STORY.PT2.

2011年09月18日
カカシもひく、夏!!
ああ〜暑いなんてもんじゃあないってば、ヨ〜〜


黄色頭の少年はタオルで、吹き出す汗をぬぐった。

後から、後から汗は流れてくる。
もう、夏も終わりのはずなのに、



「なあ〜まだ到着しないのか、カカシ先生」

「後、もう10キロくらいだろう、情けない顔するな、こんなんでバテていて、よ
く火影になるなんて言えるな」

「そうよ、カカシ先生の言うとうりよね、サイもそうおもうわよね」

「はい、ナルト君、へたれはカッコ悪いですよ」

”ぎく”

へたれはカッコ悪い。

まるで俺のことだ。


カカシも額に汗をした。



「アイス食べたい〜〜休もうよカカシ先生」




へたれ,ナルトに比べて他のメンバー(サクラとサイ)は涼しい顔をしてい
た。


「ん、じやあ〜里に着いたら一楽でもいくか?」



冗談のつもりでカカシは言うった。


「まじ!!うおおおおお〜俺、頑張るってば〜ら〜〜〜めえ〜〜〜ん」




「お、おいナルト、この暑いのにラーメン?今のは冗談だぞ」



「おごってくれるんだよな♪」



”ラーメン♪ラーメン♪




いきなり張り切ってナルトは駆けだした。




そんなろころが、カカシの里で待っている恋人とにていた。














一行は里のゲートをくぐった。



入り口では、イズモとコテツが相変わらず、いちゃいちゃしていた。










里で一番と唄われるラーメン店、「一楽」では、


「冷やし中華もあります」



とかかれた、張り紙。



テウチは暑さ対策で今年は「冷やし中華」をはじめた。




「しかし、イルカ先生、ホントにラーメンがお好きなんですね」


「そうですか?」


「これくらい、暑い日は冷やしにいきますが、イルカ先生は何時もどうりだ」



イルカは褒められていると思い、照れた。



「い、イルカせんせ〜〜!」





「一楽」では恋人がもりもりと大盛りラーメンを堪能していた。



「カカシ先生、みんな」




イルカは、食べかけの箸を置いた。














「それにしても、イルカ先生は暑くないんですか?」







その晩、カカシはイルカとの久しぶりの再会をカカシの部屋で楽しんだ。





「夏には夏の楽しみがあるんですよ。カカシ先生」



「へえ〜」



カカシは冷えたビールをごくごくした。


いい気分だ。




「まず、たっぷりと熱いお湯をいれた、バスタイム。お風呂からでて、冷蔵庫
から冷えたビールと冷えたトマト・・疲れた日にはニンニクをきかせた、ラー
メン、これはいきかえります」



「元気すぎなんですよ」


「そんな事はありません。そんなあなたこそ、どんなに暑い夜でも・・・夜の生
活はかかさない、同じです」


「ありゃ〜〜」


まいったね。


二人は笑い合う。








「ナルトにも夏の楽しみを教えてあげてくださいよ」




「はい、でもナルトは夏が苦手なのか、俺が、公園で二人で焼き芋しようって
誘っても返事しないんです」




「夏場に焼き芋・・・」


恐ろしい。



「それに、アンコさんと三人で、深夜のアカデミーに幽霊をみにいこうって誘
っても断るし・・・噂では初代様がでるそうで」


「ぞおおお」」


(ナルトでなくても、断るよ、しかもアンコも一緒だなんて)






カカシは、ひいた.





ナルトも断るよ・・・(作者)







夏も元気なカカシの恋人。




090804.
2011年09月10日
歳月
毎年、この時期が来るたびに、

その人を思い出す。



カカシにとって、辛い過去だった。


父、サクモの事件。



当時はただまだ自分が子供で、

息子を残して、勝手に父は死んでしまった。その事が許せなかった。








歳月は過ぎ、大人になるにつれ、何故だか父のよい思い出だけが、残った。

命日が近くなると、あの時の事を思い出し、カカシの胸は痛んだ。







「そろそろだな・・・」


ぽっりと、カレンダーを眺めカカシはつぶやいた。




遠くを見る眼差し。





「ん?何が、そろそろなんです?」



テレビを観ながら、お菓子を食べていた、カカシの恋人が首をかしげた。




「来週、親父の命日なんです・・・」


「そうだったんですか・・・」



イルカはカカシの口から、初めて父親の話を訊いた。




食べかけのポテチを置いた。



「不思議なんです・・・父さんが亡くなって、時間がたてばたつほど、綺麗な思
い出だけが、まるで映画のワンシーンのように、浮かぶんです」




「そうかもしれませんね」

イルカもカカシ同様子供時代に両親と別れている。




「時々その辺から、父さんが、ひょこんとでてくるような・・俺何言っているん
だか」



カカシは頭をかいた。

「え?カカシ先生もそうなんですか?」


「イルカ先生も?!」




「父ちゃんと母ちゃんに時々見られているような・・・少し怖いです」

確かに、カカシにも同じような事はある。









天界のモニターでイルカの父と母は、ぼりぼりと、せんべえを食べながら、
息子の日々を観察していた。


テレビより、まぬけな息子の日常は笑えた。


「あら、イルカは私たちに見られてるって、気がついていたのかしらね。案外
鋭いのかしら」


「イルカ、知ったら怒るかもね。・・・でも男と付き合うのは反対だけれど・・・
相手があのサクモさんの息子さんならね」

「そうね、出世だわね」



明るくイルカの父と母は笑った。






その頃、カカシの父、サクモは一人、火をおこして、好物の秋刀魚を焼いて
いた。

そろそろ、カカシの誕生日だ。

秋刀魚の上手い時期。


珍しく、シリアスなカカシとイルカとは裏腹に親たちはマイペースだった。




100630.


2011年09月03日
夏の終わりに
気温が高くなると、自然と冷たいものが欲しくなる。


「あちい〜〜」

木ノ葉のアカデミー教員、うみのイルカは額ににじむ汗をタオルハンカチで
ぬぐった。


(アイスが食べたい)


ふらりとコンビニに立ち寄る、小さな楽しみ。


”アイス”

”アイス”


コンビニのアイスコーナーには、彼の黄色い頭の教え子がいた。



「ああっ、イルカ先生!!」


「ナルト!!」


二人はめいめいに、好きなアイスを購入して、その足で、近くの公園に行く。

「ナルト、もう今日は修行はいいのか?」

「うん、先生、俺、頑張ってるってばヨー」

火影になる、それがナルトの夢だ。

「そうか、カカシ先生にご迷惑はかけていないか?」

「ぜんぜんだってばヨー」


ナルトは笑った。


明るい笑顔だ。


「そうだ、たまには、先生のところで、夕飯でもどうだ?」

「ホント!!ラッキー♪」


ナルトはイルカにとって、自分の身内のような存在だった。



アカデミー時代はよく、イルカのアパートに泊まったりしたものだ。









イルカたちは、里の大手スーパーにそのまま移動した。



「なにが食べたい?」

「イルカ先生の作ったものなら、なんでもいいってば」






二人は楽しそうに買い物をしていた。






そんな、楽しげで幸福そうな、ワンシーンを少し離れた場所で男はみてい
た。






はたけカカシ。



ナルトの現在の担当上忍。


カカシは公園で二人を目撃してそのまま、追っかけてきたのだ。





カカシは、アカデミーのイルカ先生が好きだった。





可愛くて、性格のいい、うみのイルカ先生。



その彼と、ナルトが親しげに公園で、アイス。4



(くやしい〜)




羨ましい。





大人げなく、カカシはナルトにやいていた。


勿論、この想いはカカシの一方的な恋心だった。








カカシは偶然を装い、二人の前に立った。

「やああ〜イルカ先生、お買いものですかあ?」


「え?カカシさん」


イルカは、にっこりとほほ笑んだ。




この笑顔に殺されたひとは多い。(余談だ)



「カカシさんもお買いものですか?」


「ええ、ナルトも一緒ですね」

「はい、今夜はナルトとカレーでも」

「それは、羨ましい!!」


「あ、よろしければカカシさんも、美味しいかどうかは・・・・」


「ええっ!!」


ナルトはカカシを睨んだ。



カカシもナルトを睨みかえした。



空気が一瞬、よどんだ。


ナルトにとって、大切なイルカ先生。



折角、久しぶりに会ったというのに、


カカシは邪魔だった。



おもしろくない。










「イルカ先生、お手伝いします」




カカシはいいところを見せようと、手伝いをはじめた。



「でも、カカシさんは、ナルトとゲームしていてください」


「そうですか〜〜」




テレビのあるイルカの部屋にはカカシとナルト。


険悪なムードだ。



「カカシ先生、イルカ先生は俺の先生だってばヨー」

「それは昔の話だ。・・・イルカ先生は、今は俺とお付き合いしているんだ、お
子様は黙っていろ」


「えええ!!」


”がああん!”



ナルトはハンマーで頭を殴られた。




イルカ先生とカカシ先生があ?

よりによって、カカシ先生???



そんな話、知らない!



衝撃で、ナルトは目の前が暗くなった。







付き合っている、発言は、勿論、カカシの妄想だ。




















数日後。




カカシは報告という、理由をつけ、イルカの顔を見に受付を訪れた。


「ご苦労様です」



「イルカ先生、先日は、ご馳走様でした」


「いえ、たいしたものではないです」


「あんな絶品カレーは久しぶりでした」

イルカは褒められすぎて、赤くなった。


そんな彼は素敵だ。




「ねえ、こんな暑い日はこれから、冷えたビールですかっと、しません?」


「わあ〜いいですね」




カカシは上手く、イルカを連れ出せた。











今年の夏は暑い日がつづいた。


木ノ葉の里では、環境問題で、節電が唄われ、猛暑の中、クーラーは温度
設定を変えられた。



へとへとの日々。




そんなことしの夏。







二人は夜の居酒屋の暖簾をくぐる。




カウンターに並んで座る。



「ここ、焼き鳥が旨いです」

「へえ〜」


「じゃあ〜取り合えず、ナマで」

「はい」






よく冷えた酒は、旨い。




「わあ〜たまんないです〜生きていてよかったです〜」


イルカ先生は感激していた。

「むふふ。じっくりのみましょう〜」





カカシの勧めた焼き鳥も当たった。








「あのう〜カカシさん、ナルトはどうですか?・・・先生にご迷惑をかけたりし
ていませんか?」

「ま、はじめは、サスケと喧嘩ばっかりでしたけど、かわりましたよ」




「よかった!」



イルカの黒い瞳は嬉しそうに輝いた。




澄んだ瞳だとカカシは、みとれた。



「さ、どんどんいきましょう!」



「でも、酔ってしまいます」


「そしたら、俺がおくります」




次第にハイペースで二人は呑んだ。













気がつくと、カカシは酒がまわっていた。


見かけによらず、イルカは酒が強かった。







「大丈夫?カカシさん」


「へろへろ〜」





酔い潰れたのは、はたけカカシだった。










イルカは彼を支え、店を後にした。




カカシの住まいは知らない。


放置もできない。




イルカはカカシを自分のアパートに連れ帰った。






カカシはその晩はイルカの部屋に泊まった。











重い。


頭が痛い。





カカシは目を開くと、ベットに寝かされていた。



靴とベストは脱がされていた。



重い頭で記憶をたどる。




俺は、イルカ先生とお酒を呑んだ。


酒に呑まれた。





そんで、


空白。




(まいったな)






カカシはぼさぼさの頭をかいた。




そこに部屋着のイルカが現われた。


「だいじょうぶですか?」

「あの・・俺どうしたんですか?」




カカシは途方に暮れた顔をしていた。




イルカはその顔をみて、悲しくなった。






「あのう・・・・俺、外でつぶれたのは、はじめてで・・」



「酔った勢いですか?あの話は・・・」

「あの話?」



「いいです、」


イルカは顔をそむけた。















朝がきて、夜がくる。


その繰り返しの中。



イルカは窓を開き、あの晩の出来事を思い出していた。




”好きです、イルカ先生”



”あなたが好きです”




あの晩、はたけカカシは確かにイルカに告白した。


そのことを彼は覚えていなかった。



酔っていたから?



だだそれだけだ。


そうだ、そんな訳ないな。




イルカは冷蔵庫から、トマトジュースをだした。







カカシさんから、好きだと言われ、


イルカは嬉しかった。



それなのに、




あのひとは・・・・




寂しかった。


むなしかった。




トマトは冷たくかんじた。












一方、カカシは、もやもやとした、霧が少しづつ、晴れてくるように、あの晩の
自分を思い出していた。




そうだ、ついにイルカ先生に好きと言っておいて、


そんな大事な事を忘れた。





怒るよな。


イルカ先生は、どう思っただろう?



イルカ先生!!



カカシは落ち着かず、夜の街を駆けた。



もう遅い時間なのに、




彼に会って、詫びたい。





彼に会いたい。














もう、眠らないと、明日にさわる。




まだ飲みかけのトマトジュースを飲みほし、


イルカはパジャマに着替えた。




「あ?」


確かに、玄関の呼び鈴が聴こえた。


今?なんじだよ!!



誰?



”コンコン”


「俺です、カカシです」


イルカは焦って、ドアを開いた。



「なんですか?こんな時間に何事です?」



緊急事態だろうか?




「今さら、ですが、この前の夜の事をお詫びしたくて〜〜」



「はあ?・・・すみません、声小さくして、近所に・・・」


「忘れてしまって〜」




「酔っていただけですよね」


覚めた目でイルカは彼をみた。


本当は、胸がどきどきした。





「酔っていましたが、あの事は本心です。好きです・・・・」


カカシは頭をさげた。


イルカ先生が許してくれるまで、


俺は詫びたい。





「カカシさん、入ってください」


イルカは静かに招いた。





「俺は単純だから、あなたから、告白されて、本当にうれしくて、それななの
に・・・・・朝がきたら、・・・酷いです」



ほろりとイルカは泣いていた。




「嘘ではないです。好きです」

「いいです、うそはやめて」

「嘘でないです」


カカシはそっと、手を伸ばして、イルカの身体に触れた。

電気が走った。




カカシはそのたおやかな身体を抱きしめた。










夏も終わりだ。


この夏のラストの想いでに、カカシは里のプールにでかけた。





傍らには、可憐な恋人。










カカシは売店で、ソフトクリームを買った。


勿論、彼の為。




「アイスどうぞ」



「わあ〜〜」






微笑んだ、その顔をカカシは一生忘れないだろう。




夏の終わりに・・・・。



100511.



★久しぶりなんで、なかなか、打ちこみがあ、











2011年06月25日
超スキャンダル
「イルカのツイッター」



お風呂あがりのビールもおいしいけど、大好きなひとと二人で呑むお酒は美
味しいなあ。

お付き合いして1カ月今が一番幸福。



3日前、深夜、酔った勢いで、そんな内容をイルカは書いてしまった。



その時は何をつぶやいたか、覚えておらず、はっと自分が気がついた時に
は・・・・。





イルカのつぶやきを読んだ人々から、里中に噂がながれた。



「うみのイルカ熱愛一月」

「深夜のラーメン店で目撃!」


里の週刊誌には、怪しそうな記事が載っていた。







そんな訳で、イルカはツイッターをやめた。










「ゴメンナサイ、カカシさん」

深刻な面持ちで、イルカは自分の軽率な行動を詫びた。



「ま、気にする事ありませんよ、元気だして」


「でも、もしカカシさんにご迷惑をかけてしまったら」






恋人、はたけカカシはアカデミーの教員の自分とは違う、


里にとって、重要人物だ。













里の場末の居酒屋は、カカシの隠れ家の一つだ。



二人はこの店で会う事が多い。




その晩、二人の他には客はいなかった。



酒のツマミには、油ののった、刺身をたのんだ。


新鮮で、一度食べたら、癖になる。





一口、食べて、イルカはにっこりと嬉しそうに微笑んだ。


この笑顔はなんともいえずいい!


ずっと見ていたい、

そう、カカシが思った時、


店の戸が開いた。





”からから”




大きな胸の美女と黒髪の美人2名登場。


「か、カカシ!・・・イルカ!」


里の火影である綱手姫と、弟子のシズネだ。



綱手は今、里で噂になっている、うみのイルカのデート現場に遭遇してしまっ
た。

しかも、相手ははたけカカシ。




「いゃあ、こんばんは綱手さま」



流石に火影はスルーできずカカシは挨拶をした。




「イルカの相手って、おまえかあ?!」

「あっ!駄目ですよ綱手さま、それだけは口にしては・・・」



(どうする?)




イルカは瞳でカカシにSOSをおくった。





「そうなんすよ、この人がオレのこれ」


カカシは小指をたてて、笑った。



「きゃあ〜!!」

綱手とシズネは同時に顔を赤くして、なんだか嬉しそうな反応をみせた。





二人はBL小説のファンだった。




「か、カカシさん!!」


”何カミングアウトしとるんだ!!”



イルカは恋人を睨んだ。





「悪かった、邪魔をしたな」

綱手の鼻はふくらんでいた。











イルカとカカシの関係はその後、光のごとき速度で里中に噂となった。



連日TVのワイドショーでは二人の話題で盛り上がった。




イルカはついに、一人では、外を歩けなくなった。




里のショップでは、イルカとカカシのグッズが売れまくり、書店では、二人をモ
デルにした、成人向け女性むけ小説がベストセラーとなった。

来年映画化も決定した。


ひとつの社会現象は、里の経済効果となった。











二人はフォーマルに着替え、記者会見にのぞんだ。



イルカの左指には、大きなダイヤが輝いていた。





101201.
2011年06月20日
父さんはサバイバル
深い森の中をとぼとぼと父の後について、小さなカカシは歩いていた。




この森は深くそのまま突き進むと大きな山になる。



カカシの父は里で、優秀な忍だ。


その父について歩く修行はまだ5歳の幼さが残るカカシには大変厳しいもの
だった。



「カカシ、今日はサバイバルに長期戦で生き残る為の修行だ」


目の前に、急傾斜の崖が見える。


「来い、カカシ!」

「はい、父さん!」

カカシは思わず息を飲んだ。



油断して気をぬいたりしたら、落下しそうな危険な場所だ。


父、サクモは先に崖をよじ登りながら、クールに息子に問う。

「長期戦で一番必要なものはなんだ?」

「はい、水と食料です」

「そうだ、いざとなったら、自ら狩りをする」

(狩り?)


小鳥の卵とか、崖の上のきのこかな?


カカシは想像した。




「カカシ、この上には、美容と健康にいい超、旨いご馳走があるんだ」

サクモはわくわくとしているようだ。




「父さん、それ美味しいの?」

「ああ、勿論だ」


サクモは崖をよじ登った。


カカシも頑張る。


その時、


”ぶうう〜〜ん”



お尻に鋭い、針を持つ、巨大な蜂がカカシの視界に飛び込んできた。


「ひっ!」


カカシは怯んだ。


これが、もしかして、ご馳走?



「カカシ、このすずめ蜂の巣を持っていくぞ」


大きな、蜂の巣だ。


周りには沢山の凶暴な蜂が飛び交う。



だが、父は平然と蜂の巣に手を伸ばした。


カカシには、先に進むことができず、じっと父を見守った。


(父さん、刺されたりしないのか?)

突っ込みどころが多すぎる!

「いてええ〜〜いてええ〜ちくしょううう!!このすっとこどっこい!!」


(ああ、やっぱり刺されている)




「捕獲完了!カカシ、もうおりていいぞ」



カカシは、ゆっくりとその場を離れた。



しばらくして、父は地面におりてきた。
手には、大きな戦利品。




「うわっ!!」



カカシは目を疑った。


父、サクモの、結構いけている顔は、蜂に刺され、別人のごとく腫れあがっ
ていた。




「父さん、だいじょうぶ?」


「ああ、なんともないさ、・・・・これは一度食べたら、癖になるようなご馳走だ
ぞ」

「ええ?」

(やっぱりこれを食べるんだ)


父さんは何時も、戦場でこんなことをしていたのか?






父は、蜂の巣を半分にカットしていた。


「カカシ、森は天然の冷蔵庫だ。この道端にはえている草だって、花だって
生き延びる為には、食うことだ」



人間は生きていくためには、どんなものでも食べていくのだ。

カカシは子供ながらにその時さとった。











「という事で、諸君、今日の演習は、とても大切なサバイバル演習だ」


なんだか意味のわからない事を担当上忍は言いだした。



はたけカカシも成長して、現在は3人の部下を持った。



カカシは父、サクモ同様、強い忍と育った。








ナルトとサクラ、そしてサスケはカカシと共に崖の下にいた。



「なあ〜カカシ先生、何するってばヨー?」


「うふふ」

カカシは想像してほくそほほ笑んだ。



「いゃだ、カカシ先生笑っている」


なんか、たくらんでいるみたいだ。

3人の部下はいや〜な予感を感じた。




「さ、この崖をよじ登り、大きな蜂の巣を捕獲すること♪」



「ええっ!!」


”いきなり、それかよ!!”



3名は驚愕した、当たり前だ。

口ぐちに文句をたれた。

「蜂に刺されるっばヨー!!」

「カカシ、これの何処がサバイバル演習なんだ?」

「そうよ、酷いわ〜私ヒロインなのに!!」


そんな3名にカカシは、のんびりと言う。


「つべこべ言わず捕獲だ!!それと、サクラ、ヒロインは、うちのサイトはイ
ルカ先生だから、今回お休みだけど」


無茶苦茶。



3名は崖をよじ登った。


先頭に、ナルト、その後にはサクラ、しんがりはサスケ。



「いてええ〜〜〜!!」


「きゃあああ〜〜!」

「うわああああ〜」


三名は奇声をあげて、蜂と格闘した。



命がけで、蜂の巣を捕獲した。



可哀相に、三人共、蜂に刺され(特にサクラは)顔が赤く腫れあがっていた。



「さあ〜諸君、森は天然の冷蔵庫だ、この恵みを味わおう!」




信じられない言葉に3人はキレそうになった。

「こんなもん、食えないってばヨーカカシ先生のせいで、俺達ぼこぼこだって
ば!」



ナルトは拳を握りしめた。


「ああ、そう、それなら、全員今日の分のハンコウ押さないからね」


「ハンコウってなんだよ、教習所かよ!!」

クールな顔で蜂にさされたサスケは、とんでもない担当上忍を睨みつけた。



「ま、とにかく食べてみなさいよ、極上スイーツだぞ、楽●でも買えないよう
な」


楽●?ってなんのことだ?



ナルトたちは顔を見合わせた。



極上スイーツ?これが・・・。




「ぜえ〜んぶ、たべないと、ハンコウあげないよ」




半泣きしながら、彼らは蜂の巣を食べた。

その味は、だが、今まで彼らが口にしたどんなものよりも、甘美だった。



ハンコウがもらえなければ、免許は取れない。


って、それは教習所の事だろう!!









”父さん、これおいしい”



”そうか、カカシにもわかるか”





カカシの父は偉大な人でした。



101120.


2011年06月17日
家庭内恐怖
はたけサクモ、木ノ葉の白い牙と唄われる、カッコ良く麗しい彼にも、どうに
も一つだけ、この世界に恐ろしいものがあった。




”む〜〜ん”

そろそろ今年もクーラーの季節か、暑いな。

サクモは冷蔵庫から冷やしてあったビールをだした。


”タッタッタッ”


2階から、彼の5歳の息子が駆け降りて来た。

サクモの息子で名前はカカシ。

「とおさん、助けて!」

「おい、何を言っているんだ、情けない」

カカシはまだ幼ないが、しっかり者だ。


いったい何が起きたのか。



「出たんだ。父さんあいつが、今年も・・・・・」

声がうわづっています。

「でた、だって〜〜〜もしかしてえ〜!!」



「早く、オレの部屋にでたんだ来て」

「きてって〜〜」



そうだ、今年も、あのおぞまじい、黒くて艶のある、夏の凶器がでたのだ。






サクモはそれが苦手だ。



カカシが手をひく。
「早く!」




「とにかく、殺さないと・・」

そうしなければ、あれは増えるものだ。


サクモはスプレーを片手に、ゆっくりと階段を登った。



カカシの部屋に。









その晩は、はたけ親子は夕飯も忘れ、黒くて、つやつやした、あいつを捕獲
するはめになった。


「どこだ!?」


「机の下!」


”シュウ!”



カカシの机の下を何かが走った。


サクモはスプレーをかけた。


カカシは椅子をどかした。



重い沈黙の後。



”ササササササ”



艶のある、ゴキブリは無謀にもサクモにめがけて駆けてきた。

「ひっ!」


木ノ葉の白い牙は三歩下がった。



「はやく、父さんはやくやって!!」


”怖かった”


ただ、息子の前では、父親らしく平然とふるまわないとならない。








その晩はカカシは1階の父の部屋で寝た。






サクモはカカシの部屋でスプレーを片手に夜をあかした。


しかし、残念なことに、やつは現れなかった。











今朝も朝から暑い。



まんじりと出来ない朝。



カカシは朝食を作っていた。



結局、ゴキブリは捕獲できなかった。














数日後。



カカシは部屋で一人、忍術の本を読んでいた。



”ぽとっ”




その時恐ろしい事がカカシにふりかかる。


黒い大きなゴキブリがカカシの机の上に落ちた。

「わあああああ〜〜!!」



カカシは悲鳴をあげた。




天井から落下したらしい。





カカシは何気に天井に視線をやり、驚愕した。


天井には、その仲間が3匹もいた。







カカシは半泣きしながら、部屋を飛び出した。



父はまだ帰宅していない。




カカシは夢中で自宅から飛び出し、走って、カカシの大好きなお友達、イルカ
ちゃんのお家に向かった。





”コンコン”






(ん?誰だろう?)



うみの家では、丁度、イルカちゃんの御父さんの、うみのさんが、夕飯のソウ
メンをゆでていました。



「カカチ?」



イルカちゃんが、玄関にでると、蒼い顔のカカシ君が立っていました。

何時ものカカシとは違います。



「どうしたの?カカシ君」


何時も、大人びた少年が顔色を変えて、震えていた。


うみのはカカシを部屋にあげた。



カカシは事情をうみのに話した。


「なあんだ、そんなの御父さんに殺してもらえばいいのに」


うみのは笑った。

「でも〜〜」



”もじもじ”





カカシは困惑した。



「それが…父さんはあれが駄目なんです」

「へっ?」


「だから、嫌いなんです」

「それって、サクモさんがゴキブリが苦手だってことかい?」


「はい・・・・」



”ぷっ”


思わず、うみのさんは吹き出した。


「カカシ君。ほおっておくとあれは増えるよ」

”うるっ”


カカシの瞳が潤みました。



そんなことになったら、家にいられません。




「じゃあ、捕ってあげるから。ね、イルカも上手だから」


「え?イルカちゃんが?」


「うん」


なんてことでしょう?


あの可愛らしいイルカちゃんが、恐怖のゴキブリを捕獲できるのです。




ひとは見かけによりません。





「カカチ。イルカ、ぜえ〜〜んぶとる」



頼もしいイルカちゃん。












カカシはうみの親子と共に自宅に戻りました。



玄関を開けると、父が、スプレーを持ったまま、おろおろしていました。


「サクモさん!」



”にっこり”



うみのは優しく微笑んだ。



「うみのさん?」

「父さん、もう大丈夫だよ。うみのさんと、イルカちゃんがあれを、捕獲してく
れるって」



うみのは顔色が変色している、サクモを見て、この人も普通の人と同じだと
思った。



4人は二手に別れた。



1階を子供チームに、そして、2階を大人チームに。




「カカチどこにいるの?」


イルカちゃんは、にこにこと笑っています。本当に大丈夫なのでしょうか?





「き、昨日は台所と父さんの部屋にもでた」

「わかった]




イルカちゃんは、ずんずんと、カカシの父親の部屋に入った。


灯りをつける。



「ひ〜〜〜〜〜!」



カカシの足元にそれが、
走った。




「イルカ、つ、か、ま、え、た」



そんな馬鹿なこと!?


あるんです。





あの、愛らしい天使のようなイルカちゃんは、手であの恐怖の虫を手で捕ま
えていました。


イルカちゃんは、にこにこしています。



「はい、カカチ」

「い、いい!!」


ふるふるふる”


カカシは首を振った。








その頃。


2階の大人たち。


うみのさんが、片手にスプレー、もう片方の手にスリッパを持ち、バシバシと
あれを殺しまくっていました。




サクモさんは、部屋の隅で、動けません。



(この人は本当は強いんだ)



優しそうなうみのさんの、意外な一面を見てしまいました。








うみのさんは、あの白い牙にも苦手なものがあると知って、少し嬉しかった
のです。


ゴキブリに怯える彼も素敵です。












カカシはやっと落ち着いて、イルカちゃんに麦茶をだしました。




「イルカちゃんって、強いんだね」


「そおお?」


まさかあれを素手で、掴むとは、

逞しいイルカちゃんに、ますますカカシ君は恋してしまいました。




100620.








2011年06月11日
悲しい夜

愛しい男性の喜ぶ姿を想像しながら、うみのイルカはキッチンに立ってい
た。

「♪♪♪」

今日は初めてのスイーツつくりに挑戦だ。





数日前、イルカは彼の勤務するアカデミーの同僚の女性教員から、お手製
のクッキーをご馳走になった。


ほんのりと甘いヘルシーな「薩摩芋のクッキー」


「わあ〜これナナ先生が、とっても美味しいです!・・・・でもこういうのって作
るの難しいんですよね?」

素直に感激するイルカに女性教員は嬉しくて、ぱっと微笑んだ。


「そんなことはないんですよ、イルカ先生」


もし、こんな風に俺がお手製のお菓子を作ったら、

カカシさん、どんな顔するだろう?




頭の隅ではしっかり、恋人の事を考える。



「あ、あのう、ナナ先生、俺にもレシピ教えてください!!!」


「えっ??イルカ先生が!?」

女性教員は、一瞬、キョトンとしたが、すぐにメモに書いてくれた。








イルカは薩摩芋をふかして、すりつぶし、そこに市販の粉とバター、砂糖を
加えた。


本当に俺にも出来るのかな?



オーブンレンジの前でイルカは、どきどきと焼けるのを待った。






20分後。



お皿に丸い焼き菓子が並んだ。


上出来だ!!

これなら、


今夜は二人で食後に、きっとカカシさんは感激で、今夜は、むふふ、大サー
ビス!!


ただの自己満足にひたる、うみのイルカのアパートのチャイムがその時、鳴
った。





(あれ?)



まだ、カカシさんがこの部屋に帰ってくるには、時間が早い。


「どなたですか?」



「イルカ、せ、んせ!オレだってばヨー!!」


突然の来客はナルトとサクラ、二人共イルカの教え子だ。



「どうした?二人揃って」




「これ、綱手のばあちゃんから、沢山貰って」


「みかんです、先生!」



二人はみかんの入った、ダンボールをわざわざイルカに届けてくれたのだ。







「すごいな。重かっただろう?あ、まあ〜あがれよ」




折角、久しぶりに会ったのだ。



二人にお茶でもいれよう。



「わあ〜イルカ先生、なんだか甘いにお〜い」


「ホントだってばよー」


二人の視線はリビングテーブルの上の出来たてのクッキーに奪われた。




「あ、ああ〜これ、先生が作った」


「うそおお〜〜すごい!これ、お芋の匂いですね」


”てへへ”

イルカは照れた。



「あ、食べてみるか?少し」


「おおっ!やった!!」


気がつくと、お皿のクッキーは半分に減っていた。










「あ〜あ〜半分に減ってしまった・・・・」


二人共余程旨かったのだろうか?



そういえば、俺は自分で焼いておいて、まだ味見もしていなかった。





イルカは1枚、手に取った。


”ぼりぼり”

”ぼりぼり”

”ばりばり”

「はっ!!!」


”しまった”




イルカは残りのすべてを完食していた。


「俺の馬鹿!!」


カカシさんの為に!!


(ああああ)

次第にイルカのテンションは落ちた。
















”そうだ!”



ナルトとサクラがわざわざ運んでくれた、みかん箱があった。



イルカは蓋を開いた。



小粒だが、黄色くてとてもフルーテーな香りだ。



みっしりと、ダンボールに1箱。


当分、これがあればデザートには困らない。




イルカは立ち直った。
















”ああっ!1分でも早く、可愛いイルカ先生に会いたい!

そして、抱きしめてあげたい!!




そんなはたけカカシの腕を、永遠のライバルが掴んだ。



「かかあ〜〜しい!!今夜は逃がさないぞ。さあ、カラオケに行こう!!」

「いやああああ〜〜」


ガイと二人でカラオケボックス!!


なにせ、カカシの後輩某Y隊長にも負けない、悪魔の唄声の持ち主。



ガイに音程はない。
なのに、マイクは握ったら最期、

決して離さない。


昨年の上忍、忘年会でも、ガイの歌声を聴いてしまった、犠牲者が次々と、
木ノ葉病院に運ばれた。

恐ろしい!!




部屋では、恋人が待っているというのに、



不幸なカカシはガイに拉致られてしまった。














”こちこちこちこち”



部屋の壁の時計はそろそろ10時を過ぎていた。



イルカは一人、ごろごろと横になって、カカシを待っていた。



(なにかあったのかな?)



二人で会うのは、とても久しぶりだというのに・・・・。




「ああ〜〜」


イルカの視界にみかんのダンボールがうつる。




イルカは、のろのろと手を伸ばした。






お腹が減っていた。

寒いし、悲しいし・・・・。



イルカは美しい果実を食べ始めた。



「うまい!!」















カカシがようやくガイから解放されたのは、深夜。


民家の屋根の上を飛び、カカシは向かう。




耳にこびりつく、ガイの唄う、呪いのラブソングは、昔のフオークソング。
うちはイタチの幻術なみに怖かった。


「ああ!」




ぽっんとイルカのアパートの部屋には、灯り。





寂しいおもいをまたさせてしまった。


御免よ、ベイビイ!!




ぎゅっと抱きしめてあげたい!!

















部屋の中には、恋人がぽっんと膝を抱えていた。



「い、イルカ先生!」


(なんだこれ?)



部屋には、黄色い皮が散乱していた。



みかんらしい。




「あ?」


イルカは誰かに名を呼ばれ、振り返った。


「ひっ!!!」




カカシはその顔に唖然とした。


黄色い顔のイルカ。




「おそかったですね・・・・」



トーンの低い声には力がない。



「そのかお・・・・・・」



「どうかしたんですか?おそかったですね」



「あ・・・・・・」




イルカはカカシから鏡を見せられた。



箱すべてのみかんを一人で、そうだ、俺が・・・・。



”バタッ”





イルカはその場に倒れた。





カカシは変わり果てた、

「みかん星人」を抱きしめたいという気分はうせていた。





”ひゅうううう〜〜〜”






さぶい。






ハッピー??あれ?





オマケ。




カカシ布団をひいて、イルカ先生を寝かせてあげました。


ごめん、寂しかったんだね。


俺のせいだね。


黄色くなっても、先生は先生だ。




101124.
2011年06月04日
雨のキューピット
少し冷たい6月の雨が降っていた。


傘をさしてそんな中、うずまきナルトは歩いていた。


帰り道、途中公園の前を通りかかった。


「?」

”ミューウ”
”ミューウ”

わずかだが、小さな弱い鳴き声が耳に飛びこんできた。



(ダンボール箱?)




雨に濡れたダンボールの中に小さな仔ねこ。


茶色の子ねこだ。



思わずナルトはその仔ねこを抱きあげた。

「おまえ・・捨てられたのか?」



雨に濡れて体温の低い、ねこをナルトは放っておけなかった。



まるで、それはかっての自分の姿と重なった。




ナルトはねこを抱いて、飼い主を探そうと思った。


真っ先に顔が浮かんだのは、アカデミー時代の教師のうみのイルカ先生の
顔だ。



しかし、ナルトと同様、アパートに暮らしているイルカ先生にはそれは難しい
かもしれない。・


(どうするってばヨー)




だからと言って、この愛らしい仔ねこをまたあの冷たいダンボールに戻したく
はなかった。




気がつくと、ナルトは自分の担当上忍、はたけカカシの住んでいる建物の下
に立っていた。


まだカカシ先生の部屋にはあがった事がない。









はたけカカシは1日の報告を済ませる為、受付に顔をだした。




(、いた、いた、♪)



彼の本当の目的は報告ではない。



受付にいる、うみのイルカ先生だ。




イルカはカカシの姿を見ると、にこにこと微笑んだ。


「ご苦労さまです」

「今日はよく降りますね、イルカ先生。・・・こんな日は温かいラーメンでもい
かかですか?」


「そうですね〜でもすみません、今日はせんやくがあって・・・・」



(ふられた!)



これで、3度目だ。




カカシは一応、あきらめて、自宅に向かった。








はたけカカシの住まいは里でも高級住宅と呼ばれる場所にある。


白い建物の前に黄色い頭を確認した。

「な、ナルト?」


「カカシ先生!」

こんな雨の中俺の帰るのを待っていたのだ。


ナルトの腕の中には小さなねこ。






カカシは仔ねことナルトを部屋にあげた。



タオルを2枚だして、ナルトと仔ねこをくるんだ。


「ありがとうカカシ先生・・・・このねこ公園でダンボールに濡れていて・・・・・」


困り顔のナルト。



「ふうん。それで、ここに来た」


カカシは嬉しかった。


ナルトは自分を信じているという意味だ。


温めたミルクをさまして、カカシは仔ねこにのませた。


「腹すいてたんだな・・・そうだ、ナルト、お前も腹ぺこだろう?今、 何か作
る」


「ええっ!?カカシ先生が?料理できんのか?」
「当然だ!」
カカシは胸をはってみせた。





カカシはてきぱきと冷蔵庫をあけて調理に励んだ。





やがて、ミルクで満たされた仔ねこは安心して眠ってしまった。






ナルトがほっとした頃、ナルトの前に「てんこ盛りの焼きそばが」置かれた。・

「食え!」



「すごい!カカシ先生が???」

何だかわからないが、いい匂いだ。




ナルトは夢中で食べた。


「おい、野菜も食え!」

「うん」


カカシは先ほどから、思案していた。


自分の周りで、この子ねこを飼えそうな人物をさがした。



ただ、不在がちの仲間たちが多い。



そうだ!


イルカ先生なら、内勤の彼ならば心当たりがありそうだ。







それに、イルカ先生と親しくなれる、「チャンス!!」
”きらっ!”
カカシの目が光った。


「な、ナルト、この仔ねこは今夜はうちで預かるから、飼い主は俺がさがす
よ」


ナルトはその言葉に安心して、帰っていった。











「みゅうう〜」


仔犬も可愛いが、またねこもいいな。


綺麗で小さいんだ。



カカシは毛布でねこのベットを作った。




外はまだ冷たい雨が降り続いていた。
















翌朝。



日曜日でイルカはお休みだ。


雨もやんで、空が青い。



イルカは梅雨時の貴重な晴れに洗濯ものを干していた。




ふと、窓の外を見ると、見覚えのある、銀の髪。



イルカは表に出た。




「カカシさん、どうかされましたか?あれ?」


カカシは大事そうに籠を抱えていた。

その中には愛くるしいねこがいた。







「実はお願いがありまして・・・・・・」

ぺこり。

カカシは手を合わせた。








カカシの思ったように、イルカ先生には心あたりがあった。



アカデミーの同僚で女教員。



彼女は動物好きで、家族と暮らしていて、ねこを飼っていた。


「イルカ先生、ありがとうございます、是非お礼させてください!!」

「あ、でも〜そんな、大したことでは・・・」


「今日は俺も非番で、何処か旨い店でお昼でも」


「わあ〜」


イルカの笑顔の眩しさに、思わずカカシは目まいを覚えた。











「先生、ありがとうってばヨー」



「いや、それは俺の台詞だ・・・」


「え?」

ナルトはきょとんとしている。



「ま、よかったな」




雨の中。、ダンボールに捨てられた仔ねこと、ナルトはその後、カカシの恋
のキューピットとなった。





100620.



子供の頃、こういう経験ってあるような・・・。






2011年05月28日
天才親子?!
ある人の多いショッピングセンターにとても美しい少年がいました。

誰もが振り返るほどの美貌の彼ははたけカカシ、今年5歳です。


彼は先ほどから、じっとそこに立って腕を組んでいました。

(どうしょう、父さんがいない)


一緒に買い物に来ていたはずの、父、サクモの姿を見失ってしまいました。


(全く、またオレと一緒だってことを忘れたんだ)

父、サクモは忍としては一流の人ですが、日頃は少し変人でした。








「カカシ・・・・・」


困った、

その頃、カカシの父、サクモはうろうろと洋服売り場にいました。


つい、夢中で、本屋で立ち読みしていたら・・・。

気がついたらカカシが一緒に来ていることを忘れていた。


(ああ〜またやっちゃった)




こういう場合、カカシは迷子センターに迷子のふりをして保護されている。




さて、この場合、本当の迷子はどちらでしょうか?





天才とは理解しがたき生き物。





「もう〜ホント父さんには苦労させられるよ」
「カカチもたいへんだね、はい、カルピスのんで」

「ありがとう」

カカシの苦労はまだつづきそうだ。


100708.
2011年05月21日
桃色時間
もう季節は5月だというのに、風は冷たく空は暗かった。



はたけカカシがこの地に入り5日が経過した。

「そろそろ降ってきそうですね、カカシさん」
「ああ〜そうだね」

同行者の楊枝を加えた特別上忍が空をあおぐ。


お互い言葉には出さないが、
早く里に帰りたい。

二人の想いは恋人。






カカシがこの土地を訪れたのには訳があった。


カカシの瞳の写輪眼のは使用しすぎるとリスクがあった。



特に激しい戦闘の後はしばらく休養が必要だった。

ただ、この事は極秘だ。





毎日海に近いこの土地でカカシは治療をうけていた。




この海の近くには、癒しの力を持つ、高齢の女医がいた。





何時かは俺の瞳は何もうつさなくなるのだろうか?



時々そんな不安に襲われた。







カカシは熱を持った熱い砂風呂に横たわっていた。



こうして砂に埋まると体内の毒素をだしてくれる。


砂にはそういう力もあった。




女医の名はサチ、歳は80を超えていた。


小柄でよく笑う明るい、現役の医療忍者だ。






「だいぶ回復したかの?」
「御蔭様で」

「カカシ、早くいいひとの顔がみたいのだろう?」

「もう〜やめてくださいよ〜そういう話題は」


「知っておるぞ、カカシの恋人は木ノ葉の里一番の気だてのよい子だと・・・
ゲンマが話てくれた」

「あの、楊枝男のお喋り!!」


「さ、後は湯につかり布団で休め。・・・里に帰ってもあんまり、あっちの方は
頑張りすぎぬことだな」
「そ、そんな〜〜〜」





厳しい一言だ。


その一言がいずれ、カカシを後悔させる予言とはその時、想像がつかないこ
とだ。













まったりとした午後だ。


もうそろそろ3時の休憩だ。


ちらりとイルカは時計を見た。


幸い同僚は席をはずしていた。

イルカは鞄の中から大切なハガキを出した。


それは任務に出た、あのひとからのハガキ。


「今回はすぐに帰れます。帰った頃が、あなたのお誕生日ですね。何が欲し
いか考えておいてください」カカシ。





早いものだ、もう今年も俺の誕生日だ。


欲しい物か、物じゃないんだ、時間なんだ。


カカシさんと過ごす時がもっと欲しい。



恋人達にとって一番大事なのは共有する時かもしれない。


多忙な恋人ともなれば、切実に会いたい時に会えない。


さて、お茶の時間だ




イルカは受付をぬけだした。

席をはずしていた、仲間が戻った。



イルカは自動販売機でカップのコーヒーを買った。


「そこの、若者よ!!」


コーヒーを手に持ち、声の主をみて、イルカは思わずこけそうになった。



白い髭をはやした、いかにも老人もどき。


誰が見ても眉毛からして、ガイさんだった。

「コスプレですか、ガイ先生?」

「何を無礼な、ワタシは東の国から牛車に乗って旅をつづける、健康仙人
だ!!」


「けんこう、おたく?」


イルカは逃げようとしたが、ガイに腕を掴まれた。



「あちい!!」


コーヒーが、折角のコーヒーがこぼれた。





「3本セットでどうだ?」

「は、い?」


老人姿のガイは赤い蛇のイラストの入った小さな瓶を取り出した。


いかがわしい、商売に手をそめてしまったのだろうか?

しかし、人のよすぎるイルカは3本だけといって、購入してしまった。




瓶のラベルのは「桃色時間」


なんだか凄い。




多分健康ドリンクだろう。

カカシさんが帰ったら二人で飲もう。










ああ〜真っ先に見たいのは、あなたのお日様のような微笑みです。



(うふふ)



今回の治療を終えてカカシはフットワークも軽かった。



はやく会いたい!!


ところが、アカデミーにも受付にも、恋人の姿はない。




カカシは焦った。


イルカの同僚を捕まえる。


「それが、イルカ、昨日から休んでいまして・・・・連絡もとれなくて」


「なに!!ちょっと、あんた病気でもしていたら、どうすんの!!」


「も、申し訳ありません、はたけ上忍」


天下のはたけカカシに睨まれ、イルカの同僚は大量の汗をかいた。

同僚は焦ったあまり、大量の自分の汗で全身が全びしょびしょだったそうだ
よ。









2日前。



イルカはガイから買ったあの「桃色時間」を持ち帰った。



ここ数日は仕事が忙しく、体力も落ち、ストレスもはんぱではなかった。


そのうえ、カカシにもあえずイルカは、同僚から借りたアダルトなDVDを取り
出した。

何気にドリンクを飲みほした。





(ああああああ〜〜〜〜〜)



全身の細胞が活性化された、体温は急上昇。



そのうえ、テレビのモニターには、乳のでかい裸の女性の姿。




「ごくり」



もう〜駄目!!


気がつけば、イルカの手は自らの下半身にのびていた。



イルカも健康な成人男子だ。












合鍵を使い、カカシはイルカのアパートに飛びこんだ。


いや、突入と呼ぶべきか。




テレビの前の彼は倒れていた。


その周辺には、使用済みのティッシュ。



何があったか、みれば理解できた。




「ああ〜俺とした事が、」

イルカの身体のそばに空の瓶。


テーブルの上にも蛇のイラストの「桃色時間」


そうか、これのんで先生は・・・・。


くぃっ!


カカシも飲んだ。





「はぁはぁはぁあああああはああああ」




額に汗。


「もう〜〜我慢できん!!」



カカシは布団に寝かせた、恋人に襲いかかった。

我ながら馬鹿な展開だ。






お、俺は何をしているのだろうか?


二人は獣になってしまった。




お互いを本能のみで求め会う。


そろそろ、深夜だ。

「い、イルカせんせ・・・・」

「は・・・い」



「ごめん、抑制できなくて」

「俺もです」

「もっと、あなたが欲しい」

「望むところです」




二人の欲望は丸二日つづいた。











(あれから?)



カカシは目覚めた。


ベットの上。

この匂い。

病院!!



思い出し、考えを巡らせ、カカシは顔から火を吹いた。







行為に夢中になりすぎて、二人は力つきたのだ。




「カカシさん・・・・カカシさん」


イルカ先生の声だ。



隣のベットだ。



“ああ〜〜恥ずかしい!!”





「あのう、誰が病院に」

一番気になる事だ。


「それが、任務になっても、現われないカカシさんをさがして、ガイ先生
が・・・・・」


「よおお!!青春まっただ中!!」


永遠のライバルのドアップ。




「あなが・・・」
「あな?」


「穴があったら、入りたい!!」


心の叫び。




あのサチ様の言葉が、痛い。






今年のイルカの誕生日はかくて、病院ですごしました。






ある意味忘れられない。

メモリアル。





110430.


イルカ先生!ハッピーバースデー!!


「おい、作者!!いい加減にしろ!!」(イルカ先生より)



おしまい。











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