STORY

2009年01月08日

「だまされるな」

うららかなるある日曜日のお昼。

”たまにはお洋服を買いに行こうかしら”
鬼鮫は街にでかけた。
ためたおこずかいを軍資金に。

次ぎのお休みは素敵な彼とのデート。

「まあ〜素敵」
ショーウインドーに花柄のワンピース。


「いらっしゃいませえ〜」
店には新人フアッションアドバイザー、はたけカカシがいた。
白銀の髪のイケメンボーイ。

今日はカカシがこの店に移動してのデビューの日だ。
なんとしても売り上げをあげたい。



店に入って来た客は青い顔に大柄な男?

「ねえ〜あのお洋服着てみたいの〜〜〜あら、あなたナカナカいい男ね。でも、イタチさんにはかなわないわ」
「か、かしこまりました」
カカシは汗を押さえ不気味な客をドレスルームにエスコートした。
(しかし、この人が花柄のワンピース。・・・しかも俺よりイケテル彼氏?)
(ぷっ)
笑いたいのを我慢して爽やかな表情をつくる。

「お客様〜いかがですかあ?」
チラリとカーテンごしに声をかける。

カカシは笑顔を作る。
「ちょっと派手かしらあ〜」
オレンジの花柄の怖い客。
「ま、、まるでお客様の為にあつらえたようなお洋服です。お似合いです〜〜ああ〜こんな美しい人がいたなんて、・・・お客様お色違いでピンクとブルーもございます」
「まあ〜〜」
客はすつかり気分がよくなっていた。

「きっとお客様の恋人もメロメロです」
「いゃ〜〜ん」

”おいくら?”

「はい全部で30万円です」
「じゃあ〜ス○カでリボでお願い」
「かしこまりました」



しかしあの人にワンピース。

犯罪だな。


カカシは笑顔で客に手をふった。


皆さん。

所詮、アドバイザーなんて嘘つきですから。

081105.


2009年01月01日

「FOR YOU」

1日、24時間。

神様が唯一人間に平等にあたえてくれたのは時間だけだから・・。





イルカはアパートの部屋に戻り、灯りをつけた。
寒い部屋にこたつに電気をつける。


一人暮らしは長いけれど、やはりこの時期はこたえる。

寒いな。


昼間、同僚が両親にクリスマスプレゼントを贈るという話を嬉しそうに語っていた。

何気ない話題だったが、

胸の中でもやもやとした嫌な思いが残った。

イルカの父と母はもう随分前に他界していた。
今さら、感傷にひたる年齢でもないのだが、


”ぽつん”

ラーメンを作り、缶ビールをあける。

TVはつけてみたけど、音が五月蝿くて頭に入らない。


こんな毎日が後どれくらい続くのだろうか。



日頃明るいイルカも、

時には辛い夜もある。

考えてみればクリスマスなんてアカデミーの生徒としかしたことがない。








翌朝。

イルカは4時に目が覚めた。

布団の中にじっとしていられず、起き上がり身支度をした。


早くでて公園に行ってみよう。



マフラーを巻いてイルカは「木ノ葉公園」に足をはこぶ。

公園には八匹の犬たちが飛び跳ねていた。

その中に知ったパグをみつける。

「パックン!」

「なんだイルカではないか」

「どうしたの、こんな早くに?」

パックンは上忍はたけカカシの忍犬のリーダーだ。

「今日は12月24日。カカシが拙者たちにプレゼントをくれるというのだ」
「え?カカシ先生が?」

イルカはきょろきょろした。
カカシらしい姿はない。



「ねえ、ホントにカカシ先生がここにくるの?」
「ああ」
”どろん”!

真っ赤な衣装に口布をした怪しいサンタクロースが登場した。

カカシサンタは日頃よく働く忍犬たちにジャーキーのプレゼントをしていた。

犬たちは飛び跳ねて喜んでいた。

イルカはぼうぜんとその光景を見ていた。

「イルカ先生、随分と朝早いんですね」

「は、はいちょっと散歩していました」

「手をだして」
「え?」

イルカは右手をだした。


”どろん”

小さな赤い箱が手に乗っていた。

「これって?」

「カカシサンタからのプレゼントです」

「わあ〜〜〜」


早起きしてよかった。

まさかあのカカシ先生からプレゼントをもらえるなんて、

里をきってのエリート。
憧れのカカシ先生。




イルカはアカデミーにむかった。



カカシから贈られた箱の中身はキャンデーだった。

その日一日をイルカは幸福な気分ですごした。










年の終わりが近ずいてきた。


新年まで残すところ1日をきった。



イルカは考えていた。

あのクリスマスのキャンデーのお礼が一言でも言いたかった。


その後カカシは里外にでていて一度も会えない。




イルカは賑わう商店街に餅を買いにでた。

魚屋でまた見覚えのあるパグに会う。

「パックン!」

イルカは思い切って声をかけた。

籠をくわえたパックンが振り返る。


「イルカ買出しか?」
「うん、餅をお正月の」


パックンはイルカについてくるように誘った。



イルカは餅を手にしたまま後についていった。








それは木ノ葉でも最も高級な住宅街。


大きなお屋敷にパックンがはいる。

(もしかして、ここがカカシ先生の家?)


イルカはドキドキした。



「今夜、カカシが少しだけ戻る。・・・・それまで酒でも呑まないか?」
「えっ?犬なのに酒?」
「細かいことはいわないこと」

「はあ・・・」



屋敷の中では忍犬たちがあちこちに自由に寝そべっていた。

皆カカシの帰りを待っているのだろう。



犬たちはイルカをみると甘えてすりよってきた。


イルカはパックンにすすめられ酒を呑んだ。

和室のこたつに入り、
ごろんと横になった。

(俺なにしてんだか?)

(カカシ先生の家なのに)




気がつくとイルカは眠ってしまった。





”あ?!”

イルカは起き上がった。

あれから数時間もうかなりの時間だ。

「俺はもう帰るね。長居してしまったね有難う」

立ち上がるイルカの服の裾をパックンがくわえた。
「いや、後10分待て」

「10分?」

腕時計を見るともう11時30分すぎていた。
新年になってしまう。



イルカは黙って10分待った。



そして10分後。

少し薄汚れた上忍が玄関から入ってきた。

犬たちが嬉しそうにカカシを歓迎した。


「イルカ先生!・・ホントにイルカ先生がうちにきている!」


カカシは笑った。

とても嬉しそうだった。


「すみません、図々しくお邪魔していました」

「パックンが家でいいことが待っているってこのことだったんだ」


どうやらパックンが気を利かせてくれたようだ。



「さあ、どうぞ正月の祝い酒です」

カカシは大きな瓶を持ってきた。

「あの、この間は有難うございました」

イルカは頭をさげた。
「このあいだって?」

「クリスマスキャンデー」


カカシは目を細めた。

どこからともなく新年を知らす鐘の音が聞こえてきた。




「なんだか今年はいい年になりそうですね」

「そうですね」



かたむけあう、極上の酒。


そして新しい年を知らせる鐘。





銀色の美し横顔をみつめて、


胸の中で、新しい年に何かが始まる予感がした。







いつしかあの時感じた心のもやもやは嘘のように晴れた。



そして、新たなる一年に希望を持って!



FOR YOU
081224.




2008年12月26日

「美しくなりたい!」

木ノ葉の純喫茶に3人の美しいお姉さまが話をしていた。

黒い髪に黒目の愛らしい瞳は火影である綱手の弟子のシズネ。
そしてちょっとワイルドなのがみたらしアンコ。
最後に赤い瞳がひときわ美しい紅。

「もう〜大変よ・・・綱手様ってば昨年はけたパンツがはいらないから、スゴイやつあたりで」
「呑みすぎなのよ五代目は」
「ねえ、そういうアンコこそひそかにあれやってるんですってふふふ」
女が集えば美の話題。

三人はケーキを食べながら盛り上がっていた。

すると何とそこに偶然に上忍のはたけカカシと中忍のうみのイルカがそろって店に入ってきた。
「ちょっと、カカシとイルカよ〜」
「いやだ〜〜昼間っから堂々と〜〜〜」
シズネとアンコは乗り出して二人をみた。
もう、里では有名なカップルだ。

「よしなさいよ、こういうのは見て見ないふりしないと」
大人の紅が二人をたしなめた。





カカシとイルカは一番奥の席に恋人すわりをしていた。
「おれプリンパフェ」
「おれはホット」
カカシは甘いものは苦手だった。

「ねえ、イルカ先生最近少し顔まるくない?」
「えっ?!」
パフェを食べる手が止まる。

(それって俺が太ったっていうのかあ??)
”ずどおおおん!”

イルカは奈落の底におちた。

どうやらカカシは恋人の自雷を踏んでしまったようだ。










ああ〜やっぱりきつい。
この前はけたはずのジーンズがはけない。

”ひゅううう〜〜”

冬の風は寒く心にしみわたる。

イルカは一人公園のベンチにいた。

”やっぱりラーメンが原因だ”

俺もラーメンを卒業する日が来たんだ。

さようなら、一楽。
テウチさん。
アヤメさん。


「ああ〜いた、いたイルカ先生〜〜」

ぼんやりしているとナルトがかけてきた。

変ったな。

今ではすっかり背も高くなり、スタイルもそれに父親ゆずりの美貌。

(うらやまし〜〜)


俺の可愛いナルトは今ではサイやヤマトさんにもてもて、


「な、先生久しぶりに一楽に行こうってば」
そういう処はあまり変っていない。

「ごめん・・・・おれそんな気分でなくてな」
「えっ?熱あんのか〜〜〜やっぱ冬場はラーメンだってば」





がっくし。



イルカは一人街をさまよっていた。
「もしもし、そこの悩めるあなた」
「え?」
イルカはどきっとした。

道の端に四角い箱をだし、
黒いフードをかぶった手相をみているような人物。

「ずいぶん悩んでいるね」

「なんでわかるんですか?」

「ふふふ私にはなんでも見える」
自信満々に男は言う。

「おれお金ないですよ」
イルカは断った。

「お金はいらないよ・・・恋の悩み?それともお仕事?」

”ぷるぷる”

イルカは首を振る。
「おれ美しくなりたいんです」






そしてその男から教わったのは朝にバナナを食べる健康方だった。









イルカは頑張った。

半月が経過した。



イルカは受付にいた。

紅がそこに報告にきた。

「ご苦労様です」
ニッコリ。

どんな時にも最高の笑顔で労ってあげたい。

「あら、イルカ先生、ちょっとスリムになったかしら?」
「そ、そんなあ〜」
(やったあ〜★)

紅先生から言われるなんて光栄だった。

美しいくノ一はみんなから憧れていた。
「やっぱり恋をしていると違うわね」

「え?」

イルカはドキドキした。

でも嬉しい。


その時、

バタバタと慌しくナルトが入ってきた。

「こら廊下は走るな、ナルト〜〜〜」

「た、大変だ。テウチさんが〜〜〜〜一楽が!」


物価の高騰で値上げした一楽。
気がつくと客の足は遠のき売り上げは落ちる一方。

そんな中テウチは胃腸をわずらった。

それでも娘のアヤメと二人再びお客さんを取り戻そうと新作ラーメンに取りくんだ。

寝る時間も惜しみテウチは働いた。


しかし、物事には限度がある。

「今、木ノ葉病院だってば」
イルカは立ち上がった。


日頃よくしてくれるテウチを放ってはおけない。

イルカは仕事をてくぱきとかたずけ早退した。

木の葉病院へ。


病室には先にかけつけたナルトとサクラがいた。

そして娘のアヤメ。

テウチは横になっていた。

「テウチさん!」
「イルカせんせい・・・」

イルカを見てテウチの瞳が潤んだ。

手をのばすと握りかえしてきた。
「だいじょうぶですか・・・」

「先生、お願いします。天使の来ないラーメン屋に未来はありません!!」

テウチの瞳から涙がおちた。










そして一楽にまた天使が姿を現した。


不思議なことにその日をさかいに遠のいていた客たちもまた戻ってきた。


「やっぱりイルカ先生って天使だったんですね」

カカシは優しく笑った。


「そうなんですか?」

「俺にはあなたの背中に羽が見えます」




イルカは微笑んだ。


その笑顔は最高に美しいものだった。



「美しくなりたい」

END
081003.


2008年12月20日

「いつか逢えることを信じて」

その晩は恋人たちは身を寄せ合って、

そして家族がそろって御馳走を食べて贈りものをしあったりする幸福な夜。

遠い西の国のお祭り。


「火影さまオレきいたことある。・・・赤い服のおじさんが悪い事をすると食っちまうぞって」

イルカは丸い瞳で三代目をみた。

「イルカよ、それはちいと違う、赤い服は良い子にプレゼントをくれるのだサン、タク、ロウというのだ・・・良い子にしていればお前のところにもくるだろう」

「わあ〜サルマタがやってくる!」

イルカは喜んだ。


うみのイルカは14歳にまで成長していた。


三代目猿飛はふと考えた。


今年の12の月に子供たちを集め、自分も西の国のサン、タク、ロウになれないだろうか?





そうこう考えながら歩いていると。

前方から顔を赤く腫らした彼の弟子が歩いてきた。
「また、派手にやられたな」
「つう〜〜なああ〜〜でええ〜」

何時ものことだった。

自来也は綱手にちょっかいをだして、
ボコボコにされたのだ。


”丁度いい”

先刻、イルカに話して聞かせた、西の国のお祭りの話を自来也にした。

「で、先生は子供たちにそのクソスマスをしてやるのか?」
「そうだ、クリストマトスじゃ」

”納得、納得”

「赤いべべ着てな」
「そりゃあ還暦だぞ」

二人ともあまり細かい事にはこだわらない性格だった。




自来也は話をききながら、ふとある少年の顔が浮かんだ。

それは自来也の愛弟子のミナトの弟子のカカシ。



あの生意気でませたカカシも誘ってやりたいのだ。




おもえばカカシの境遇は明るいものではない。

数年前に父を亡くし、友を失い、そしてあの忌まわしい「九尾事件」で師である四代目(ミナト)をも失った。

カカシはそれでも何事もなかったように黙々と任務をこなしている。

しかしまだ子供、本来なら暖かい家庭にも憧れるだろう。







自来也は翌日カカシの家を訪ねた。

木ノ葉の高級住宅街の一角に彼は一人で暮らしていた。



カカシは一人読書をしていた。

「よお、読書とは感心だ、あっ、それはワシの本!!」

自来也は恥ずかしくなった。

「はやい、おまえにはまだ早すぎる!!」

文句を言いながら小説本を取り上げる。


「とることないじゃん、自来也様」
「おまえ、これは18禁だぞ。・・・・よく本屋が売ったな」

カカシはクスっと笑った。


口布はしているが

彼の父、サクモどうよう美しい顔立ちをしていた。


「でなんかよう?早くしてよオレ忙しいんだけど」

口だけは一人前で生意気だ。
そんなところもサクモに似ていた。


自来也は昔よくサクモと飲み屋で一緒になった。
何時も派手に女をはべらせていた。

実力ともにモテまくりで自来也には羨ましいかぎりの男だった。

はじめ自分のところへ寄ってきた女もサクモが現れるとみんなそっちにもっていかれてしまう。
まあ、余談だが。






カカシには普通に祭りの話をふっても駄目だと思った。

「ちいとお前にお願いしたい」
「任務?」
「ああ、三代目を助けると思って」
協力してほしい。

自来也は西の国の祭りの話をした。

カカシは黙ってきいていた。
「それボランティアだよね・・・三代目も好きだな」

「ええだろう、その子供の中にうみのの息子がいてな、三代目がえらく可愛がっているんだが」
「うみののむすこ?」
「ああ、昔の知り合いで、イルカ君という名前だ」
「イルカ?変な名前」


あの「九尾事件」両親をなくしたそうだ。


カカシはふう〜んときいていたが、

何故かわからないがイルカという名前が耳に残った。






イルカは一人大木に手裏剣を投げていた。

何度投げても当たらない。


それでも根気よく投げる。

「下手だなあんた」

背後でいきなり声がしてイルカはギョッとした。

全く気配にきずかなかった。


「そんなの知ってるよ!」

大きな黒い瞳でイルカという少年はカカシのことを睨んだ。


銀色の見たこともない美しい髪に口布。

「かして」

カカシはそれを軽く投げた。

まるで生き物のように手裏剣は飛んだ。

「わああ〜すごおおい!ねえ、オレにも教えて」
イルカは真剣にカカシに言う。


(おもしろい奴)


カカシはふふっと笑った。


「いいよ、でも条件がある」

「条件?」
「そのしっぽさわらせて」
「しっぽ?」
イルカの自慢の髪をしっぽだなんて、

イルカはふくれた。
「いいけど・・・・」

カカシはイルカの頭でゆれる髪が気になった。

「すごい、ホントに実在したんだしっぽ男って」
「なにそれ?」
「むかし先生が教えてくれた」

所詮カカシも15歳、イルカと同世代の少年だ。


二人は笑い合った。


カカシはイルカの修行につきあった。


久ぶりに誰かと修行した。





イルカという少年は飾り気のない、
そのまんまの少年だった。

明るくて表情が豊かで見ていて面白かった。

誰かといて楽しいなんてカカシには最近そんなことはなかった。


自来也の話では彼も両親がいない。


しかしそんな事を感じさせないほど素直な性格だった。

「しっぽ男オレかえる」

「まって、ねえ名前を教えてお兄ちゃん」

「オレの?」

カカシは答えた。

「名乗るもんじゃない」
「へえ〜長い名前」

”コケ”

カカシはコケた。
















寒い季節が到来した。

三代目は子供たちに贈るプレゼントを作った。

プレゼント制作には猪鹿蝶の三人が手伝った。


「どうだ似合うか?」

三代目は赤いサン、タク、ロウの衣装を身に着けた。


これを身に着けてお祝いをする。


森に煙突のある小屋まで造らせた。


「しかし、なんでアタシがこんなの縫わされるんだい」

ブツブツ綱手が文句を言う。
そういいながらも綱手も楽しみだった。

そこへドタドタ、自来也が走ってきた。

「おお、すまん遅くなって、って・・・猿回しの猿」

口走るその口を慌ててイノイチが押さえた。


「なんこと言うんだ火影様にむかって」

「失敬なサンタクロウである」

三代目は胸をはった。



猪鹿蝶がパチパチと拍手した。










そして12月24日。



イルカは三代目に招かれて森にやってきた。


同じように招かれた子供たち。

その中に見つけた。

口布の少年。



「あっ、名乗るもんじゃない!」

カカシの事である。


カカシは真っ赤になった。
イルカが嬉しくてカカシに抱きついてきたのだから・・。


会場には色とりどりの料理。


「イルカとってあげる」


「うん」


カカシはイルカの為にお皿に山盛りの料理をよそう。
「わあ〜」
イルカはもりもり食べている。







「なあ〜〜なんか寒くないか綱手」

「そうかい?


自来也は暖炉に視線をおくった。


「全く、このクソ寒いのに火もついてないのか」


自来也は立ち上がり火をおこした。



「さあ〜綱手ねえちゃんのケーキだぞ!」


大きなお手製のケーキに子供たちの顔が輝く。







「なあ〜ところでチョーザ火影様は?」

御馳走を子供から奪って食べているチョウザにイノイチが首をかしげた。


「プレゼントまで作らせて、何処いってんだかね」

シカクも考えた。


「仕方ないさがすぞ」

三人は小屋を出た。



火影様はどこへ・・。









久しぶりに会ったしっぽ男はとても可愛かった。


カカシは自分の隣に座らせて鼻の傷をさわったり、髪を悪戯可愛がった。


楽しい夜だ。


そう、今夜はみんなが楽しむクリスマスイブの晩なのだから。




そんなパーティの舞台裏でとんでもない事件がおきようとしていたとは!






じつは・・・


三代目はサン、タク、ロウになりきりプレゼントを白い袋につめて、
いざ煙突に向かった。



何も知らずに三代目は煙突に入った。


もくもくもく〜〜〜〜




白い煙が充満していた。


三代目は煙突の途中で煙にまかれて気を失った。



もし猪鹿蝶の三人が探さなければ、

三代目はスモークになっていただろう・・・自分の弟子のせいで。





サン、タク、ロウは代役でイノイチがやった。


楽しい時間はすぐに過ぎていく。



「待って、おにいちゃん、まだ名前きいてない!」

帰り支度をするカカシの服をイルカがひっぱった。

「お、おれは・・・・・・」


カカシは恥ずかしかった。



こんなに照れくさいなんてオレどうかしている。

「ごめん、これから任務」


「ねえ、またあえる?」

「ああ・・・何時か、・・・・きっとクリスマスの夜に!」


カカシは言い残し小屋を走り出た。







そう言ったことも自分では忘れていた。


恋人たちのよりそうクリスマスイブの夜。


カカシは嬉しそうにケーキをほおばるイルカの顔を見た。




果たしてあの時の事をこの人が覚えているのか?





大人になり二人は出逢った。

イルカは何も覚えていないのかあの晩の事はいわなかった。


「ねえカカシ先生知っています?三代目って昔サンタになったんだけど煙突の中で煙にまかれて」

”プッ”

イルカはブラックなことを言っふいた。



”あの夜のことだ”



「ねえ、こっちきて」


カカシはイルカの事を抱きしめ唇を重ねた。



”何時か逢えると信じていた”

END 07.10.

仔のつもりが三代目ストーリになりました。















2008年12月13日

「ロマンス 後編」

カカシは地下鉄の階段を登りぷらぷらと歩いていた。

下町である。

近くには黄色の有名なオブジェが見える、そして隅田川。

まだまだ東京の街も平和だと思える古い商店や家が続く。




狭く古い中学だった。

かなり年季が入っている。

「ボロイ学校ね」
カカシはつぶやいた。

「すみませ〜ん子ノ葉日報のはたけと申します〜!図書室の件第一発見物の方のお話をお伺いさせていただきたいんですがあ〜」



しばらくして小柄で白い髭の老人がでてきた。



「校長の猿飛じゃ・・・・うみの先生は今、この裏の病院だ」
(病院?)

「警察の人にも言うたがな・・・・・」

校長は話初めた。


置き去りされた大金を発見した教師は一万円の山をみて、びっくりして図書室の本棚につっこんだそうだ。


”お金見て本棚に?”

”くっくっく”

どんなマヌケな人なんだろう?




カカシは学校を後にした。







カカシは病院の門をくぐった。


ナースセンターで教師の名前をたずねる。



教師は3階の病室で休んでいる。

怪我はないようだ。





”コンコン”

(誰?)





イルカはゆっくりと身体をベットから起した。



「どうぞ」



すうっとドアが開き、



そこには数日前、中華街でラーメンをすすりあったあの銀色の髪の美青年がたっていた。
「あっ!」
「あんた!」


運命の悪戯なのだろうか?



また逢えるとは。




不思議なことってあるもんだ。


二人はあらためて挨拶を交わした。



イルカは顔がぽっと赤くなってしまった。

なんでだろう?






「中学の先生だったんですね。」
「はい。新聞記者なんて初めて見ます。警察も・・」


カカシは名刺を渡した。


青年はうみのイルカ。

「怪我はなかったんですか?本棚に・・」

「はい・・・・あんな大金生まれて初めて見たから」



はにかむ。



カカシは彼から情報を聞き出さなければならない。

今、世間を騒がす大金置き去り事件。


それより、またこうして彼と再会できた事が嬉しい。



「お金様の事はテレビで見ました。・・・・老人ホームや児童相談所なんかに・・・みんな貧しい施設にお金を置いていく・・・・うちの中学も貧しいですし・・」


「図書室にやつが現れた・・・・どんな?」

「ごめんなさい・・・警察の方にもお話しましたけど、大金に気をとられて覚えていません。
お力になれなくてすみませんです・・・」
小さく彼は笑った。

カカシはその小さい笑顔だったのだが、おもわず見とれてしまった。

黒い髪を上で高くむすんで、瞳も黒くて大きい。


笑顔が綺麗な人だな・・・。









そしてその件がきっかけでカカシには可愛い友人が出来た。




イルカとは毎週末酒を呑んだり映画にもいった。


イルカという青年には不思議な魅力があった。



二人でいると心が安らいだ。


イルカは子供時代両親を亡くし猿飛校長に養子としてひきとられたそうだ。



彼といると心の中が暖かい。


何故だか上手く説明できないが、




カカシが今まで感じた事のない感覚だった。






その夜もカカシの部屋で二人はビールを呑んでいた。


一緒に大好きなDVDを流していた。


ほんのりイルカの頬は赤い。


楽しそうに自分のクラスの生徒の話をしていた。


「ねえ、イルカ先生、来週あたりまた中華街にラーメンしましょうよ」
「わあ〜〜素敵ですね」
素直に喜ぶ姿を見てカカシは思わず彼を抱きすくめてしまった。

イルカはじっとしている。

暖かい体温。



いい感じだ。


イルカがそっとすりぬけた。




「カカシさん、そういえばあの大金おきざり事件どうなりましたか?」

「あれね・・・まだ謎だらけで。・・・・でも貧しいから大金おいていく、時代劇の物まねみたいだよね・・・・」
「鼠小僧」

イルカは何故かうつむいた。


「世間はおもしろおかしく報道するけど、その金どんな金なんだろうね、黒い金だったとしたらやってることおかしいね」


「・・・・・・・・・・・・」

「イルカせんせ?」


イルカの顔がとても寂しそうだった。



俺は何か彼が気を悪くするような事を言ったのか?


「カカシさんもっとお酒ください」



イルカのピッチが早い。



イルカはゴクゴクのんでそのまま横になって寝てしまった。


カカシはそっと身体を抱き上げベットに寝かせた。


眠る睫が長い。



カカシはそっと彼の唇に指をのばした。


柔らかい、


(俺はこの人に恋しているようだ)




逢うたびに。


話すたびに。




カカシは彼が好きになっていた。

















夕刻の中学。

生徒たちも下校した。



イルカは図書室にそっとしのんだ。



黒い装束に着替える。

「校長先生・・」

後から猿飛校長が入ってくる。

「たのんだぞ」



俺は・・

イルカは思った。


カカシさんに合わす顔がない。



世間を騒がす「お金様」の正体が自分だなんて、





イルカは最後の置き去りに出かけた。









翌朝。


カカシの携帯が頭の上で鳴る。





「ん?〜〜〜イルカせんせ〜〜〜?あ〜〜〜〜〜〜」

相手は綱手だった。


”まだ寝てんのかボケ!”
”なんです?”
”現れ今度は経営難の保育園だ”



カカシは立ち上がった。


















イルカは校長の家に向かった。
古い一件屋だ。

子供の頃イルカはそこで育った。



「随分騒ぎが大きくなった」

猿飛は週刊誌を広げた。


「そろそろ・・・」


「うちにも来てほしいだの、ワイドショーでは面白おかしく話題にされて・・・・全く人間とは欲深いな」
「はい」


「もうやめよう・・・間違えだったようだ」

イルカはポロポロと涙をこぼした。

もともとイルカたちが使用したお金は悪質なサラ金業者などから盗んだ黒い銭だった。


真面目で正義感の強い彼には辛い事だった。



その涙は自分に対してのものなのか?

それとも心の中に自然と住みついている銀色の髪の彼を想うからなのか。











日々寒さがつのる。



寒い土曜日の朝。




カカシは友達のガイから借りた車を走らせた。


イルカのアパートをめざす。

この日はドライブに彼を誘った。



今日こそ彼に自分の気持ちを伝えたかった。

ストレートにスキですと伝えたい。




カカシ助手席に花をおいていた。


(どんな顔するかな?)




カカシはチャイムを鳴らした。



しかし反応がない。




留守なの?


カカシは不信に思い携帯を鳴らした。


”この電話は現在使用されておりません”



そのアナウに全身が凍りつい。




カカシは部屋のノブをひねった。




ドアに鍵はかかっていなかった。





「イルカ先生!」




綺麗に整頓された部屋。



リビングコタツの上に一枚の紙。





カカシさん。


俺はあなたがおもうような人間ではありません。


もう会えません。


お昼に成田をたちます。



今まで有難う。


大好きでした。



イルカ。





「イルカ!!!」



カカシは部屋を飛び出した。






現在は午前9時、まだ止められる。


(どうして?)




カカシは夢中で車を飛ばした。




成田空港へむかって。






果たしイルカの身に何が起きたのだろう?


カカシには想像がつかなかった。

ただ、
このまま別れたくない。


せめて言わせてよ。
スキだって、
カカシ高速をとばした。


”バシッ

気がつくと自来屋はハリセンではたかれていた。

「なにをするんじゃあああ〜〜」



背後に怖い顔したカカシとイルカが立っている。



「自来也様がカカイル書くって言うから俺は期待していたんです」
「酷いです!!」

今度はイルカがはたいた。

「ラブシーンもなければ、何これこれじゃイルカ先生悪者じゃない!!」


カカシは書きかけの原稿を取り上げた。




「カカシ先生自来也先生にシッレイですよ」

にっこりと笑いながらイルカは自来也の鼻をつまんだ
「ふぐううう〜〜」




「別れたりしませんよね」


「書き直ししてもらいましょうか!!」

”バチ”
”バチ”
カカシの手からエレキがはしる。






「わ、わかった〜〜ラブラブのうっふうう〜んあっはああ〜〜んにするから」




怖い二人にはさからえず、




人気作家自来也様は原稿を書き直したそうだ。





やっぱりハッピーエンドが一番!!

END
071115






2008年12月08日

ロマンス 前編

海は男のロマンだ。
そんな事、誰かが言っていた。

潮風に吹かれ彼はロングコートの襟をたてる。

気がつくとポーズをとっていた、

その姿は昔、昔に流行した日活映画の主人公のようだった。


空をカモメが飛ぶ。

「さむい・・・・」

心も身体も暖めてくれる人が欲しい。





彼は周囲を見た。

あちこちにべたべたとカップルが楽しそうに手を繋いで歩いている。


ここは、「横浜」「山下公園」
恋人たちのメッカ。







彼は昨夜、女から別れを告げられた。


女とは勝手な生き物だ。


「さて、ラーメンいくか」


ここまで来たんだし、

ラーメンしかないでしょう〜



彼の名ははたけカカシ。

現在都内の小さな新聞社に勤務する記者である。


白銀の髪をなびかせた貴公子のような容姿の持ち主なのだが、

何故か何時も最後はあっさりふられてしまう。











その頃。

中華街では、
四人の若者が肉まんをほおばっていた。


TVの撮影である。

その中にもう一人の主人公がいた。

「さあ、この肉まんのお店の名前をどうぞ!」


”ぴんぽ〜ん”


イルカはベルを叩いた。

「はい、うみのイルカさん!」
「肉肉亭の豚豚饅頭!!」
「正解!!」

”わああ〜〜〜〜”

歓声があがった。


黒い大きな瞳はとても楽しそうだった。



イルカはこのTVの「中華街選手権」の優勝を狙っていた。


本業は中学の教師。


「うみのさん、チャンピオンと並びました・・・・前回チャンピオン王宅さんがそのまま逃げ切るか、それとも中学の先生うみのさんが新たな王者となるのか!!」


”ごおおおおお〜〜〜”

イルカは燃えた。





そして、燃え尽きた。





”ちりちりちり。


負けた!!!!



後、一歩で

「ふう〜〜〜」

肩を落とし、


馴染みの中華街のはずれにある店に向かう。

「一楽園」

地元の人くらいしか知られていない名店。




特にラーメンは素晴らしい!!




イルカはお休みにここへラーメンを食べに来るのが楽しみだった。



「よお〜イルカ先生・・・どうしたい、うかねえ顔して」

店の主のテウチがイルカを見て白い歯をだした。


「テウチさん、ラーメン。じゃんじゃん持ってきて」


「え?あんたもかい?・・・・・今日はやけに?」

テウチは店内をチラリと見た。



イルカも見た。



白銀の髪の美青年がラーメンをやけ食いしていた。


カカシである。

”ずるずるずるずる”




”ずるずるずるうるう”


二人の青年は無言でラーメンをすする。


フトカカシは顔をあげた。




カカシの後から入って来た客だ。


黒い髪を元気よくたばね。

愛嬌のある感じの青年だ。

瞳が大きくてぱっちりしている。





彼は夢中でラーメンをすする。

「ねえ〜あんたもふられたの?」

「俺は3杯目です?」
「え?」

ニッコリ。


笑った顔はチャーミング。



そういえば主がイルカ先生って呼んでいたな・・。

カカシはスープを呑みながら考える。


(やっぱり女にフラレタんだ)


「お、俺は負けません!!」
「は?」


黒髪の青年は勘違いしていた。


勝負をしかけられたと思ったのだ。


ハイペースでラーメンをすすった。


「ちょっとお〜〜あんた〜〜無茶だ!!」



カカシは焦った。





「大丈夫?」



道ばたで腹を押さえしゃがむ青年。


カカシは手持ちの胃腸薬を彼に飲ませた。


「無茶するからです」

「有難うございます」


カカシははっと思い出したよう腕時計を見た。


「ご免、俺まだこれからお仕事」

そうだ、社に戻り記事を作らねばならなかった。


あの黒髪の青年の事が気になるが、


カカシは関内駅に走った。







数日後。



午前11時。

カカシはのんびり出社した。


「なにやってんだ、はたけ!もう昼だぞ!!」

彼の職場は小さな新聞社。

デスクの綱手姫が怖い顔で立ちふさがる。

まるでゴジラだ。


「いゃああ〜デスク今日も一段とお美しい」

”ずどん!”


綱手はカカシの机を手でたたいた。

ミシミシと机にひびが入る。



「早速だが、今、世間を騒がしている現代版鼠小僧「お金様」がまた現れた。・・・今度は向島の中学校だ」


そう、

今話題のお金様。


大金おきざり事件だ。



「了解取材ですね」


色々と謎の多い事件だ。




カカシは日頃は都会に住む平凡な人々を記事にしていた。


「おまえ、さぼんなよ」

「はい、はい」

「はい、は一回でいいい!!!」

”ゴロゴロ”




デスクの雷が落ちる。




後編へ。












2008年12月03日

白い恋人

気がつくと俺は犬の姿をしていた。


カカシ先生の部屋。


俺は・・夕べカカシ先生と飲み屋で二人であびるほど呑んで、

その後・・・・?




俺はカカシ先生と・・・

”ううううっ”

酔った勢いで寝てしまった!!



「むにゅむにゅ〜イルカ先生〜〜」


犬の姿の俺の隣でカカシ先生は寝言を言う。


とに角、早くもとの姿に戻ろう。


イルカはベットを飛び降りた。

「ハァハァ」

ホンモノの犬らしく白い犬は舌をだした。


「なに、この犬?」

”はっ!”

カカシが目をさました。


「ねえ〜イルカ先生どこ?」

カカシ先生は俺の事を探した。

「おい、犬イルカ先生見なかった?」

「くぉ〜〜〜」(俺です〜〜)

「あれ?」
カカシ先生は犬の俺を見て首をかしげた。


「この犬鼻に傷が・・・・・」
(どうやら気がついたみたい)









カカシにつれられて俺は五代目のところへ行った。

「ということは、この白い犬がイルカなのか?」
「ええ、鼻に傷、頭にしっぽですし、なにより俺と同じベットに寝ていたし」
「えっ?お、同じベットってえ〜」

驚きながらも何故か五代目の瞳は輝く。





俺はしっぽをふって任務に出るカカシ先生を見送った。



〜〜ぐうううう〜〜〜

気がつくと俺は空腹だった。


五代目におねだりのちょうだい、ちょうだいをしてみせる。
「シズネ〜ドックフード買って来い!」
「はあい」


(ドックフード?)


「ワオワオワオ」(俺は米の飯がくいたいです)

必死に訴えるが犬の言葉なので理解してもらえない。









やがてシズネがカラカラのドックフードを皿に出して持ってきた。

「あ、そいいえばイルカ先生今日授業が」
「アオアオ〜」(出ます出ます)









アカデミーの生徒たちは皆呆気にとられた。

だって白い犬が教壇にたっているなんて、

まるでどこぞのCMと同じだ!



結局授業は自習となった。


「ウウ〜〜」


イルカ犬はトコトコ校庭に出た。


ぼんやりとカカシの事を想う。



これから二人でいいところまでいったというのに、
こんな犬の姿では、パックンの弟子になるしかなさそうだ。



こんなんじゃあカカシ先生に愛想つかされる。



悲しくて四足で地面をふみふみした。



「イルカせんせ〜〜」

「く〜〜〜」

顔をあげるとカカシ先生が駆けてくる。


「イルカ先生お弁当。・・・酷いねドックフード食べさせられたなんて、」

「くうううう〜〜」(カカシせんせい〜〜)


イルカはカカシの差し入れしてくれたお握りを食べた。

涙が出そうだった。


「ほら、お茶ものんで 」
「くう〜〜ん、くぅ〜〜〜ん」(スキスキカカシ)

イルカはついホンネを口走った。

「えっ?スキスキって???」
「アン!」(はっ!)

カカシは笑った。

「イルカ先生俺は忍犬つかい、犬が何話ているかわかるんです」


”ぺろぺろ”




イルカ犬は嬉しくてカカシの顔を舐めた。


何かホンモノの犬みたいだ。




食後、二人でベンチに腰かけた。


第三者からみるとカカシと犬が座っているようみえる。


「あっ、いたいた〜カカシ先生〜イルカ先生〜〜」

サクラの声だ。


「くうう〜」(サクラ〜)


「なに?」
「イルカ先生が元に戻れるって、早く!」




どうやら、一流の医療忍者の五代目が何か方法を見つけたのだ。








晴れてイルカは元どうりに戻った。

「やっぱり人間の貴方は素敵です」
「カカシ先生」

二人は見つめあう。


「ゴホン」

五代目が咳払いした。


「有難うございます」

「なんでも、他里で流行している犬風邪らしい」

「犬風邪?」
「ああ〜感染するらしい」



そんなものあるんだ。


世の中深いね。







「イルカ先生〜これでゆっくり」




イルカは再びカカシのお部屋に招かれていた。



「お弁当おいしかったです」
「先生がドックフードなんて俺涙でそうでした」

”ははは”





白い犬になった俺。


白い犬になってもカカシ先生は俺のことを・・・。



そう思うと胸が熱くなった。




”ピンポ〜〜ン”


その時、チャイムが鳴った。



「宅配かな?ポマゾンにDVD頼んでましたし」



カカシはいいところで、中断して立ち上がった。

イルカも立った。

どんなDVDだろう?


玄関には白い犬。

「ウオオオオオ〜」(せんぱあああい!)
「テンゾー!?」


「えっヤマトさん!?」

そういえば犬のくせにヘッドギア。


「えっ?」
「オオオオオオオ ̄〜ワン!」

ヤマト犬は訴えた。


「イルカ先生、大変です・・・・里中の人が全部犬に・・・・・」

END

0806010.


バイリンガルみたいです。


2008年11月27日

フリコメ、フリコメ!仔カカイル

コトコト。

うみのさんはお料理をしていました。

「あれ?困ったお砂糖が足りない・・・・おお〜い、イルカ〜〜」


お部屋でお絵かきをしているイルカちやんを呼ぶ。

「とうちゃんなあに?」
にこにこ。

イルカは今年4歳。
明るい良い子だった。

「ねえ、スーパーに行ってお砂糖買って来てくれるかな?もう一人でいける?」
「はい、とうちゃん」

「有難う」


そう言ってお財布を渡したその時、

うみのの頭の中で、


”ルルルルル(電話のコール音)

”もしもし、うみのです”

”オタクの可愛い坊やあずかっているよ・・・里外に売られたくなかったら、うみのさん、
今すぐ木ノは銀行から3000万両振り込んでくれる?”

”えええ〜〜つ!?3000万両・・・そんな大金うちにはありません!”

”そうか、だったら、へっへっへっ、うみのさん、あんたの肉体で払ってもらおう”
”いやあああ〜〜”

・・・・・って振り込め詐欺じゃないか!


「どうしたのとうちゃん?」

「やっぱりまだ一人でお使いは早いな」
「だいじょうぶ。カカチにつよくなるわざおしえてもらったの」

イルカは胸をはった。

イルカの大好きなカカシ君は里一番の色男、はたけサクモの一人息子。
そしてサクモはうみのと現在お付き合い中の関係だ。

カカシ君は5歳だが、とても利口で強い。

そんなカカシ君がイルカは大好きだった。



「そうか、・・・・イルカもしもの時の為にこれを持っておいき。・・・・それから、知らない人に声をかけられたら逃げること。それから、知っている人も信じてはいけないよ」


もはや知った人すら信じられない世の中だ。




うみのは携帯用の電流の流れるガンをイルカに持たせた。
「イルカもし捕まりそうになったら、これでやっつけて」
「はい、とうちゃん!」






ちょこちょこ。

イルカちゃんの御家からスーパーまでは歩いて10分。

イルカは途中公園に入った。

(ぶらんこ、あいてる)


その時、


「ぼうや〜可愛いねえ〜キャラメルあげるからおいで」

帽子にサングラスの知らないおじさんだ。

イルカは走って逃げた。







やっとスーパーでお砂糖を買った。


そんな帰り道。

反対方向からよく知った顔の人物がやってきた。

銀色の綺麗な髪のイルカのボーイフレンドカカシの父親のサクモだ。
「イルカちゃん、一人?今日はおとうさんは?」

「サクモおじちゃん!!」

イルカは嬉しかったが
その時、父の言葉を思い出した。
しっているひと、こわい”

そんなことはサクモは知らない。
「そうだ、これから一緒にカカシのところへ行こう」

思わずサクモは手をのばした。

”びりびりびりびり!”

イルカは父の言うことを守りガンを発射した。


”バタッ”

倒れてるサクモを放置してイルカは走った。













夕食。

今夜は肉じゃがだ。

「とうちゃん、おいしい」
「そう、よかった一杯食べるんだぞ・・・・・お前ももう一人でお使いに行けるんだ、偉いぞイルカ」

うみのは誇らしかった。

「あっ、サクモおじちゃん!」

イルカは思い出した。

あの後どうしたのだろう。
「どうしたのサクモさんが?」

うみのが首をかしげる。
イルカは父には言えなかった。









修行の後、カカシはエリート家庭教師のユビス先生と家に向かう途中、


道端にサクモを発見した。

何故だか寝ている。
「とうさん?」

もう〜〜しようがないなあ〜世話のやける父さんだな。


カカシは父を回収して帰ったそうだ。



END

わああ〜







2008年11月20日

「午前2時の彼」


深いブルーの海が見える。

波のざわめきがさわさわと聞こえてくる。

白い砂浜は何処までも続いていた。

自分はあてもなくそこを歩いていた。

”またあの夢だ”


夢を見ながら、自分でそう思う。



そして、あの青年を見つける。


黒い髪に黒い大きな明るい瞳の青年。

「こんにちは」
にっこりと俺を見て笑う。

とても親しげに・・。


”あんたは誰なんだ?”

そう言おうとする。

「さあ、この前の続きをしましょう」

俺の手を楽しそうにひいていく。

高くむすんだ髪がゆれている。


「あんたは誰?どうして俺の夢にでてくる?」





気がつくとベットの上。

枕元の時計を見ると、

時刻は午前2時。







彼はベットから身体を起した。

長身に銀色に輝く美しい髪。

彼の名は、はたけカカシ17歳の夏。











「今日はまた随分と眠そうですね、先輩」

不機嫌な顔で暗部の待合室にいるカカシに後輩のテンゾウが声をかけた。
缶コーヒーをさしだす。

「ん・・・ばつにい・・・」

「ひょっとして、恋の悩みとか?」
おどけてテンゾウが言った。

「どうしてそう思う?」

暗部の後輩はへへっと楽しそうに笑った。
「ボク、先輩のことなら何でもわかります!!」

カカシはひいた。



しかし、昨夜の夢、いや、最近頻繁にあの海の夢を見る。
あの夢に出てくる黒髪の青年が気になる。


俺どこか変なのか?







カカシはその夜テンゾウと飯屋にいた。

「ゆめ・・ですか・・・?」

「そう、ただの夢だけど」

「何かの術にかかっているとか?」
「それはないね」

カカシはタバコをふかした、
たまに気分転換に悪ぶってみせる。





「先輩、ボクの知り合いでもの凄く当たる占い師がいるんです。よかったら紹介します」

”占い?”

”あはは、バカバカしい”

でも、内心気になる。




テンゾウに占い師の住所と地図を描いてもらった。

今夜の飯はカカシのおごりになった。










また、夜が来た。

ベットにもぐりこみながらも、

頭の隅で考えるのは、

あの黒髪の青年が今夜は何処に俺を誘うのか?


不可解だが、ほんの少し興味もわいてきた。


それに、黒髪で大きな瞳の青年はカカシにとって好ましいタイプだった。

優しく微笑む顔はとても眩しい。






”今夜は緑の公園に行きましょう”

青い海からカカシは手をひかれ緑の美しい公園に移動していた。


何時の間にかカカシは彼とピクニックをしていた。

広げられる色とりどりの料理はいいにおいがした。

”夢だろう?”

あまりにリアルすぎる。

”あんた、誰なんだ?”

問いかけようにも声が出ない。



優しい微笑みを浮かべ彼は皿に料理を並べている。
(これは現実ではないんだ)

すべては夢で、

また時がたてば彼は消えてしまう。



カカシは手をのばし、青年の手をとった。

彼はうっとりしたような、まるでカカシに気があるような眼差しで見つめてきた。

カカシはその身体を引き寄せようとすると、

すうっと彼はカカシの前から姿を消した。




そしてカカシは目覚めた。


時刻は午前2時。







木ノ葉の中心から北に向かってカカシは田舎道を歩いていた。


テンゾウの地図によるとこの坂道を登りきった古い屋敷に占い師は住んでいるそうだ。


地図は汚くて解読するのに苦労した。

やっとのことでカカシは目的地に到着した。

忙しい任務の間やっと時間がとれた。


あの青年について何かわかるかもしれない。

でも占いなんて、怪しいよな。


そう思いながら錆びた門をくぐる。




ここは何処の里なのだろう?

見たことのない異文化の建築物である。

白髪の老婆がそこに立っていた。

顔には多くの皺があり、100歳は越えているのかもしれない。


「よく来たなカカシ。まあ入るがいい」
声だけは若く美しい。

「あんた占い師?俺カカシ」
「そうじや、そんなもんじゃ」

にんまりと笑う。





床には星型に近い図形が描かれていた。

灯りはランプだけだ。


昼間だというのに部屋は暗い。


ほんのりと香の匂い。



そして老婆の前のテーブルには大きな透明の球。

これは水晶というのだそうだ。



カカシは勧められるまま椅子に腰かけた。

木製の椅子は傾いていた。

「で、何を知りたい?・・・疑り深い瞳をしている」



どうやら思い切り顔に出ていたようだ。



カカシは気持ちを切り替えた。


そしてあの夢の話をした。

幾度となく現れる不思議な黒髪の青年。




老婆は水晶に手をかざした。

するとそこに光が集まってくるのがカカシにも見えた。

忍術とはまた別のものだ。


「ああ〜綺麗な海が見えるね・・・・・確かにその若者がお前さんを待っている・・・・これははるか昔のことじゃ・・」
「むかし・・・?」

「今の現世の何代も何代もはるか以前の世界のことじゃよ」

よく、意味が理解できない。


「カカシ、人間は幾度となく生まれかわり、死にかわるものだ・・・」

「おれの・・昔?」

「そしてこの夢はこれからのお前の未来にもつながっている・・・いずれ時が来る、その時を楽しみにしているんじゃな・・・この若者は自分の事を忘れないでくれと言っている」

「わすれる?」





何となく上手く丸めこまれたようだ。

静かに占い師は言う。


「カカシ。お前はこの青年をどう感じる?」
「俺のことを・・まるでよく知っているみたいで・・・凄く自然で・・・・」

カカシは言葉を飲んだ。



(気になるんだ、)
(まるで恋しているみたいに)



「もうあの夢は見ないだろう・・」





そう言う言葉どうりその晩からあの不思議な夢は見なくなった。





午前2時の彼はばったり夢に見なくなった。














そして数年の月日が流れた。


カカシは大人になり暗部のポジションからはずれた。

それまで何度となく危険な橋を渡り成長していった。


毎日が忙しく、

何時しかあの夢の事など忘れていた。


しかし、これは何だろう?

自分と同じベットで眠る黒髪の青年。


恋人という存在。




隣で眠る彼の髪をカカシはそっとなでた。


それは、あの時の午前2時の彼。



今、俺はあの時の夢の続きをみているのかも知れない・・・。



070601.















2008年11月16日

秋風の中で

秋の涼しい風が吹く街。

カカシは待ち合わせの場所に走った。


今夜はイルカ先生と二人でお酒を呑む。

なんでも、一おしの居酒屋を開拓したというからとても楽しみだった。


彼とこんなふうにお酒を呑んだり出来るなんて夢のようだ。




今日はイルカは非番。


イルカは真っ赤なロングテーシャツにブルージーンズ姿。

「すみません、遅くなって・・・」

「いいえ、俺も今来たばかりです」
(私服のイルカもいい!!)






カカシはイルカに案内され街のはずれの隠れ家のような店に入った。



その店はすべてが個室となっていてゆったりとくつろげる。

和の空間が、匠によって創作されたものなのだろう。


「素敵なところですね」

「ええ・・・お料理も絶品です」


イルカはふふふっと笑った。

何故だか艶のある笑い方だった。




二人は靴を脱ぎ、お膳をはさんで座った。

(ぎょっ!!)

カカシは目を疑った。




イルカのはいているジーンズは今、流行のまたがみの浅いものだった。

イルカがかがんだ瞬間にぺろりと腰とお尻が見えた。

(半けつ〜〜〜イルカの半けえ〜〜つう〜〜)

(半けついるか〜〜〜〜〜)

”だらだらだら”


カカシの額から大量の汗が出た。




「どうかしましたか、カカシ先生?」

イルカは罪のない無垢な微笑みをうかべている。


カカシはイルカの手をとった。
「今すぐ、ホテルにいきましょう!!」

(はぁはぁはぁ)







男同士の行為は受けてにはきついものだ。


ベットにイルカが横たわっている。


(うまくいったな)






カカシと交際して3ヶ月。

今だにキスすらしてこない。


上手く挑発できないものか。



イルカは考えていた。













数日後。


二人は再び夜の街へ。


今夜はカカシがジーンズ姿だった。


(まさか?)

イルカは嫌な予感がした。



そして先日の店でかがんだカカシの後姿は、
浅いジーンズからは腰とそして黒のパンツが露出していた。

「どうです?むらむらきませんか?」





どうやら、カカシは半けつの魅力にとりつかれたようだ。


黒いパンツは刺激的だ。






涼しい秋風の中二人は手をつないでホテルにむかった。


080725.

毎度しょ〜〜もない馬鹿話で申し訳ありません。










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