無縁だ
った。
「たとえば?」
「ゲームセンターでしょ、ボウリング、遊園地も」
イルカは優しく微笑んだ。
「俺でよければ案内しますよ」
「ほんとに?」
ぱっとカカシの顔は輝いた。
何だか自分の世界がどんどん広がっていく。
楽しい非番だった。
憧れのイルカと丸一日を共に過ごした。
カカシは舞い上がっていた。
”うにゅうう”
カカシはベットの中目が覚めた。
まさか、俺は夢をみていたのか?
カカシは枕元の時計を見てショックを受けた。
もう午後、4時をすぎていた。
あの露天風呂も楽しいカラオケもすすべてが俺の見た夢だなんて・・・。
大切な非番を寝て潰してしまった。
またもや。
カカシはもそもそと起きあがり着替えた。
そして一人街にでた。
行きつけの居酒屋に入った。
もうそんな時刻なのだ。
洗濯も掃除も出来なかった。
むなしい一日だった。
カカシはカウンター席に座り「木ノ葉酒」を飲んだ。
所詮、俺には平凡な幸福とは無縁なのだろう。
せいぜい今夜は飲もう。
”コツコツコツ”
その時、カカシの背後靴音と人の気配を感じた。
「カカシ先生じゃないですか?」
「えっ?」
俺はまだ夢の途中なのか?
そこには、にっこりと微笑むイルカ先生が立っていた。
「イルカ先生!」
カカシは酒を一気にのんだ、
そして何度も自分の目をこすった。
なにかが、動き出していく、
新しくて素敵な何かが今、カカシの中で始まろうとしていた。
091005.
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小さなイルカは近所の公園であの子を待っていました。
それは先日、この小さな公園で出逢って一緒に遊んだ、銀色の髪の優しい
お兄ちゃん。
名前はカカシ。
幼稚園の帰り、イルカは今日も公園によりました。
ここに居ればまた、会えるかもしれません。
でも、今日もカカシは来ませんでした。
そろそろ夕方です。
「またあえなかった」
あきらめた時、イルカのお父さんが帰りの遅いイルカをお迎えに来ました。
「イルカ、こんな遅くまでだめだぞ」
「とうちゃん、ごめんなさい」
イルカは父に飛びついた。
「イルカ、今夜はお外でご飯食べよう」
「ほんと?」
「レストランでハンバーグだぞ」
「わあ〜」
イルカは飛び上がって喜びました。
レストランなんて久しぶりです。
里の中心にあるファミリーレストラン。
イルカの父、うみのは空席を探した。
「とうちゃん、あそこ」
イルカはあいている席を確保しました。
「イルカちゃん!」
なんと、その隣の席にはあの銀色の髪のお兄ちゃん。
「カカチ・・・カカチもきていたの?」
「うん、父さんと食事に」
カカシのむかいの席には父のサクモが座っていた。
カカシと同じ銀色の美しい髪の素敵なお父さん。
「はたけ上忍!」
うみのさんはびっくりしました。
カカシ君のお父さんは里では有名な忍でした。
「木ノ葉の白い牙」そう呼ばれている大物でした。
「カカシ、お知り合いなのか?」
サクモはちらりと息子の知り合いの子供の父親を見た。
黒々とした大きな瞳が印象的な彼とは、以前一度だけ任務で一緒になった
記憶がある。
「うみのさんですね?・・・お久しぶりです」
「覚えていらっしゃったんですか?」
「ああ、ちょうどいい、折角ですから飲みませんか?」
サクモは微笑んだ。
光り輝くような微笑みだった。
イルカはとっても嬉しかった。
カカシの隣に座り、ハンバーグを注文した。
「イルカ、こうえんでカカチくるのまっていた」
「えっ?ほんとうに?」
カカシは目を大きく開いた。
数日前、イルカちゃんと小さな公園で出逢った。
明るくて優しいイルカちゃんに、カカシもまた会いたいと思っていたのだ。
お父さんたちはビールで乾杯しています。
カカシは夢中でイルカちゃんとお喋りをしました。
(へえ〜)
サクモは息子を見た。
カカシはあまり、話はしない方だと思っていたが、このイルカちゃんとは気が
合うのだろうか。
カカシにもやっとお友達が出来たようだ。
日々を修業についやしているカカシには同年代の友達はいなかった。
イルカちゃんの父、うみのさんはとても、ほんわかとした人柄だった。
長めの黒髪を上で束ね、親子はおそろいでしっぽがあった。
とても子供がいるようには見えなかった。
綺麗だ、サクモはそう思った。
楽しい一夜だった。
イルカは父に手をひかれ家路にたどりつきました。
「カカシ君は白い牙の息子さんだったんだね。どうりで違うと思った」
「ちがう?」
「う〜〜ん、イルカよりずっとずっと大人だ」
「おとな?」
「イルカには早いね」
「はやくない。カカチとおともだちになったもん」
レストランでカカシの父、サクモはうみのに一枚のメモを渡した。
それはサクモのメールアドレス。
カカシもまたイルカちゃんにメモを渡した。
それはカカシのパソコンのアドレス。
「イルカ、ぱそこんする!」
まだ、4歳のイルカちゃんには少し早いようですが、
イルカちゃんはやると決めたら頑張る子でした。
それからイルカは毎晩お父さんからパソコンを習いました。
まだ簡単な文しか打てませんが、それでもそれがカカシに届くと思うと嬉しく
てたまらないのです。
数日後。
イルカちゃんはカカシ君と約束をかわしました。
”いつかの公園であそぼうね”
寒く長かった冬も終わり、ぽかぽかとした気持ちのよい日曜日。
イルカはうみのさんに作ってもらったお弁当を持ち公園に走りました。
ブランコにキラキラと輝く銀色の髪の男の子。
子供時代の綺麗な想いでは誰にでもあるものです。
イルカちゃんにも、カカシ君にも一生忘れられない楽しい日々が始まりまし
た。
それから数年の月日が流れました。
カカシは現在は20歳、暗部に所属しています。
彼の亡くなった父同様に優秀な忍に成長しました。
そして、イルカちゃんは?
「カカシ、どこいくの?」
大きな黒い瞳に揺れるしっぽの彼は今では少し大人びて美しくなりました。
「イルカ、おいでよ、散歩したくってさ」
二人はのんびりと公園をめざしました。
子供の頃よく遊んだ公園。
ただ、数年前に里を襲った悲劇で昔の公園は全壊してその後新しく出来た
ものです。
「ブランコあるね」
「うん」
「懐かしいな。・・・・・ここでよくイルカと遊んだ」
二人はブランコに乗りました。
大きくなった二人にはそれは小さく感じました。
「イルカは小さかったな」
「カカシだって同じ」
今では、カカシにとってイルカはかけがえのない恋人となりました。
暗部の任務は過酷なものですが、カカシには家に帰れば明るくむかえてくれ
るイルカがいるのです。
時刻はまだ朝の6時。
公園には誰もいません。
二人は子供に戻ったように夢中でブランコをこぎました。
「じゃあ、俺時間だからね」
「うん、きょうつけて」
カカシは元気に手をふるイルカの姿が一瞬だけ、小さなイルカちゃんに見え
ました。
変わらない太陽のような笑顔。
昔の公園は変わってしまったけれど、
また新たな想いでをこれからもイルカと二人で作っていきたい。
そう思うと自然と任務にむかうカカシの足は軽くなりました。
春先の甘い匂いが風に乗ってただよってきました。
誰にでも忘れられない幸福な時間がある。
俺にも、イルカにも・・・・・・。
100306.
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その深夜。
”キラキラキラ”
灯りのないカカシの暗い部屋に何かが突然と現れた。
「はっ!」
カカシは何かの気配を感じ飛び起きた。
そこには、夢か幻か、
黒い髪に黒い大きな瞳の、
カカシの憧れの天使様がにっこりとほほ笑んでいたのだ。
白く美しい羽は、本で読んだものと同じだ。
「て、天使様〜〜」
「はたけカカシさんですね。・・・私はイルカ天使。・・・あなたの夢をかなえる
為、天界からきました」
「なんですって?」
カカシは灯りをつけた。
天使様は見たことのない綺麗な白い服を着ていた。
歳はカカシと同じくらいなのか、
かわいい。
しかし、これは夢なんじゃあ?
カカシは頬をつねった。
(痛い)
一方、派遣天使イルカは、青年の素顔を見て、ドキッとした。
天界のモニターで観た時には覆面をしていて顔はわからなかった。
麗しい青年だった。
「私は天使。あなたの夢は?」
(お金持ちになりたいのかな?)
古い長屋に住んでいるし、
多分そんなところかな?
カカシは天使様の手を取った。
「俺の夢は、天使様と恋におちることです!」
「ええ〜?!」
こんなチャンス逃すもんか!
なにせ本物の天使が、カカシの部屋に夜這いにきたのだ。
カカシはオオカミになった。
「いゃ〜〜〜〜〜〜〜〜」
せんべえ布団に華奢なイルカ天使を思い切り押し倒した。
そして彼の着ている純白の衣装を夢中ではいだ。
細身の肢体はやけにエロチックだ。
イルカ天使は困惑した。
しかし、この人間の望みがこれなら・・。
俺は試験に合格したいのだ。
そうしてイルカ天使は青年と一晩中えっちした。
イルカは正天使に昇格した。
「カ、カカシ〜〜〜」
”ばたばた”
黄色い髪に明るい瞳の、ミナト先生が眠っているカカシの長屋の戸をたたい
た。
カカシは、起きあがった。
「もう、何時まで寝てんだか」
「ミナト先生、なんですか?」
カカシはまだ、美しい天使様と夢の中にいた。
「愛しのイルカ天使様」
「なんだよそれ?・・・そんな事よりカカシ、君が書いた小説がコンクールで大
賞とったんだ。喜べカカシ」
「ほんとう?」
そんな凄い事ってあるのだろうか?
傘を貼る貧しい青年カカシは作家に変貌したのだ。
”ふう〜”
折角、正天使に昇格したものの、
イルカ天使は、
あの銀色の髪の人間の事が忘れられなかった。
出来るならもう一度あの人に会いたい。
イルカは人間界をのぞくモニターでカカシを観ていた。
あの貧しい青年は、今自分の書いた小説が認められ作家に出世していた。
そして、同じようにカカシも、
カカシは作家になれたのだが、
あの天使様との濃厚な一夜が頭から離れなかった。
清らかでいて、そして色っぽい、イルカ天使。
あの愛らしい天使様にもう一度会いたい。
”会いたい”
”会いたい”
想いはつのるばかり・・・。
そしてついにその夜。
イルカ正天使は天界を脱走した。
あの青年の部屋に現われる。
出世したというのに、彼は相変わらず長屋に暮らしていた。
せんべえ布団でいびきをかいて寝ていた。
「カカシさん、カカシさん」
枕元でイルカ天使はカカシを起こした。
どこかで聞いた事のある声だ。
そうだ!
カカシは起きあがった。
そこにはあのイルカ天使が枕元で立っていた。
「天使様、どうしてここに?」
「あなたにまた、どうしても会いたくて天界を脱走しました」
「だ、脱走?・・・・・俺も、会いたかった」
二人はお互いを見つめた。
互いに同じ気持ちだった。
二人は強く抱き合った。
「人間に恋をした天使はもう、天界には戻れないんです」
「それなら、ずっと俺と暮らせばいい!」
「カカシさん」
「イルカ天使」
派遣天使から正天使になるのが、イルカの夢だった。
でもそれ以上に心をカカシという青年に奪われてしまった。
”ぼん!”
その時、
白い煙と共に、
大天使綱手様が現われた。
「うわ〜すごい、」
カカシは綱手のおおきすぎる胸をみて驚いた。
「こらイルカ、天界を抜け出して何をしている。・・・お前はこれから正天使と
して沢山働くんだぞ」
「綱手様・・・」
イルカはたじろいだ。
そこに割って入るように、カカシは大天使様の前に立った。
「この人は渡せません。俺と結婚する約束をしました」
「なんだと?!」
「俺のこの命をかけてでも、イルカ天使一生お守りします。・・・だから連れて
いかないで」
大天使は腕を組んだ。
「大天使様。それが、この人間の心からの願いです。・・・人間の夢を叶える
のが、私たちのお仕事ですよね」
イルカも必死だった。
二人は綱手に頭をさげた。
ひたすらに・・・。
「わかった。・・・イルカ、本日限りお前は天界から追放だ。罰としてこの男の
嫁になれ」
イルカは天使の資格を失った。
かくて、傘貼りの貧しかった青年カカシは憧れの美しい天使と結ばれた。
現在は大好きなえろ小説を書いて、
二人は幸福を手にしたのです。
「これでどうですか?自来也先生」
カカシは出来あがった原稿を大作家の自来也先生に見てもらっていた。
「まだまだじゃのう〜エロシーン後50ページ書きたし、いいな」
「了解!」
カカシは原稿用紙を持って走った。
天使の待つ家に。
091016.
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木ノ葉の村の片隅で一人の貧しい青年が、細々と傘を貼って暮らしていた。
名前ははたけカカシ。20歳。
銀色のピカピカの髪にそして顔のほとんどを覆面で隠していた。
何でも彼の一族は素顔を隠すのが習慣だった。
「ああ〜腹へった」
台所に行くが水しかない。
食べるものがなかった。
買い物に出たかったが、今月も残りの銭は少なかった。
カカシは仕方なく、彼の住む長屋の近所のえろ作家のもとを訪ねた。
「自来也先生!」
「おう、カカシ久しぶりじゃの」
「俺、今月も傘が売れなくて・・・・」
「そうか、お前も大変だな。・・・よし、餅でよければたらふく食っていけ」
「ホントですか?」
自来也は大柄で白く長い髪の男だった。
彼の書く小説のカカシは大ファンだった。
ただ少しえろいのだが、
そこがいい!
カカシは本が大好きだった。
自来也は皿に焼いた餅に醤油をかけたものを持ってきてくれた。
久しぶりにカカシは腹がみたされた。
”じ〜〜ん”
カカシは思わず感激して涙ぐんだ。
「のう、カカシ。・・・傘など地味に作っていないでお前もワシの弟子になって、
ミナトのように売れっ子作家になったらどうだ?」
ミナトとは自来也先生の一番弟子で売れっ子作家である。
「でも、俺にはそんな才能ないですし・・・」
小説は好きだ。
何時も自来也先生のところで本を借りて読んでいた。
「よし、この餅の代金として1本書け」
「わかりました。・・・・先生また本をお借りしていいですか?」
「好きに持っていけ」
カカシは大きな本箱の中から一冊取った。
タイトルは、
「天使のラブストーリー」
とあった。
真っ白で美しい羽に黒くぱっちりとした瞳の青年が本を読んでいた。
昨今では天界も厳しく不況もあり、天使の彼ですら「派遣天使」だった。
一日も早く正天使に昇格したい。
もうすぐ今年も正天使の試験がある。
天使は下界に暮らす人間を幸福にするのが仕事だった。
この派遣天使の名前はイルカ。
黒い髪を上て束ねて愛きょうのある可愛らしい青年天使。
「お〜い、イルカ、大天使様がおよびだ」
同じく派遣天使の楊枝をくわえたゲンマがテラスで本を読んでいるイルカを
呼びに来た。
大天使様の名前は綱手様。
天使のリーダーだ。
イルカはのこのこと綱手様の部屋を訪ねた。
「大天使様、およびでしょうか?」
綱手様は本当はもういい歳だというのに、
何時までも若くそして美しかった。
見た目の美しさも天使の条件だった。
「どうだ、試験勉強は?・・・・イルカ、お前は実力はあるんだが、少しおっち
ょこちょいだからな」
綱手は笑った。
「はい、でも俺は人間を助けたり夢をあたえるのが、俺の夢です」
「まあ、あきらめずにトライすることだ」
「はい!」
イルカは3時のティータイムに団子とお茶をご馳走になった。
(頑張るぞ!)
その頃、
人間界、すなわち傘貼り青年のはたけカカシは長屋で自来也先生から借り
た本に夢中だった。
「天使様かあ・・・」
純白の羽に美しい姿をしていて、その上人間を助けてくれるなんて。
俺も天使様に会ってみたい。
カカシは自来也先生から貰って来た原稿用紙を取り出した。
自来也先生もミナト先生もカカシには文才があると言ってくれる。
カカシはペンを持った。
ほんの軽い気持ちで、
小説を書いた。
”すらすらすら”
何も考えず夢中でカカシは書いた。
なんでも、近くに小説のコンクールがありそれに優勝すればプロの作家の道
が開けるそうだ。
そしたら、カカシはもう傘など地味に作らなくても暮らせていける。
カカシは書いた。
男の夢、そしてロマンスを・・・。
それから数日後。
イルカ派遣天使は正式の天使となる試験を受けた。
試験管は少しワイルド系なアンコ天使だ。
二人は大きな鏡を見ていた。
「いいか、この銀色の髪の人間は貧しくて困っている。この男の夢を叶える
のが、今回のイルカのテストだ」
「はい」
その鏡には人間界が映っている。
白銀の髪に覆面の青年。
イルカはじっと見つめた。
「よし!」
絶対、正天使に昇格してやる!
イルカはやる気まんまん。
カカシは先日読んだ、天使様の話が忘れられなかった。
天使が人間に恋をする物語。
それはそれは,ドラマチックだった。
特に美しい天使と人間のあっはん、うっふんは、自来也先生の話なみに刺
激的だった。
カカシは一人夢をみた。
書きかけの話も出来あがった。
カカシは夜もふけたので、せんべえ布団をひいて横になった。
★後編に続く
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ふかぶかと木ノ葉の忍達が集う居酒屋で、上忍はたけカカシはため息をつ
いた。
「いゃあね、カカシもう3回目よ・・・そんなに私と呑むの退屈なの?」
美しい上忍仲間の夕日紅。
今夜はカカシは紅と二人。
「いゃ・・べっに」
「ねえ、何か悩み事あるんでしょ。あんたらしくないわね」
カカシは遠くを見た。
そして言った。
「恋しているんだ」
”げっ!”
紅はひいた。
はたけカカシは忍としては一流だが、変わり者だ。
今までそういった話などきいたことがない。
カカシが恋をするなんて、
いったい相手は何処の誰?
(知りたい)
紅は興味を持った。
「ねえ、話ちゃいなさいよ。話せば楽になるわ」
カカシは一口酒をのんだ。
「木ノ葉一、キュートな受付、うみのイルカ先生」
「ええっ!?」
相手はアカデミーのイルカ先生だ。
「でもイルカは男なのよ」
一般論が通用するカカシではなさそうだ。
「でも、その様子じゃあ完全にあんたの片想いね」
「うん、恥ずかしくって俺、お茶にも誘えないんだ」
それにしても男に恋するなんて、
まあ、忍の世界は男の方が多くそういうカップルも多かったのだが・・。
「イルカ先生ねえ〜真面目でとてもいい人ね・・・・カカシあの人は普通の人
よ。・・・・恋がしたいのなら他をあたりなさい」
「嫌だ。・・・あの風に揺れるしっぽ、オニキスのような輝く瞳、太陽のような
笑顔」
ああ〜〜〜
カカシは思わず股間を押さえた。
「もう〜何してんの変態!」
”きぃ〜”
紅は怒った。
「紅。あの人とお付き合いするにはどおすればいい?」
カカシは恋愛には少し奥手なのだろう。
今だに声すらかけられないなんて・・・。
「わかったわ。私がイルカ先生を呼び出してあげるから・・・報酬は高いわ
よ」
「ほんとう?」
ぱあっとカカシの瞳が輝いた。
今日は朝から受付は混雑していた。
うみのイルカはてきぱきと業務をこなしていた。
そこに上忍の夕日紅が現れた。
美しいくノ一は目立つ存在だった。
「ご苦労様です。紅先生」
「報告お願いね」
「かしこまりました」
迷わずイルカの前に立つ紅。
イルカの受付仲間は羨ましそうにイルカを見た。
「ねえ〜イルカ先生。今週私のお友達を集めてちょっとしたのみ会がある
の。・・・イルカ先生にも是非参加してほしいの」
「えっ?紅先生と・・・・」
こんな美人から誘われるなんて、
でも安易に了解していいものなのだろうか?
イルカは少し迷った。
「じゃあ〜今週木曜日このお店に来て、絶対よ」
紅はメモをイルカに手渡した。
そして去っていった。
「いるかあ〜〜羨ましい〜〜〜!」
隣に座っていた中忍仲間は思わず本音を吐いた。
(紅先生が何故?)
お互い知人ではあるものの、のみ会なんて・・・。
でもほんの少しだけ興味があった。
最近イルカは毎日仕事ばかりでたまには外で気晴らししたい気分だったの
だ。
いい気分転換になる。
イルカはその時、まさかそれがはたけカカシとのお見合いの席とは全く予想
がつかなかった。
カカシは自分の部屋の鏡の前で自分の顔を見ていた。
何時も顔のほとんどを隠している覆面はとられ、勿論自分の部屋だからカカ
シは素顔だった。
カカシが見る自分の顔は、自分でも惚れ惚れするいい男なのだ。
それなのに、なかなかに今まで恋愛に縁がなかった。
「イルカ先生」
はじめはこっそりと彼の姿を眺めているだけでカカシは幸福だった。
明るくアカデミーの生徒たちと走り回っていたり、ベンチで一人でおにぎりを
食べているその姿はとても魅力的だった。
カカシは一人彼との恋愛を夢みた。
二人で街を歩いたり。
公園で手をつないだり。
そして、そして!
「あああ!!」
カカシは興奮して股間を押さえた。
カカシの恐竜さんは正直だった。
最近ではイルカ先生の事を考えるだけでこうなってしまう。
恋の病とは恐ろしいものだ。
今週の木曜日の夜、紅がイルカ先生との約束をとりついでくれたのだ。
居酒屋でいざ、三人でお酒をのむ。
(何着ていこう?)
やはり「お見合い」となると忍服ではイルカ先生に失礼だ。
ああ〜イルカ先生もお洒落してくるのかな?
楽しみだ。
もし、着物だったらどうしょう。
あの人なら着物姿も似合うだろう。
うっとりと着物姿で微笑む彼を想像した。
あの輝く笑顔は罪深い人だ。
カカシの夜は妄想と共にふけていった。
紅が用意した店は落ち着いて綺麗な居酒屋だった。
今回は個室を予約した。
「素敵なお店ですね。・・ところで今夜は紅先生の他にどなたがいらっしゃる
んですか?」
アカデミーの帰りイルカは忍服姿。
「ええ、今夜は、はたけカカシとはたけカカシとはたけカカシが来るわ」
「ええ?」
紅先生と三人のカカシさんなのか?
イルカはこれまで何度かはたけカカシとは話をしたことがある。
何だか少し変わっていて面白い男だった。
店の店員に案内され紅とイルカは個室に入った。
そこには!
そこには純白のタキシードに胸に赤い薔薇を飾ったはたけカカシが正座をし
て二人を待っていた。
「カカシ、なによそれ?」
「だって、イルカ先生に失礼だろう」
イルカは目を丸くした。
居酒屋で場違いのお洒落をしているカカシ。
「すみません、俺忍服で・・・・・」
「いいんです。さあ座ってください」
紅とイルカが並んでその向かいの席にカカシが座った。
”し〜〜〜〜〜〜ん”
なかなか、カカシもイルカも口を開こうとはしない。
しびれをきらした紅が口を開いた。
「ねえ、カカシ、黙っていたら何も伝わらないわ」
「はっ!」
カカシはタキシードの懐をさぐりそして一通の文をイルカに差し出した。
「これをイルカせんせいに」
顔がタコのように赤い。
カカシってもう〜
なんで、対面しているのに手紙なんて?
紅はその成り行きを見守った。
イルカはそれを受け取った。
「読ませていただきます」
イルカはなんだかわからないが、楽しそうだと感じた。
のみ屋であの里をきってのエリートはたけカカシからお手紙。
イルカは文面に目をとおした。
”ぶるぶるぶる”
イルカの手が震えた。
「あ、あなたは、俺が好きなんですか?」
”ひいい〜〜〜”
里のトップクラス、コピー忍者、ビンゴブックにまで載っている、はたけカカシ
が・・・・・。
(どうしょう?)
イルカは考えた。
腕を組む。
「お返事をください」
「わかりました」
イルカは鞄をあけて、レターセットを取り出した。
「ち、ちょっと、イルカ、あんた何でそんなもの持っているの?!」
ちょっと、このふたりやっている事信じらんない。
紅はひいた。
しかし、その後の展開は見たかった。
イルカはペンでしたためた。
”今、ここであなたの素顔を見せてくれたら、はじめはお友達になります”
そしてカカシに差し出す。
カカシは緊張しながら手紙を開いた。
「今、ここで・・・・」
”わかりました”
カカシはゆっくりと顔の覆面をおろした。
”ピカ〜〜ッ!”
光輝くようなカカシの美貌に紅もイルカも目を回した。
「イルカ先生!」
カカシは気を失ってしまったイルカを抱き起こした。
「ああ〜〜い、いいい!!」
「ああ?い、いい?」
それって、それってこれはOKの返事だ。
こうして見かけによらず奥手なはたけカカシは憧れのうみのイルカとお友達
の切符を手にした。
恋人までのみちのりはまだ遠い。
それでも俺はイルカ先生が好きだ。
夢はあきらめない。
091009.
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「じゃあ頼んだな。・・・悪いなイルカ」
「いいよ。一週間位・・・・それに俺、動物好きだから」
イルカのアカデミー時代からの友人が少し家をあける。
彼はイルカと同じアカデミーに勤務していたのだが、現在は実家の居酒屋を
ついで経営している。
彼の留守の間、ペットのオウムのオーチャンの世話を頼まれた。
綺麗な緑色の鳥を籠に入れたままイルカはアパートに連れて帰った。
何でも、友人の話によると、このオウムはすごく頭がいいのだそうだ。
「さあて、一週間俺が可愛がってあげるね。オーチャン」
籠を窓の側に置いた。
「仲良くしてね」
すると、
”仲良くしてね”
鳥はいわゆる、オウムがえしをした。
「すごお〜い」
すぐに言葉を覚えるなんて、
イルカは感激した。
「オーチャン」
”オーチャン、イルカすきすき」
鳥は羽を広げ楽しそうに言う。
「あれ?」
イルカは首をかしげた。
そんな言葉教えていない。
ふと友人の顔が浮かんだ。
(まさかね)
しかし、可愛いオウムから嫌われるよりはいいけどね。
その時は軽くそう思った。
イルカは夕飯の準備をはじめた。
今夜は恋人のカカシ先生が来る大事な夜。
先日テレビで観た「グラタン」を作ってみよう。
”フンフンフン♪”
イルカはオーチャンの事を忘れ料理に夢中になった。
どんな事でも一生懸命やる性格だった。
はたけカカシの恋人として、恥ずかしくないよう、イルカは努力していた。
そして夜。
グラタンが焼けた頃にカカシがイルカの部屋を訪れた。
イルカの部屋に見たこともないオウム。
「イルカ先生、これオウムですね」
「はい、友人からしばらく世話を頼まれました」
「へえ〜綺麗な羽している」
「カカシ先生、すごいんですよ、人間の言葉をすぐに覚えるんです」
「利口ですからねオウムは」
カカシはベストを脱いでくつろいだ。
通いなれた恋人の部屋は居心地がよかった。
「今夜はグラタンですか?・・・イルカ先生また腕をあげましたね」
「そう言っていただけると嬉しいです」
ぱっとイルカの顔が輝いた。
愛しい人から褒められれば誰だって嬉しいものだ。
その時、オウムが口を開いた。
”スキスキ、イルカ”
”だあ〜いスキ”
「ええっ?!」
何だとこのオウム!
よくも俺のイルカ先生を好きだなんて!
”メラッ”
カカシは大人げなくオーチャンに嫉妬した。
「まあまあ〜相手は小動物ですから」
イルカはなだめた。
”オーチャンスキスキ”
鳥は羽を広げ楽しそうに言った。
夜もふけて二人は部屋の灯りを消した。
そして今夜もスタンバイ。
朝まで二だけの甘い世界。
カカシもイルカも夢中でお互いを求めあった。
「ああ〜〜ん」
「さあ〜まだまだですよ。イルカ先生」
「いくう〜」
ハードな夜が過ぎていった。
二人は満たされてベットに深く沈んだ。
平和な一夜だったのだが・・・・・。
翌朝。
”ああ〜〜ん、カカシ先生”
”まだまだですよ。イルカ先生”
かん高い鳥の声に二人は飛び起きた。
あの、オウムのオーチャンがとんでもない事を口走っている!
”カカシ先生、もっとお”
”まだですよ。本番はこれからです”
”はやくうう〜〜”
”今度はどんなふうにされたい”
オウムは楽しそうに喋り続けた。
勿論、鳥には悪意はないのだが。
それは昨夜の二人。
「は、恥ずかしい!」
「いゃあああ〜〜!」
”ゴオオ”
二人は顔から大量の火を吹いた。
”ちりちりちり”
そして二人は自らの炎でちりちりになった。
あまり、お利口な動物は考えものだね。
もう二度と動物はあずからない。
というか、この鳥かえせない!!
どうしょう・・・・。
091004.
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