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12月24日。
クリスマスイブの夜はうみの親子とはたけ親子の合同クリスマスでした。
丸い綺麗なケーキやチキンを食べてカカシ君もイルカちゃんも楽しそうでし
た。
「イルカちゃんこれプレゼント」
カカシは照れくさそうに小さなリボンのついた箱をイルカちゃんに贈りまし
た。
「わあ~ありがとう。カカチ、イルカもプレゼントだよ」
子供達はプレゼントの交換を始めました。
その傍らではサクモとうみのがお酒を飲んでいました。
シャンパンにビールとワインです。
大人には大人の楽しみがあります。
「今夜は俺のお部屋で二人で寝ようね」
「うん、イルカサンタさんがくるまでまつ」
「えっ?」
イルカちゃんどうしてもサンタさんに会いたかったのです。
寝ないでサンタを待つつもりなのです。
「とうちゃんじゃないかたしかめる」
「イルカちゃん、サンタはよい子の処にしか来ないんだよ」
「イルカいい子だもん!」
”きっぱり”
カカシは困りました。
イルカちゃんが寝ないで起きていたら、サンタの正体がバレてしまう。
「ほらもう8時だぞ、良い子は2階で寝なさい」
サクモは子供達をさっさと寝かせてうみのさんと、イチャイチャするつもりで
す。
カカシはイルカちゃんと二人で2階の子供部屋にあがりました。
今夜はイルカちゃんと同じベットで寝るのです。
何故だかドキドキします。
二人はパジャマに着替えました。
「ちゃんと寝ないとサンタさん来ないよ」
「うん」
にっこりと笑う天使のような彼にカカシは再び胸がどきどきしたのです。
恋とはそういうものなのでしょうか?
まだ幼い二人のクリスマスの夜がふけていきました。
1階のリビングでは二人の父達がワインで乾杯していました。
「さあ~うみのさん、もっと呑みましょ!」
「ありがとうございます」
「午前0時になったらやりますから、それまで・・」
サクモは手をのばしてうみのの身体を抱き寄せた。
「だいじょうぶ?」
「もう寝てますよ」
「ふふふ」
サクモはこの晩の為にサンタの衣装を用意していました。
深夜、イルカちゃんのもとにプレゼントを届ける役を引き受けたのです。
「イルカちゃん?」
「うん」
「まだねむれない?もう11時すぎたよ」
「うん、ねれないよ。カカチ」
「困ったな」
「どうして?」
カカシ君はお父さんが部屋に来るまで見届けるつもりでしたが、イルカちや
んより先に眠りそうです。
しかし、イルカちゃんは興奮しているのか、まだ眠れないようです。
(おれが寝るわけにはいかない)
カカシは目をこすり、待ちました。
深夜0時過ぎ。
”どさり、どさり”
重い階段を上る音。
(きた!)
イルカちゃんは寝たふりをしました。
サンタさんが、来てくれたのです。
お部屋のドアが勢いよく開きました。
「!!!!?????」
やはり寝たふりをしていたカカシ君は自分の目を疑いました。
白い髭に赤い帽子に裸にトランクス1枚のいかがわしいサンタもどきが、よ
たよた部屋に入って来たのです。
「う~~い~~ヘリヘリくりすます~~ういい~~~」
大酒呑んで、でろでろに酔っぱらったサクモサンタです。
(サンタさんははだかなんだ?)
イルカちゃんは怖くてベットの中で震えていました。
大きなプレゼントの箱を裸のサンタさんはどさっと置きました。
(父さんの馬鹿!!)
カカシ君は情けなくて涙がでました。
チチチチ。
朝を知らせる鳥のさえずり。
カカシ君はまだ眠っているイルカちゃんが起きないよう、そっと1階の部屋に
おりました。
リビングでは酔っ払いパンツ1枚のサクモさんと同じくパンツ姿のうみのさん
が、仲良くソファーに眠りこけていました。
「あ~~あ~~~」
カカシ君は取り合えず、「どうしょうもない大人という生き物」に毛布をかけて
あげました。
再び何時もの公園でイルカちゃんはゲンマ君と遊んでいました。
「ほんとだよ、サンタさんきたよ」
「へえ~」
「でもはだかだった」
「え?」
いったいどんなサンタなんだろう?
裸のサンタにゲンマ君も首をひねりました。
「ゲンマくん。サンタさんはいいこのところにしかきてくれないんだよ」
にっこりとイルカちゃんは微笑みました。
クリスマスの後、
カカシ君はしばらくお父さんとは口をきいてくれませんでした。
年末、近く飲酒は適度にしましょう!!
メリークリスマス!!
091226
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冬の寒い公園で小さな男の子が二人お砂場で遊んでいました。
一人のはとびっきりの大きな黒い瞳の綺麗な男の子、もう一人は口に楊枝
をくわえています。
二人は幼稚園の帰りにここに立ち寄りました。
なかなかに愛らしい子供達です。
「ことしもサンタさん、イルカのおうちにくるかな?」
うみのイルカは現在4歳です。
同じ幼稚園「梅組」のゲンマ君とは仲良しです。
澄んだ瞳は夢をみていました。
「イルカ、ほんとうはサンタなんて、いないんだぞ」
「うそ、ホント?ゲンマくん」
”ガ~ン”
イルカちゃんショックをうけてしまいました。
”ひゅう~”
冬の公園に冷たい風が吹きました。
その夜、イルカちゃんの夕飯はおでんでした。
毎年冬になるとおでんがつづきました。
イルカちゃんのお父さんのうみのさんはお料理が得意です。
ただ、現在はわけありでお母さんとは別居しています。
父と息子の二人暮らし。
「ねえ、とうちゃん・・・サンタさんほんとうにいるの?」
真剣な眼差しで息子は父を見上げました。
「イルカ、サンタさんはいるよ」
「とうちゃんがサンタなの?」
”ぎくっ!”
今まで純真にサンタクロースを信じていたイルカが夢のない事を言い出しま
した。
「サンタさんは今年もイルカのところに来るよ」
「でも・・・ゲンマくんがサンタさんはいないって」
哀しい瞳のイルカちゃんは溜息をついて、夕飯のおでんを残してしまいまし
た。
夕飯後、イルカちゃんはお父さんのパソコンを借りて、イルカちやんの大好
きなボーイフレンドのカカシ君にメールを打ちました。
4歳のイルカちゃんはとてもお利口さんでした。
”カカチ、こんばんは。サンタさんははいないってきょうゲンマくんにいわれ
た。とうちゃんはいるっていうけど、カカチはいるとおもう?
イルカはいるとおもうんだよ”
イルカちゃんはメールを送信しました。
木ノ葉の「白い牙」はたけサクモの一人息子カカシは5歳。
美しい銀色の髪の美少年です。
優秀な忍の父を持つカカシは天才でした。
カカシがキッチンで夕飯の後かたづけをしているとそこに、父のサクモが腰
にバスタオルだけをまとい現われたのです。
「父さん、家の中で裸でうろうろしないでよ」
「いいだろう?うちは男だけなんだし」
それより、ビールだ。
「ねえ、12月だよ、寒くないの父さん?」
「いいや」
カカシと同様に綺麗な銀色の髪に整った美貌の父は最近はもっぱら家では
半裸でした。
「はだかでいるのうみのさんに言いつけるよ」
「なに?」
カカシの父はイルカちゃんのおとうさんが好きなのです。
子供達に隠れて交際していました。
うみのさんを出され仕方なくサクモはスエットのパジャマに着替えました。
「お~い、お前にメール来ているぞ」
”ぱたぱた”
メールの相手はイルカちゃんです。
カカシはリビングに走りました。
イルカちゃんはカカシ君の大切なひとです。
「イルカちゃん、サンタクロース信じているんだ」
「まあ、幼稚園だからな」
「でもどうしよう、本当はいないなんて言えないなオレ」
優しいカカシ君は返事に悩みました。
”イルカちゃん。サンタクロースはいるよ。よい子のお家にプレゼントを持っ
てきてくれるんだ”
夢を壊したくありませんでした。
静かなコーヒーショップでうみのさんはサクモさんと会っていました。
「それで、うみのさん今年は俺がサンタクロースに?」
「ええ、24日の夜にお願いできないかと」
「う~~~~ん」
うみのさんの代わりにサンタに変身する、サクモさんは少し考えました。
まあ、その日は今のところはオフだし・・・・。
可愛いイルカちゃんの為なら、
「まかせて下さい、うみのさん」
”キラッ!”
さり気なくサクモはうみのさんの手を握りました。
ぽっとうみのさんは頬を赤くしました。
父たちはらぶらぶなのです。
クリスマスの計画が進んでいました。
自宅に帰ったサクモは息子のカカシにクリスマスの計画を話ました。
24日の夜はうみのさんとイルカちゃんをはたけ家にお泊まりするというので
す。
サンタはうみのさんの代わりにサクモが変装するという計画でした。
イルカちゃんの夢を壊さないために。
「父さんありがとう」
「全く、"白い牙"がサンタだなんて恥ずかしいな」
「あのう・・・父さんこれ着て」
またもや風呂上がりの父は裸でした。
しかも今夜は何も身につけていませんでした。
恐竜さんも「こんにちは」状態でした。
カカシは父にパンツを渡しました。
「裸の方がよく眠れるんだけどなあ~」
サクモはパンツをはきました。
12月の前半の夜はふけていきます。
★後編は来週を予定しております。
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この世界の、木ノ葉から遥かに南の国には、七色に光る美しい海があると
いう。
そこには沢山の珍しい魚が生息しており、なかでも、身体の半分が魚で半分
が美しい人間の「人魚」がいるという。
「なんだか夢のようなお話ですね」
イルカは作りかけのプリントを入力していた。
明日、アカデミーで配るものだ。
「俺、綺麗な人魚さんに会いたい!」
ぽそっと恋人は言う。
「いけません、もう~俺がいるのに!」
焼きもちをやく、可愛い恋人。
「じゃあ~イルカ先生が人魚になってくださいよ」
「あ?」
何を言い出すかと思えば、とんでもない。
「ねえ~きっと可愛いですよお~変化してください~」
楽しそうにカカシは言う。
小さな子供のように、瞳を輝かせ。
(上半身が人間、下半身が・・・)
イルカは頭でイメージした。
そして手を組み合わせる。
”どろん!”
そこには、イルカ人魚が現われた。
胸には貝の飾りをつけている、
なかなか綺麗。
そして、下半身は・・・・?
「え?」
カカシは目をこすった。
何度もこすった。
イルカの足からは八本の足がうねうね。
(俺、魚って言ったのに)
その晩、カカシはショックで眠れませんでした。
090128.
★今週は短くてすみません。
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今年も木ノ葉の里に冬が来た。
イルカは部屋にこたつをだした。
「いいですね~♪」
部屋に入るなり恋人のカカシはこたつに潜りこんだ。
「ああ~あったかあ~い・・・もう二度と出たくないです」
イルカもカカシの向かい側にもぐる。
足元からぽかぽか気持ちいい。
次第に二人共横になってごろごろと眠ってしまった。
「イルカせんせ、ねえ~イルカ先生」
カカシは眠るイルカを起こした。
「風邪ひきますよ」
「あっ、スミマセンつい」
「ねえ~ごはん!」
イルカは仕方なくこたつを出た。
カカシはちゃっかりこたつの中でテレビを楽しんでいる。
自分だけずるいのである。
今夜は湯豆腐の予定だ。
昨日、少し高めの豆腐を買いそろえてあった。
身体が温まり、ヘルシーで、お酒にも合う、
冬らしいメニューだ、
実はたまたま同僚のブログに湯豆腐が書かれてあっただけだ。
余談だが、
「カカシ先生、明日は久しぶりのお休みですね・・・ねえ~何処かデートに行
きたい」
「ええっ?折角、こたつを出したんですから、一日中ごろごろしましょうよ」
「もう~何老人くさい事を言うんですか?」
毎年の事だが、こたつを出した後二人は怠け者になる。
イルカも一人の休みは、こたつの中で過ごして、動かない。
「やっぱり、来年はホットカーペットを買いましょう」
翌日、
こたつから動かないカカシよイルカは一日付き合った。
普段は少しまめな彼も、これがあると何もしてくれない。
この分だと冬の間、カカシはイルカの部屋でごろごろして過ごしてしまうだろ
う。
日頃、任務で寒いおもいをしているのだから、それ位は許してあげてもいい
のだ。
だが・・・
「ねえ~イルカ先生、コーヒー飲みたい。それから隣の部屋にあるイチャパ
ラ持って来てください・・あ、お菓子もお願いです・・・」
「はいはい」
全く、動かない!!
イルカはついにムカムカした。
カカシの入っているこたつの布団をはいだ。
「なにするんです?!」
「掃除するんですよ、どいて下さい!!」
「そ、そんな・・寒いのに」
「あんた里一番の忍でしょうが、寒くなんかない!!さあ、自分でコーヒーくら
いつくりなさい!!」
イルカはこたつをかたした。
もう少し寒くなるまで没収だ!!
100108.
こういう事ってありますよね~
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木ノ葉で評判の「コノハマート」
毎月、3の付く日は特売日。
青空の綺麗な日曜日の朝、うみのイルカちゃん(現在4歳)は大好きなお父
さんのうみのさんと手をつないでお買いもの。
”ぞろぞろ”
人気スーパーは特売目当てのお客さんでごったがえしています。
「今日はカルビが安いんだぞ!」
うみのさん、張り切っていました。
今夜はうみの家に大事な来客があるのです。
「とうちゃん、イルカアイスたべたい」
「それは後で。・・・・いい子にしてここで待っているんだぞ。知らない人にお
菓子を貰ってついて行ったら駄目だぞ・・父ちゃんはカルビを買ってくるか
ら」
「わあ~・・・・カルビってなに?」
”ズル”
イルカちゃん、お肉の種類までは知りませんでした。
うみのさんは人ごみに飛びこみました。
目的の品物を素早く4パック手にしました。
レジに行く前にイルカちゃんを待たせているベンチに心配でうみのさんは行
きました。
「イルカ?!」
大変です、イルカちゃんが居ません!
うみのさんは焦りました。
まさか、連れさらわれたのかも知れない。
うみのさんは、夢中でスーパーを探し歩きました。
心配で心臓がドキドキします。
イルカちゃんはとある売り場である物をじっと見つめていました。
「イルカ、勝手にどこか行ったら駄目って何時も父ちゃん言っているだろ!」
「とおちゃん、これほしい!」
「そ、それは・・・・・」
うみのさんは困惑しました。
いかにも高級そうな木の箱に入った、メロン。
それをイルカちゃんは欲しがっているのです。
「イルカ、いい子だからバナナにしておこう。・・・それに今夜はカカシ君と会う
んだろ」
「うん♪」
後ろ髪をひかれながらも、イルカちゃんはそこを後にしました。
夕方。
「カカシ~!」
はたけカカシ君は5歳の天才忍者です。
本日は修業はお休み、お部屋で読書をして過ごしていました。
そこへ、カカシの父、サクモが予定より早めに帰って来ました。
カカシの父、はたけサクモは里では「白い牙」と唄われる凄い人物でした。
「父さん早かったね。・・・・あっ、これ凄い!」
「凄いだろ。木ノ葉で一番の果実店で見つけたんだぞ」
「わあ~~」
カカシ君は興奮しました。
高価そうな木の箱に、見事なメロン。
それはそれは、お口の中でとろけそうな、甘い香りがするのです。
「食べよう!父さん」
「だあめ~これはうみのさんへのお土産」
「ああ、そうか」
イルカちゃん喜ぶだろうな。
可愛いイルカちゃんが微笑む姿を想像してカカシは少し興奮しました。
「ふんふんふん♪」
親子そろってお出かけの準備です。
今夜はうみのさんのお宅で夕飯をご馳走になる予定です。
(ふふふ)
サクモは一人含み笑いを浮かべていました。
この高級メロンを持参すれば、うみのさんは、また俺に惚れなおすに違いな
い。
イルカちゃんも喜ぶだろう。
下心でいっぱいのサクモさん。
カカシは大切そうにメロンの箱を抱えています。
「なあ、父さんが持つよ」
「俺が持ちたい」
「お前、どうせイルカちゃんにいい顔したいんだろ」
「父さんこそ」
二人は親子、同じ事を考えているようです。
そんなやり取りをして歩いていたその時、
事件は起きました。
メロンを抱えるカカシに突然黒い影がタックルを仕掛けたのです。
カカシは瞬時に飛びあがり黒い影をよけました。
しかし、メロンの箱が・・・・
”ばさっ!”
大切なお土産は地面に落ちてしまいました。
犯人は何処かに消えてしまいました。
「大丈夫か、カカシ、子供に何てことを」
箱を開けると甘い香り、折角のメロンは半分に割れてしまいました。
「ど、どうしょう・・・」
「仕方ないさ、それよりカカシが怪我をしないでよかった。・・・それにしても」
犯人が許せません。
子供を狙うなんて。
その頃、黒い人影は、
「会長・・・どうでした」
「やってやったぞ。白い牙の子供に酷い事をした」
世の中には心ない大人が多いです。
カカシ君とサクモさんの知らない処で、ボウズの中年男と少しロン毛の太っ
た男がにやにやと暗い笑みを浮かべていました。
二人は里の中忍でした。
「うみのさんファンクラブ」会長と副会長(自称)
笑顔の素敵なうみのさんの熱狂的ファンです。
憧れのうみのさんに馴れ馴れしい、はたけサクモとその息子カカシを打倒し
ょうという、無謀なファンです。
(タラリ)
”おいおい”
カカシ君がイルカちゃんのお宅に到着する頃はすっかり、辺りは暗くなって
いました。
「カカチ、サクモおじちゃん、いらっしゃいませ」
”にっこり”
イルカちゃんは嬉しくて玄関で正座をして待っていました。
同じくうみのさんも正座していました。
「うわあ~メロンだ!!」
朝、スーパーで見た物より箱が高級な物です。
「イルカちゃん御免ね。・・・俺途中で転んでしまって・・・・・」
余計な心配をかけないよう、カカシは嘘をつきました。
「イルカ、良かったな」
「サクモおじちゃん、だあ~~いスキ!!」
”ちゅっ!”
「ああっ!」
「いや~~!」
カカシとうみのは同時に叫びました。
何故なら、サクモさんの頬にメロンに感激したイルカちゃんが、キスをしたの
ですから、二人が焦って当然です。
「父さん、後で男と男の大事な話がある」
カカシは低い声で父に囁きました。
そんな波乱もありましたが、
この晩のカルビディナーは表面上?楽しく終わりました。
”イルカちゃんは父さんになんか渡せない、これだけは”(カカシ)
翌日。
サクモは下をむいて、背中を丸めで歩いていました。
そこに、サクモの呑み仲間の一人、自来也様とばったり!
「よお、サクモ!」
「ああ、おはよう」
「その顔どうした?派手にやられたのう~」
色男の顔にはくっきりと爪でひっかかれた傷。
「あのう、そのう・・・昨夜近所の野良猫と喧嘩してさあ~」
「ふん、どうせまたフラレたんだろう?」
まさか息子にやられたとは、言えないですよね!
はたけカカシは子供時代から、嫉妬深かったのでしょう。
090825.
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カカシは昔、自分の師である四代目の通り道に、バナナの皮を置いた事が
ある。
先生は派手に滑って転んだ。
あの時ほど笑いが止まらなかった事はない。
もしかして、ナルトもバナナの皮で・・・・あいつならやりかねない。
カカシはナルトに悪戯したくてワクワクした。
翌日、カカシはナルトのアパートのそばの道にバナナの皮を仕掛けた。
しばらくして黄色い頭が見える。
「わあ~~~っ!」
”ずてっ”
ナルトは見事に転倒した。
やはりミナト先生の息子だけある。
「ナルト、ふふふ、今の見ちゃった」
「あっ!カカシ先生!」
「ふふふ」
カカシは笑いながらそこを立ち去った。
こんなもんで転べるのはナルトぐらいだな。ま、俺はそんな間抜けな事はし
ないけどね。
そう思った刹那、カカシの履物が何か生温かいものを踏んだ。
”ぐにゃり”
「げっ!!」
それは犬の糞だ。
カカシは焦った。
慌てて周囲を見回すとなんとそこには、カカシの忍犬のパックンがカカシをじ
っと見つめていた。
犯人はよりによってパックンだった。
「カカシ案外まぬけだな」
”グサッ!”
カカシのハートは傷ついた。
その後、カカシはナルトに仕掛けた悪戯を激しく後悔することになる・・・。
イルカはカカシの話をきいてくすくすと笑った。
笑い終えてカカシの恋人は冷たく言った。
「あなたとはしばらくお別れです」
「そ、そんな?イ、イルカ先生~~~~!!」
イルカは部屋を出ていった。
イルカにとってナルトは元の生徒、特別な可愛い教え子だ。
怒って当然!
これは天罰かもしれない。
猿飛アスマはもう限界だった。
毎夜、カカシの涙酒に付き合わされて、永遠とイルカの話をきかされる。
これで今夜は3日目だ。
(カカシもう~やめてくれえ~)
アスマは心の中で叫んだ。
”シカマル~助けてくれえ~”
一週間後、イルカは何事もなかったようにカカシの元に帰ってきた。
カカシはナルトに先日の悪戯を心から詫びた。
ナルトはバナナの皮の事など全く気にしていなかった。
むしろ笑い飛ばしてくれたのだ。
やっぱりあいつは四代目の息子さんなのだ。
100904.
★BY JAM&K氏
二人のメールのやりとりで、出来ました。
バナナの皮で滑って転ぶ人って、ナルトのキャラならいるよね。
そうすると、自来也、ミナト、ナルトの3人じゃないの?
なんてね。
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「寒くないか、カカシ・・・」
小さな子供を腕の中に抱き、はたけサクモは小雨の中を走った。
息子のカカシは3歳になる。サクモと同じ銀色の美しい髪の少年。
任務に出ている間はサクモはカカシを知人のユビスという男に預けた。
優秀な忍と同時にユビスはエリートを育成するプロだ。
サクモとは気心が知れていて、ユビスの息子エビスはカカシより少し年長で
カカシの面倒をみてくれていた。
雨に濡れながら親子は帰宅した。
古いが大きな屋敷だ。
木ノ葉の白い牙、そんなふうに彼は里では呼ばれていた。
「コホン、コホン」
カカシは小さく咳きをした。
雨に濡れ風邪をひかせてしまったのかも知れぬ。
サクモは丁寧にバスタオルでカカシの身体を拭いた。
小さくて細い身体だ。
カカシの母親、サクモの妻はカカシが生まれて間もなく他界した。
「カカシだいじょうぶか?」
「せきがでるみたい」
カカシは笑ってみせた。
サクモはカカシの額に手をあてた。
(熱い)
熱があるのか?
こんな時、母親ならどうするのか?
サクモは考えた。
布団をひいて、カカシを寝かせた。
冷蔵庫の氷で氷枕を作った。
サクモはカカシを寝かせた。
その間に、簡単に卵と野菜をいれたうどんを煮た。
彼はあまり料理は得意ではなかった。
先日三代目、猿飛ヒルゼンがサクモに見合いの話をもちかけた。
サクモは笑った。
確かに幼いカカシには母親も必要だが、二人で生きていくと決めたのだ。
”コトリ”
1階のカカシを寝かせた和室で物音がした。
サクモは振り返る。
カカシが立っていた。
「おまえ・・・・」
「とうさん、おなかすいた」
少し熱がさがったのだろうか、カカシは微笑んでいた。
うどんを二人で分け合って親子は食事をした。
「とおさん、あしたはにんむ?」
「ああ、そうだ」
「がんばって」
口ではそう言うがカカシは唇を噛んだ。
「カカシ、お前もいずれは父さんと任務だぞ」
「うん、とうさんみたいになる!」
瞳をきらきらと輝かせる。
カカシにとって父は夢だ。
3歳にしては早すぎるカカシの成長。
将来は里に貢献できる優秀な忍に育てたい。
「あ、あのう・・・・・」
カカシの書きあげた「はたけサクモ伝説」の原稿を読み、恋人のアカデミー
教員、うみのイルカは納得のいかない表情をみせた。
「なんかおかしいですか?」
「いえ、おかしくはないです、でも・・・・・」
イルカは言葉を濁した。
「何です?気になります」
カカシの書いた話をどうしても読みたいとイルカが言うので、原稿を見せた。
というのにイルカは、不満があるのだろうか?
「あの・・・出来すぎている親子ですね。・・・・うちとは正反対です」
どういう意味だろう?
「例えば?」
「うちは・・・・父ちゃんが母ちゃんのお尻にひかれていて・・・三人で何時も食
事はおかずの奪い合いをして戦っていました」
「ええっ?!」
平和そうで羨ましい話だ。
「それで何時だったか、父ちゃんが母ちゃんのぶんの餃子をくすねて、バト
ルになってしまって・・・・母ちゃんがキレて家が半壊しました」
「ええっ!!」
イルカ先生はどうやらお母さんの遺伝子を強く受け継いだのだろう。
コミカルなうみの家が羨ましいカカシであった。
100827.
「NARUTO」コミックス、イルカ先生のご両親が登場しましたね。
お父さん、髭はやしていて、厳格そう、最近親世代キャラが素敵ですね。
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まだ眠い。
あと少しこのまま眠っていたい。
昨夜は深夜まで恋人とベットで甘い夜を過ごした。
起きぬけイルカは腰をさすった。
いっそ今日は一日このまま休んでしまえたらいいのに。
そんな気持ちを振りほどいてイルカはベットを抜け出した。
仕度しないと、
まだ窓の外は暗い、明るくなる前の時刻だ。
冬が到来してだいぶ、冷え込んでいる。
恋人のはたけカカシと同棲生活をはじめて2ヶ月、
イルカは多忙な日々をおくっていた。
味噌汁を作りながらイルカは腰をさする。
”ふぁああ~”
思わず欠伸がでる。
(眠りたい)
眠い目をこすりイルカは仕度を続けた。
イルカがベットを出て20分くらいたった頃、カカシが起きてきた。
「イルカ先生大丈夫?」
「はい、ただの腰痛です」
「代わります」
彼は自分にはすぎた恋人だった。
忍としては一流で里では重要な人物なのに、
自分みたいな平凡なアカデミーの教員に恋をして現在二人は共に生活して
いた。
もっと自分よりも美しく優秀な相手もいただろうに、それでも彼は自分を選ん
でくれた。
カカシはフライパンに油をひいてそこに味をよく混ぜた卵を落とす、
ジュ”
卵の焼ける音と甘い匂い。
楽しそうにカカシは料理をする。
家事はイルカより得意だった。
「ねえ、先生出来あがるまでまだ少しベットで休んでいたら?」
「有難うございます」
まだ眠いそう思っている事がカカシに通じただろうか?
布団が俺を呼んでいる。
イルカはベットに吸い込まれるように横になった。
ぬくぬくとまだベットにはカカシのぬくもりが残っていた。
イルカは目を閉じた。
カカシはその間、弁当を作った。
イルカの眠るベットに音をたてぬようそっと近寄る。
イルカは小さな息をたて、よく眠っている。
(起こすの可哀相だな)
眠る恋人の顔はとても幸福そうで見ているだけでカカシの口元はほころぶ。
”ふああ~~”
つられたのか、カカシにも欠伸がでた。
睡魔が襲ってきた。
(俺も少しだけなら)
カカシは誘惑に負け、イルカの隣に潜り込んだ。
伝わってくるイルカの体温は温かい、
カカシは目を閉じた。
次にイルカが目覚めたのは午前の11時。
「どうしょう!!」
今更、焦っても超大遅刻だ。
カカシもいつの間にか隣で眠りこけている。
「起きてください!カカシ先生!」
イルカは布団をはいだ。
「あのう~ですから、部屋を出たところで暁のうちはイタチとバトルになりまし
て・・・・」
カカシとイルカは五代目火影綱手の前に立たされていた。
「ほおお~それで」
綱手は二人を上から下までじっくりと眺めた。
「うちはイタチが俺の部屋に勝手にあがりこんで、蜂蜜の壺を舐めていたん
です!・・・ねえイルカ先生」
「はい、そのとうりです」
イルカは腰をさすりながら微笑んだ。
「嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ!!」
”バン”
綱手はテーブルカウンターを手で叩いた。
ミシミシと悲鳴をあげそれは破壊された。
寝坊したい朝、
こんな日もあるさ。
090304. |
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「ですから、今、何とおっしゃったのですか?」
夕食後、ボリボリと欲望にまかせスナック菓子を食べるイルカは冷めた声で
言った。
今夜はうみのイルカの恋人が泊まりで部屋にいた。
イルカの恋人は木ノ葉を代表するくらいの大物だ。
そのはたけカカシは夢を見る目で語る。
「ですから、イルカ先生の団体を引き連れて団体バス温泉ツアーがしたいん
です」
お誕生日のプレゼントのリクエストを訊いたはずが、こんなレスポンスが戻っ
てきた。
「ねえ~一度でいいんです。イルカ先生の団体と俺の夢です」
「あのう~お言葉ですが、木ノ葉にはバスという乗り物はありません。あんた
何考えているんです?」
カカシという男少し妄想が激しい。
「好きな人に囲まれ過ごす俺の誕生日、いいでしょう!ねええ~イルカ先
生。・・・タイトルは”IRUKA28”夢の計画!!」
”バリバリ”
”ボリボリ”
イルカはバカバカしくて、スナック菓子を食べ続けた。
カカシは言い出したら、止まらない。
「バスなら大丈夫、俺の必殺技で他里から用意します。たまには日常の世界
を忘れ思い切り過ごす休暇でうふふ」
「カカシ先生、二人で同時にお休みなんて無理ですから」
”だめだめ”
きいいいい~
イルカは怒る。
”ズ~ン”
カカシは部屋の隅で膝を抱え落ち込んでいた。
「やめましょうね。暗いですよ~もう~~」
(困ったひとだ)
「俺・・・・28名のイルカ先生とキャラキャラと楽しくバスでカラオケしたり、温泉に
あなたの団体に囲まれて・・・・・毎日、毎日任務におわれて少し疲れている
んです」
その28名ってなんだろう?IRUKA28計画?
「そうですね。気持ちはわかりますけど、綱手様がお許しになるかどう
か・・・・」
はたけカカシは実際多忙なのだ。
何時も沢山の任務をこなし、確かにストレスは多いのかもしれない。
温泉もいいかな。
次第に温泉ツアーに心が動いた。
「イルカ先生、俺にいい案があります。お休みは確保しますから」
「どちらの温泉です?」
「伊東の里、ヘロヤホテルです」
「わあ~~~」
つい喜んでいるイルカがいた。
イルカはイルカで羽をのばしたかった。
カカシのプロデュースした、カカシ1名とイルカ28名、夢の団体旅行が始ま
る。
カカシは裏で手をまわし、火影である綱手には、年下のイケメン男性をそろ
えた。
ビジュアル系や草食男子、理系男子、との夢の合コンだ。
イルカは影分身で28名に増えた。
めいめいにカカシが用意した服に着替えた。
カカシの前には、
萌え萌えメイド服、イルカ。どきどき執事服イルカ、艶やか芸者イルカ、キュ
ートなゴスロリイルカなど、コスプレ姿のイルカがそろった。
まさに、カカシの夢の計画、ラグジュアリー!!
移動するバスという乗り物には運転手がいた。
何処かで見たことのある「楊枝男」
運転手を加えた、30名を乗せバスはひた走る。
カカシは満足そうに口元がユルイ。
”ばりばりばり”
”ばりばりばり”
イルカ達はバスが走るのと同時に、スナック菓子を食べ始めた。
カラオケが始まった。
カカシはビールを飲んだ。
これから、始まる旅はいい思い出になることだろう。
イルカは内心、やけになっていた。
それでも、カカシが喜ぶのなら、一日くらい、コスプレしてもいいだろう。
28名のイルカとカカシを乗せたバスは伊東の里ヘロヤホテルに到着した。
ホテルの従業員は出迎たこの奇妙な団体客に仰天した。、おそらく後世まで
ホテルの伝説となることだろう。
そっくり同じ顔の青年が、ぞろぞろと様々なコスプレをしているのだ。
まさか、全員が兄弟なのか?
案内係のホテルマンはただ、このお客様の目をみないように、笑顔をつくる
のに苦労した。
一行は大広間に案内された。
「イルカ先生」
「はい」
「はい」
「はい」
呼べば全員が振り返る。
「お風呂行きましょう」
「でも~」
「でも~」
「でも~」
「お食事が先です」
オリジナルのイルカが、主張した。
バス旅行はお腹がすくものだ。
「ご飯」
「ご飯」
「ご飯」
連呼するイルカ達。
「お風呂の後の方が、更に美味しいんですよ」
カカシは、負けずに交渉した。
浴衣に着替えイルカ達とカカシは大浴場にぞろぞろと向かった。
たまたま運悪く、浴場に居たお客さんは、この団体に恐怖して、お風呂を逃
げ出した。
もはやカカシの計画どうりだ。
大広間で、豪華料理にもてなされて、盛大な宴会がはじまった。
芸者姿のイルカを先頭に浴衣イルカ達が踊りを披露した。
オリジナルイルカはカカシの隣で、ビールをそそぐ。
チャクラを今回使いすぎて、イルカは疲労していた。
「先生も飲んで、それにお楽しみはこれからです」
”てへへ”
カカシは嬉しくて照れていた。
どうせ、彼の考えは見えている。
1対28で、エロエロに決まっている。
イルカはコップにビールをそそいで、ぐっと飲み干した。
カカシが立ち上がった。
「影分身の術!!」
”どろん”
カカシも28名にふえた。
宴会の後、広間に布団をひいて、28組のカカシとイルカのカップルは、夜の
お楽しみに励んだ。
あっちでも、”うっふうん”
そっちでも、”あっはあ~ん”
団体ならではの迫力だ。
カカシとイルカは体力が続く限り、頑張った。
濃厚な一夜だった、とだけ、お伝えしましょう。
”ちちちち”
翌朝、団体ごと力つきた。
分身達はもう消えて、二人だけで、布団に深く沈みこんだ。
「ああ~腰が痛いです」
「俺も腰が・・・・」
なんでも、やりすぎは毒ですよ。ねえ、皆さん。
伊東の里、ホテル近くの海辺でようやく動けるようになった、二人は散歩を
楽しんだ。
「イルカ先生、俺の我儘をきいてくれてありがとう」
「もう二度としませんよ」
木ノ葉の里をめざし、バスは走る。
二人はうとうとと眠りこけた。
IRUKA28.
忘れられない、アルバムの1ページが生まれた。
091204.
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翌日、ナルトが小さな花束を片手にイルカの見舞いに現われた。
「イルカ先生、早く元気になるってばヨー・・・」
「ああ、勿論だよ。・・・元気になったらまた二人で一楽に行こう!」
イルカは思い出していた。
アカデミー時代の孤独なナルト、はじめはナルトと正面から付き合えなかっ
た自分。
敵がいる中、一人で飛びこんで行ったナルト。
自分を変えたのもナルトだった。
ドベだったナルトは現在では様々な経験と修業を積み重ね、成長した。
それはイルカにとって誇らしくもあり、幸福な事だった。
寝室からはイルカとナルトの明るい話声が聞こえた。
イルカがあんなふうに楽しそうに笑うのは久しぶりだった。
カカシは黙って部屋を出た。
これからどうしても外出しなければならない。
本当ならば、一緒にいてあげられない事が、今のカカシには酷だった。
悔んでもカカシには自分の立場上、それは許されない。
綱手のはからいで、イルカの元には医療忍者が通った。
その中にサクラもいた。
サクラも手をつくした。
イルカ先生を助けたい。
サクラもその中の一人だった。
イルカの病状は変わらなかった。
それでも根気よく、サクラは治療を続けた。
ナルトやサクラに会い、イルカの表情は少し明るくなった。
外は冷たい雨が降っていた。
イルカが倒れ2ヶ月が経過した。
雨の中、カカシは木ノ葉の街をとぼとぼと背中を丸め歩いていた。
何時もなら、帰るが、この日はそんな気分になれなかった。
ふと、背後で知った気配を感じた。
「先輩、カカシ先輩!」
暗部時代の後輩のテンゾウが駆けてくる。
「なに?」
「これを、綱手様から、先輩に、」
走って来たテンゾウは少し興奮していた。
それは一枚の地図。
アスマから、知らされた「奇跡の森」の地図。
「あ、ありがとう・・・・」
カカシは走った。
冷たい雨の中、
夢中でイルカの待つ部屋へ。
「寒くない?」
「はい」
もうここへ来てどれくらいの時間が経過しただろう?
そこには時の感覚も音もない。
ただ、目に鮮やかな緑の深い森。
言葉には例えようのない美しい森。
こんな風景ははじめて見た。
「いい気分」
「本当に?」
カカシの自空間忍術で二人は木ノ葉から西に位置する、この場所に移動し
た。
「奇跡の森」
「この地図によると、この先に泉があって、山小屋があります・・・そこには仙
人が住んでいるそうです」
音もない。
時もない。
ただ愛しい人と二人きり。
イルカの身体は何か暖かいものに包まれていた。
二人はやがて、泉にたどり着いた。
古い山小屋。
白い長い髭の翁が、二人を出迎えた。
「よく来た。カカシ、イルカ」
仙人は二人の名を呼んだ。
驚いて思わずカカシとイルカは顔見合わせた。
「ここにお前さんたちが訊ねてくることはずっと昔から知っていた」
カカカ。
仙人の言葉に再び、二人は驚く。
仙人はイルカに黒い米で握られた握り飯と水をふるまった。
その米を一口、食べイルカは心の中で祈った。
”この世界に神様がいるとしたら、もう一度、俺に生きるチャンスをあたえて
ください。
この人と共に生きる事が出来るのなら、俺は他には何も望みません。
だから、もう一度、俺にチャンスをください”
その黒い米は光のごとく輝き、パワーの源となった。
イルカは感じた。
”俺は助かったと”
二人は半年を乗り越えた。
イルカはすっかり、すっかり回復した。
「はやく、もう~カカシ先生!!はやく!」
イルカは元気に走った。
「待ってください。もう~一楽は逃げません・・・走りすぎて転んでも知りませ
んよ」
回復したイルカの姿をみて、テウチは目頭が熱くなった。
最高のラーメンをイルカの為に作った。
「おいし~」
熱い、ラーメンをすする、恋人の姿をみてカカシの口元は自然とほころん
だ。
カカシのかけがえのない、生涯の恋人はもりもりとラーメンをすすった。
091201.
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