STORY

2009年03月29日

ジイサンズ ネタメモより。
そろそろ寒くて厳しい冬がくる。
「寒いなあ〜イルカじいさんよ」
「はい。お腹もすきました。カカシじいさん」

とある山奥に二人のお爺さんが暮らしていました。
二人は若い頃禁断の恋におちて駆け落ちしてこの山奥にたどりつきました。

爺さんたちはとても貧しく、食べるものももうままならない生活をしていました。
「そうだ、里へ行こう!そして金儲けだ!!」
カカシ爺さんはパンと手をたたきました。

ノコノコ。

二人は山をおりました。

カカシ爺さんは風呂やに行き、盗撮とのぞきを、

イルカ爺さんはラーメン屋に片っ端から入り無銭飲食をはたらきました。

二人は当然のことに御用になりました。

「もう〜悪いことはするんじゃないぜ」
楊枝をくわえた警備隊の男がいった。
「はい、すみません」
二人は釈放されました。


このまま山に帰ってもお金もなければ、冬を越す食料もありません。
警備隊の男は二人に「いなり寿司」をくれました。
二人は夢中でそれを口につめこみました。

そしてトボトボと歩いている二人のそばを大きな川が流れていました。
「イルカ、いっそこのまま二人でここに飛び込んで死んでしまおうか」
「そうですね。年金すらもらえなくなったこんな世の中はもう嫌です」
二人は抱き合って涙を流しました。

その時、

”どんぶりこ”
”どんぶりこ”
川には巨大な季節はずれのスイカが流れてきました。
「わあ〜おいしそう〜」
イルカ爺さんの瞳が輝きました。
”ヨイシヨ”
”ヨイシヨ”
二人はそれを大切に家に持ち帰りました。

「この中には恐らく人間の赤ん坊がはいっているはず」
その子供を売れば。

カカシ爺さんも悪だのう。
手には包丁。

「はやく食べましょう!」
”スパッ”
スイカを二つに割ると中には玉手箱。
「へ?」
以外な展開になりました。
二人は好奇心に負けて箱の蓋を開けてしまいました。

〜もくもくもく〜〜
気がつくとそこには白銀の髪の麗しい青年と黒髪で大きな瞳の愛らしい青年が、
それは若き頃の二人の姿です。

二人はお互いを見つめうっとりとしました。

「カカシさん」
「イルカ」

手を取り合って二人は喜んだ。

「さあ、里にいきましょう、そこでお仕事をさがしてもう一度やりなおしましょう!」
「ええ!」

「でも・・・その前に一回お願いします」
「もう〜あんたも好きねえ〜〜」

”うっふううん”







二人が里の街中を歩いていると自然と若い女性が集まってきました。

美しく素敵な男の二人組み、
「もし、あんたがた」

白髪で大柄な着物姿の男が二人に声をかけてきました。

二人はレストランに連れていかれました。
「わしゃあ〜木ノ葉プロの社長の自来屋、どうじやイケテルあんたたち二人なら」

何と二人は俳優としてデビューすることにきまりました。




そして現在は里を誇るイケメン俳優として活躍しています。

それでも二人はいつまでもラブラブに暮らしました。

おしまい。
0811頃。




2009年03月20日

ショートミステリー後編


嵐の夜。
風がうなる。
窓がガタガタと不気味な音をたてる。

予報では明日の朝まで里は春の嵐。
イルカはカーテンを閉めて布団の中にもぐった。

小さな頃には父や母が側にいたから、それほど風の音が怖いとは思わなかった。

そうだ、あの時から・・・。

普段は心の中に封印してしまった、あの数年前の「九尾事件はイルカの大切な父や母の命さえ奪ってしまった。

里にはあの頃自分と同じよう家族を失った人はたくさんいた。


両親をなくし、他に身寄りのいないイルカは一人になってしまった。

一人で過ごす夜は長く不安だった。

ぼんやりと子供時代のことをイルカは思い出していた。
失ってしまったものはもう二度と戻らない。
どんなに悲しんでも、どうにもならないから。

イルカは明るく元気でいることを誓った。それが心から自分を慈しんでくれた父と母、にせめて心配をかけないよう、それが残された彼に出来ることだった。

ガタガタガタ。
大人になってもやはり風の音は好きになれない。

イルカは寝そびれて起き上がった。

冷蔵庫から缶のビールを取り出して、あける。

そういえば、先日カカシが不思議なお店で買ったという黒いオニキスのペンダントのことを思い出した。
首からかけてみると、ほんのり胸のあたりから緊張感が和らいだ。
(なんだろう?まるでカカシ先生といるみたい)
俺も明日あの子供のいる店に行ってみよう。

イルカの胸のオニキスがキラキラと輝いた。
「え?」
それはまるで生きているかのように、明るく、明るく輝いている。

ビールを呑んで、イルカは横になった。
安らかな眠りに彼はおちた。





嵐の翌日。
空は青く澄み渡って綺麗だった。
この日はイルカは非番。
アパートの近所では道端に木の葉っぱやゴミが散らばっていた。
嵐の残していった跡
人々が集まってそれを掃除していた。
イルカもその仲間に加わった。




ひと仕事終えて、イルカは商店街にでた。
カカシがいったというあの店を探して、

確か、話では本屋さんの辺りからそこへ・・・・。

「こっちよ」
「こっち」

イルカは顔を上げた。
誰かが呼んでいる声を聞いたのだ。

顔をあけて辺りを見回したが、
人らしいものはいない。
ただ、そこは見たことのない路地。
そして人気のない商店。
一軒の店に「ようこそ」という看板がさがる。
(ここだ!)

イルカは唾を飲んだ。

そして思い切って店の戸を開いた。



不思議なイルカのネックレスに導かれただろうか。

天然石の並ぶお店。
そこにはカカシからきいた、小さな黒髪の子供はいなかった。
その代わりに一匹の白いネコが座ってた。
「どなたか、いらっしやいませんかあ?」
イルカは店の奥に声をかけた。
「いらっしやい。イルカさん」
「え?」
ネコがしやべった。
イルカの名前を呼んだ。
忍犬が話すのだからネコも話をするのだろう。
「お店の品物をみせてください」
「どうぞ、好きなだけ」
ネコはぺろりと手を舐めた。


イルカはじっくりと大きい水晶や色とりどりのアクセサリーを眺めた。
その中にひときはイルカの目をひいたものがあった。
緑色の石のネックレス。
石は楕円形で、首から紐でかけるものだ。
緑の石は優しい光をはなつ。
(カカシ先生につけてもらいたい)
イルカは手に取った。
「これください」
イルカはカカシと同様にネコに値段を尋ねた。
「お金はいならいニャン。その代わりこのノートにあんたの好きな言葉をちょうだい」
イルカはペンを握った。
「家族」

ノートには何故かその言葉をかいた。

「このネックレスをつけるのが、あんたの家族だね」








カカシとイルカは共に全く同じ体験をしたのだ。

今ではその緑の石はカカシが身につけている。
カカシも嬉しそうだった。


ただ、その後はあの天然石の不思議な店は二人が探してもさがしても
二度とたどりつけなかった。


ある日偶然立ち入ってしまった店で何か手にしていることはありませんか?


人は知らず知らずにレールの上に乗せられて動かされている。
何かに導かれるように。
ただその事に気がついていないだけかもしれません。

春の日のカカシとイルカの二人の小さなミステリー。

090310.




2009年03月13日

ショートミステリー前編

何時もと同じ何時もの商店街を歩いていたはずなのに・・・。

気がつくと見たことのない路地裏に迷いこんでいた。
(幻術?)
だろうか?

いや、違う。

人気のない路地に一軒の店。
看板に「ようこそ」
どうやら営業しているらしい。
カカシはその重い戸を開けた。

店の中には天然石が並ぶ。
「いらっしやい」
小さな男の子が出てきた。
黒々とした髪に明るい黒い瞳は明るく、少しカカシの恋人に似ていた。
(6歳くらいかな?)

カカシは店の中を歩きまわった。
黒く丸い石のネックレス。
手に取るとそれはキラキラと輝く。
「これいくら?」
「おかねいらないよ」
子供が笑った。
「え?だってそれじゃあだめじゃないの?」
「いいんだ。そのかわりおにいちゃん、このノートに何かかいて」
カカシはお札を一枚子供に握らせた。
お金を払わないということほど(ただ)怖いものはないから。



子供はノートを出してきた。
「これにすきなことかくの」
「うん」

カカシは考えた真っ先にイルカの顔が浮かぶが「イルカ先生」なんて恥ずかしくて書けない。
少し考えてペンで子供にもわかる大きな文字でかいた。
「ありがとう」
とだけ書いた。
「ありがとう。このネツクレスをあげるひとにだね」
キラキラと子供の瞳が光る。


何だか狐に化かされたみたいだ。

カカシは店を後にでた。
(あれ?)

そこは何時もの商店街、カカシのよく通う本屋。

カカシは振り返るともうそこにあの店はなかった。

(幻術?いや、現実だ)

カカシの手にネックレスが残った。








「これを俺に?・・・・いいんですか?」

「ええ、だってあなたにしてほしくて買ったから」
不思議な話を聞かされてイルカが受け取った物は黒いオニキス。

丸くて可愛い。

イルカは首からかけてみた。
イルカの黒い髪と瞳とそれはマッチしていた。


「ありがとう」
イルカは微笑んだ。

”このネックレスをあげるひとにありがとう”
あの子供の言葉がよみがえる。

もう二度と逢うことはないあの子にカカシも「ありがとう」とつぶやいた。


春の夕方の不思議なできごと。

★後編へ。


2009年03月06日

マルチビタミン ネタメモより。

全身が重くミシミシと痛い。
俺も何時までも若くないな。

カカシはベットから起き上がった。
昨夜夜半に帰宅してそのまま着替えもせずに寝てしまった。

多忙すぎる日々に追われ、近頃では恋人のイルカの顔すら見れていない。
何とかひと目でも彼に会いたい。

時計を見ると午前10時すぎ、
「しまった、五代目に」
”しめられる”
カカシはとるものもとらず部屋を飛び出した。


「カカシ、お前少し痩せただろう?」
「え?」
「それにあまり顔色すぐれないが、何処か悪いのか?」
「栄養不足です」
カカシは笑った。
「飯くらいきちんととれ」
「心の栄養が不足しているんです」
そうさ、あの人に会えないからだ。

「もう〜全くねえ〜」
ちょっとだけだぞ。




綱手からもらった半日という時間。

カカシは受付にかけつけた。

彼の愛しい恋人はにこにこと受付のお仕事中。
カカシを見ると立ち上がった。
そしておおきく瞳を見開いた。
「さあ、行きましょう、五代目の許可をもらいました」
手をひっぱり、周囲が唖然とする中、イルカを連れ出した。


会いたくて、会いたくて、どうしょうもなかったカカシ先生。
でもそれは自分の我がままだと言い聞かせじっと耐えてきた。


イルカは夢を見ているようだった。



カカシはファミレスに入った。
「とりあえず、ガンガン、御馳走を食べましょう」
「はい!」

カカシはメニューを片っ端から注文した。
イルカに会ったら色々話たいことがあったはずなのに、いざ目の前にすると言葉がでない。
「こんなにご飯美味しかったの久しぶりです・・・・」
「おかわりどうぞ」
「はい、でももう苦しいです〜」
イルカはお腹をさすった。
「来月に入ったら少し落ち着くとおもいます」
イルカは嬉しそうに微笑んだ。
その微笑こそ最高の心の栄養だ。
自然と身体の痛みすら薄らいでいく。
(あなたはまるでマルチビタミン)

「ね、そしたらまた二人で買物したり一日中ごろごろしたりしたいです」
その言葉を大切にイルカは胸におさめた。





二人はその日約4時間ほどゆっくりとそこで過ごしそしてわかれた。



どんな最高級の料理人が作る食事よりも、
心の栄養に勝るものはない。




多忙な日々、二人は再び会える日を励みに今日も走る。

090102.
★今年に入って初めての話では、
予定と少しUPするものを変更しました。


2009年02月28日

恋の奴隷

ここ2,3日気温が少しあがってきた。
どこからかほんのり甘い匂いのたたよう一年で一番優しい季節がやってきた。
”もう3月ですねえ〜”
朝のTVではそんな春先の話題だった。
番組では3月3日の「ひな祭り」の特集をくんでいた。
まあ〜男の俺にはあんまり関係ないけどね〜。
カカシはコーヒーをいれてばんやりとTVを観ていた。
艶やかに美しい衣装をまとうお雛様。
「やっぱり桜餅ですよねえ〜みてくださいこのふっくらとした輝き」
アナウンサーがピンク色の美しい菓子を紹介していた。
(へえ〜イルカ先生に買ってあげようかな)
それから雛あられと白酒と・・
何故だかカカシの頭の中に楽しいひな祭り計画がうかんだ。
カカシは考えた。
イルカ先生がお雛様だったら・・・
きっと着物が似合い可愛いのに。
と、恋の病とは恐ろしい。
(着物は脱がせるの楽しいし)
ふふふ。
白酒で酔わせて「お雛様プレイ」
結局不順なことで頭がいっぱいになる。

春先になると危ない人間が世間では増えるという。


その晩、カカシはスーパーで一式のお雛様セットを買占めた。
(忍服姿です)
スーパーのレジのおばさんはじろじろカカシを見たがカカシは気にしていないようだった。

両手にかかえイルカのアパートを訪ねる。

しかし、そこには予想外の先客がいた。
特別上忍のゲンマとライドウ。
三人は某ファーストフード店のオマケがつくハンバーガーセットを食べていた。
「お邪魔してます、カカシさん」
「アア〜本当に邪魔だな」
ゲンマにむかってしらっとカカシは言う。
「カカシ先生の分も買っておきました」
イルカがバーガーのセットをお膳にならべた。
「イルカ先生これ」
カカシは買物してきたものをイルカに差し出した。
「え?すご〜いこれ、雛あられに菱餅にお酒とわあ〜桜餅★あれ?このタコ糸と蝋燭は何ですか?」
一部いかがわしいものも入っていた。
”な〜に?”
ゲンマとライドウも興味を持ってのぞきこむ。
「カカシさん女の祭りですよ、ひな祭りは何考えてんですか?」
ゲンマがふっと笑った。
「ま、細かいことはいいじゃない」
カカシはハンバーガーをぱくついた。
(この2人を早くおい帰さないとな)
邪魔なゲンマとライドウに早く帰っていただく方法を考える。
そうだ、こんな2人がいたら「ワクワクお雛様プレイ」ンなど出来ない。
イルカと二人になりたい。
「カカシ先生、折角ですから皆さんでお祝いしましょう」
イルカは優しい。
「桜餅うまそう〜」
ゲンマとライドウは嬉しそうに目を輝かせた。

(もうう〜)

そして、
世間一般ではありえない大人の男4人の「ひな祭り」が始まった。

白酒で乾杯。

甘酒と違い白酒は大人むけのほんものの酒なのだ。
イルカも甘い桜餅をぺろぺろ食べていた。
アルコールがはいってほんのり気持ちいい。
「やっぱりライドウはお雛様だよな」
つい、ぽろりとゲンマが口走った。
「お、おい〜〜」
言われたライドウのほうは恥ずかしい台詞に汗をふいた。
「何いってんの?お雛様は当然イルカせんせえなの!」
”むかっ”
カカシとゲンマはにらみ合った。
そして低次元の争いがおきた。
二人は恋の奴隷なのだ。
「じゃあ〜こうしましょう、二人にお雛様に変化してもらいどちらが美しいか勝負しません?」
「そうだな」
カカシはうなずいた。
「ええ〜〜!?」
イルカとライドウにはただの迷惑な話だ。
「俺は嫌です、どうせカカシ先生もゲンマさんも下心まんまんなんでしょう〜もういいです!」
イルカは怒って立ち上がった。
「イルカはともかく俺まで女装冗談いうな!」
ライドウも立ちあがる。
「どうぞ、今夜はお二人でお雛様になってください」
”がたん”
二人は部屋を出て行った。
”びゅううう〜”
”びゅううう〜”
カカシとゲンマのハートに隙間風。




そして残されたカカシとゲンマはお雛様に変化しました。
でも、なかなか二人ともべっぴんさんになりました。
「カカシさんきれい〜」
「そういうゲンマさんもお〜」

かくてカカシのお雛様プレイは夢で終わった。

090206.


2009年02月21日

梅ノ木

時の流れ・・・。
1本の木の下にしっぽ頭の青年が立っていた。

まだ外の空気は寒く首からマフラーを巻いていた。

それは梅の木だ。
彼は時々この木に会いにくる。
「早いもんだな・・・あと少しだ」
このあまり大きくもない梅の木には彼の大切な想いがこめられていた。




それは三年前。
彼、うみのイルカが現在の恋人はたけカカシと出逢った頃のこと。
恋人として付き合い初めたある朝のこと。
「あと少しでこの木には梅の花がほら咲きそうなんです」

カカシに連れてこられたのは梅の木がたくさんある小さな公園。
本当に後もう少しで可愛らしい花を咲かそうとしていた。


カカシは小さな缶を取り出した。
携帯用のスコップで木の下を掘り始めた。
「カカシ先生何をしていらっしゃるんですか?」
「うん、ここに大事な物をうめておこうと思って」
何だか妙な事をカカシは言った。

交際したての甘い空気は新鮮で輝いていた。
見るものすべてがキラキラしていた。
「ねえイルカ先生。今から三年後の梅の咲く頃に再びここでこの缶を取り出そうと思うんです」
楽しそうにカカシは笑った。
果たして三年後、二人はまだ一緒にいれるのだろうか?



それから暑い夏がきて秋がきて冬がすぎて、それから時折イルカはこの木の下に立っていた。
それはカカシが長期任務にでてしまった時や二人が喧嘩してしまった時・・落ち込んで泣きたい時に、何故だかここに来ると心がなごみ、元気になれた。

あの頃の出逢った二人の甘い姿が瞳に浮かぶのだ。
(あの缶には何がはいっているんだろう?)







そして月日は今後少しで三年をむかえようとしていた。

今だ変ることなく二人は恋人でいられた。
多分それがイルカにとっては一番重要なことだった。





「来週の終わり頃に梅が咲きそうですね」
風呂からあがったカカシが伸びをした。

あの梅の木のことだ。





少しうす曇りの朝あの二人の出逢いの春から三年目。
二人は梅の木の下にでかけた。

まだ誰もいない公園。

カカシはあの時と同じように携帯スコップで木の下を掘った。

小さな青い缶。

「あけてみていいですか?」
「はい」
中には一枚の紙と小さな箱。

『三年目の俺たちへ。
もしこの缶を二人であける日が来たら、イルカ先生は俺と一緒になってください』

「え?」
イルカは今度は箱を開けた。
銀色のリングが二つ。


いつしかぽろりと熱いものがイルカの頬をつたった。




梅の木はあの頃と全く同様に二人を見守っていた。
小さな花は二人に優しく微笑んでいた。



三年間。
短いようでそれは重くて大切な三年だった。
二人の想い出の日々が頭の中をかけていく。

イルカの熱い涙は止まることなく流れた。
でもそれは哀しいものではなく、
喜びの涙だった。





初めて出逢ったあの新鮮な心を忘れずに。


090217
カカイルを本格てきに書き始めたのが春でした。いつまでも初めの時の気持ちを大事にしていけたらいいですね〜


2009年02月14日

彼の名前ははたけかかし。
今年30歳になる都内大手メーカーに勤務する平凡なサラリーマン。
少しマニアなはたけさんの純な恋の物語。

はたけさんの生きがいであり趣味は早朝テレビから流れてくるTVショッピング「このはねっとイルカ」この司会のうみのイルカちゃんの笑顔が大好きでした。
勿論お部屋の壁にはイルカちゃんのポスターを飾っています。
そんなはたけさん、先月お友達に会うため大阪へ、その行きの新幹線で憧れのイルカちゃんと運命の出逢いを・・・以上が前回までのあらすじです(ネタメモ日々より)

「TVショッピングの彼」嫌な上司はしめあげろの巻き。


現代社会はストレスばかり。
例えば職場の人間関係だったり、人生がつまらないと思い込みつねに他人と自分を比較して生じるジレンマだったり、さめた夫婦関係などなど・・。
人間の社会は常にストレスと同居生活。

そして多くの人が胃痛や頭痛に悩んだり、食欲がセーブできなくなってしまったり、ふんだりけったり、
もう〜得をするのは病院だけだったりするのだ。

「ああ〜なんだか胸がやける」
はたけさんは夜ご飯の焼き魚を食べてお腹をさすりました。
この頃胸がやけるなあ〜
でも、さっさと布団に入って寝てしまえば〜〜
”むふふ”
はたけさんには毎朝のお楽しみがありました。
ころんとお布団に転がる。
今年30歳、独身でなかなかの色男。
でも何故かいまいち女に縁のない彼なのです。
そんなはたけさんはお部屋の壁のポスターに話かけました。
「おやすみイルカちゃん」
それは憧れのタレントさん。
大好きなイルカちゃんの夢をみて、
(最近、少し疲れているのかな・・俺)

はたけさんは眠りの世界へ。



そして、早朝AM3:30人より早起きのはたけさん、
毎朝テレビショッピング「コノハネットイルカ」のイルカちゃんの愛らしい笑顔で癒されてそして食パンとコーヒーを飲み家をでます。


はたけさんの住む街から都心の職場までは1時間と少し。
忙しいサラリーマンの一日がスタートします。

はたけさん、何時もどうりJRに乗りました早い時間でも人は多く、
はたけさんは愛用のデジタルオーデオでイルカちゃんのCDを聴いて快適通勤です。

そして高層のビルが並ぶ職場へ。



これがはたけさんのストレスの原因でした。

真面目で大人しいはたけさんは一人PCの前で静かにお仕事をしています。


実は昨年、彼のチームに配属されてきた上司Tさん、(仮名)が問題でした。
Tさんははたけさんと同年の30歳、すでに家庭をもっている普通の人に見えますが、これが、とにかく恐ろしいくらいのおしゃべり男。
一日の半分以上は周りの若い派遣の女の子とだべってすごしています。

初めははたけさんも、お仕事と割り切り目をつむっていましたが、
やはりお給料をいただくからにはお仕事をするのがお約束です。
”むかむか”

今日も上司は朝から大笑い。


「お昼やすみ」
はたけさんは同僚の並足ライドウ君と二人で職場の近くの飯屋にはいりました。
「もう〜〜あれは給料泥棒です!ああ〜〜あったまくるうう〜」
ライドウ君も激怒。
誰だって怒ります。
「そうですね・・・少ししめあげあてあげますか」
ぽっりと恐ろしい事をはたけさんは言う。
「おお〜さすがはたけさん!」
エビフライをくわえてライドウ君の瞳が輝く。
その時。

”ちゃらりい〜〜らあらあ♪”
チャルメラの音ははたけさんの携帯メールの着信音。

(だれ?)
はたけさん携帯を取り出してはっとしました。
(イルカちゃん!)


それははたけさんが日々憧れ続けているうみのイルカちゃん。
そう、先月偶然同じ新刊線に乗り合わせて、はれてお知り合いに。

まさかイルカちゃんからメールをもらえるなんて!

「わあああ〜〜」
はたけさん奇声をあげトイレにダッシュ。
夢中で個室に入り鍵をかけます。
「カカシさん、お元気ですか?この間はたのしかったです。もしよかったら今月の13日の金曜日の夜一緒にお食事でもしませんか?  イルカ」
「な、なにいい〜〜〜」

興奮で鼻から赤い液体がおちます。

(はぁはぁ)
”ドンドン”

トイレのドアをライドウ君がたたいてます。
急にトイレに駆けこんだはたけさんを心配したからです。

「カカシさん大丈夫ですか?」
「あ、うん」

携帯をしまい平静をよそおい外へ。
「カカシさん腹ピーピーなんですか?」(注 ライドウ君は下ネタ好きです)

「はぁはぁはぁはあ」
ご飯も食べず息の荒いはたけさんにライドウさんも怯えました。
(この人すこしあぶねえなあ〜)




”イルカちゃん、イルカちゃんとデート”

もう午後のからはお仕事など上の空。
はたけさんの心は宇宙の彼方、マイワールドへ。
昼休みも終わり二人はデスクに戻りました。
例の上司は昼休みが何時間あるのか相変わらずおしゃべり。


13日って、金曜日だよな。
「13日の金曜日」なんか怖い。
でも、
何着ていこうかな?
PCを打ちながら頭の中はパンパンです。

そこへあのTさんが大量の書類を持ってはたけさんのもとに。
Tさんは自分の気に入らない人には沢山お仕事を押し付ける人です。
「はたけさんこれもおねがいね」
「てめえがやれよ、このタコ!」
よく響く美声に辺りは凍結しました。
「なに?」
Tさんは目を白黒させました。
普段大人しいはたけさんの口からそんな言葉が。
「冗談だよね。はたけさん」
「冗談はあんたの方だ、真面目に働く気がないなら、保健室で寝てろ、この、スットコドッコイ!!」
「ひいい〜〜〜」
”スットコドッコイ”

それにはTさんもショックで失神しました。

ライドウ君をはじめ日頃このTさんのせいで不愉快な思いをしていた仲間たちは涙を流して喜びました。






夜。
ああ〜すっきりした。
はたけさんはイルカちゃんにお返事を打ちました。

”どきどき”

そして二人は来週海辺の素敵なお店で会うことに。

思わず嬉しくて部屋で腹筋を100回してしまいました。
(はぁはぁはぁ)
彼は少し感情表現がひととズレていました。





そして翌日。
はたけさんは上司Tに別室に呼び出されました。
きっと昨日のことで責めるのでしよう。
「だいじょうぶすか?」
小声でライドウ君が心配。


「なんでしょう?」
はたけさんはTの前に腰をおろした。
「はたけさん、昨日君がボクに言ったことを謝罪したまえ」
「はあ?」
もう〜馬鹿馬鹿しい。

ぽりぽり。
はたけさん自慢の綺麗な銀色の髪をかきました。
「あれえ〜Tさん、ズボンに何かへんなものついてますよ」
「え?ホント?」
Tさんあんまり頭はよくないようです。
慌ててソファから立ち上がる。
「どこ〜?」
「ほら、ここだよ!」
はたけさんは思い切り上司Tさんのズボンを引きおろしました。
「いゃ〜〜〜」
ちよっと乙女に上司は恥らう。
そして強引にパンツを奪う。
「わあ〜このパンツキテイちゃん、しかもピンク・・・これは奥様の御趣味ですか・それともうちの派遣の不倫相手の」
「やめろ!こんなことして君、無事でいられると思うなよ!」
Tさんは強がりました。
はたけさんはニッコリ笑いました。
「このパンツ俺の友達の週刊誌の記者に売ります。あなたの日頃の醜態もオマケにつけて、大変なスキャンダルですねえ〜」
はたけさんはははは、と明るく笑いました。

笑い飛ばして、
日常のストレスを退散させたのです!


まあ、そんな訳で上司は少し大人しくなりました。







キラキラと臨海副都心のイルミネーションが美しい。

この海沿いのカフエは恋人たちにも人気の高いデートスポット。
待ちに待ったイルカちゃんとの約束の夜。
はたけさんこの日の為にスーツを購入しました。
手には一輪の赤いバラ。
勿論イルカちゃんにプレゼント。

昨夜は激しい妄想に取り付かれ息も荒く眠れませんでした。
(それにしてもデートなんて何年ぶりだろう)

入り口でぼんやり思いをめぐらせているとそこへ、
美しいグレーのロングコートにサングラスのスレンダーな人影。
「イルカちゃん!」
「お久ぶりです」
イルカちゃんはテレビにでているタレントさんなのだ。
ひと目をしのんでのサングラス。
そのサングラスをはずす。
大きくて綺麗な黒い瞳ははたけさんを見てキラキラ輝きました。

「さあ、どうぞ」
少し格好つけてエスコートする。

二人は見つめあった。
イルカちゃんが柔らかく微笑む。
微笑んだのはカメラではなく、はたけさんになのだ。
「はぁはあはぁ」
「あの?どうかしました?」
「いえ、少し風邪ひいているみたいで」
「大丈夫ですか、カカシさん」
「ええ、でかける時にタ○フ○たくさんのみましたから」



そして何気ない怖い話題をしなら予約してあった窓辺の席へ。

「なんだかこの間お会いした時とかんじかが違いますね」
「そ、そうですか?」
「スーツ姿もお似合いです」
(どき!)
はたけさんまたもや興奮、息があがるのを押さえ、サラダを口にるめこむ。

イルカちゃんはコートの中にはシンプルなせーターとジーンズだけだ。
何でもないスタイルをバッチリ着こなしている。
芸能人とはすごい。



二人はしばらく静かにお酒をのんだ。

語り合う。

イルカちゃんは少し酔ったのか頬がほんのりピンク色だった。
「カカシさん・・・・実は今夜あなたにどうしても渡したいものがあって」
「え?おれに?」
(なんだろう?)
イルカちゃん鞄の中から大きな箱を取り出した。

リボンがついている。

もじもじしている。

「これって?」
「チョコレートです★」
そうだ、すっかりはたけさんは忘れていたが、明日14日はバレンタインデー。

「わあああああ〜〜」

そんな!
まさか!イルカちゃんからいきなり!!

再び興奮が。

はたけさんズボンのした恐竜さんが今にも踊りだしそうです。


そしてはたけさんの日頃のストレスはいっきに吹き飛んでしまいました。



「いゃあ〜」
その時、イルカちゃんがあたりをキョロキョロしました。

「どうしたの?」
気がつくと店中のお客さんたちが二人注目してました。

”ねえ〜あれ「コノハネット」のうみのイルカよ〜超綺麗”
”いっしよにいる人スゴイ美形”
ヒソヒソ。


二人は気まずくなり、そそくさとお店をでました。






海の近くの小さな公園。

「大丈夫イルカちゃん」

酔いが回ってイルカちゃん足がよろよろしてます。

「よし、俺がおんぶする!」
「ええ!?」
焦るイルカをはたけさんは軽々背負いました。


冬も後半。
まだ寒い日が続くがハートは熱く、
そして恋はなんて、ドラマチック!



どんな人間にも悩みやストレスはあります。

サラリーマンのはたけさんはその元と正面から戦いそして勝利しました。

そして、今さらに、素敵な恋を手にしました。



イルカちゃんを背負い彼は夜の街を全力で走りました。


この恋のゆくえはまた次回へ。

090208
★ネタメモの12月1月に書いて「TVショッピングの彼」
パラレルなんで、出すのどうするか迷いましたが、バレンタインでしたので。思い切って、どんなもんかいな?






2009年02月07日

卵酒

”コホッ”

”ケホッ”
しまった。
やられた。
その朝イルカは寒気の中飛び起きた。
頭が重い。
全身に痛み。
どうやら風邪をひいたらしい。

イルカはよろよろ起きた。
マスクをつける。
(受付なのに)
朝食も喉をとうらず、職場へ。


同僚達はマスクのイルカを見て、みんな”あっ”という表情をした。
(うつされる)
みんな思っているに違いない。
「イルカ、調子が悪いのなら裏で書類の整理をしていたらどうだ」
「はい・・申し訳ありません」
イルカは先輩からそういわれ奥の部屋にはいった。



イルカは書類の山を整理していた。
相変わらず咳がでる。
(あれ、そういえば今夜はカカシ先生がくる。・・・どうしょう・・風邪うっってしまったらいけないし、でも・・・顔がみたい)

悶々と一日が過ぎていく。



やがて定時がやってきた。
イルカはそこを立った。





(今夜はご飯だけ食べて、カカシ先生には帰っていただこう)
イルカは冷蔵庫をあけて手早く消化のいいうどんを煮た。
そして間に合わせで買ってきた焼き鳥を皿に乗せた。

なんだかぼ〜っとする。

イルカは支度をすませるとマスクをしたままベッドに横になった。







「イルカ先生・・・・」

カカシはイルカの部屋に入り、クンクン匂いをかいだ。
美味そうなうどんのにおい。

イルカはベッドで寝ていた。

何と眠っているのにマスクをつけていた。

カカシはそっとイルカの額に手をあてた。
少し熱がでてる。



カカシはキッチンに入った。
冷蔵庫から卵とそして日本酒を出した。

卵の黄身と日本酒をカップ1杯。そして少量の砂糖で「卵酒」を作った。

これは子供時代、風邪をひいたカカシに父が作ってくれたものだ。
不思議とこれを飲んだ翌日は風邪はよくなるのだ。




イルカは目覚めるとカカシがきていた。
「無理して起きたら駄目です。イルカ先生」
カカシはマグカップをイルカにさしだした。
「これは?」
「のんで、俺はうどん御馳走になったら帰るから・・・これで一晩ぐっすり眠れば明日にはよくなりますよ」
一口飲むとお酒の味。
そしてまろやかな卵の味。

イルカはのんだ。
身体がぽかぽかしてきた。


(ありがとうカカシ先生)

イルカは再びベッドにはいり眠った。




カカシは苦笑した。

(今夜はおあずけかあ〜)
あ〜〜と伸びをして、
カカシはイルカの作ってくれたうどんをすすった。

090121.
風邪の季節です〜〜卵酒はお勧めです。



2009年02月01日

驚愕

恋とは罪なもの・・・。


一枚の写真を彼はリビングテーブルの上に置いた。
そこには銀色の髪をした世にも素敵な彼の先輩の姿。
これは前回の任務で隠し撮りした絶品だ。

ヤマト、ヘッドギアのナイスな彼は写真をおかずにご飯を食べた。


昨日の事をぼんやり思い出す。

季節は1月も終わり一年でもっとも厳しい寒い2月。
寒さも吹き飛ばす里一番のラブカップル。
それは彼の先輩カカシと恋人の天然中忍イルカ、
二人は楽しそうにアカデミーの屋上にのぼっていった。


気がつくとヤマトは尾行していた。
物陰にひそむ。
「せんせい、寒くない」
「はい」
「ど〜ぞ」
カカシは暖かい缶コーヒーを取り出した。
優しくイルカをきずかう。
屋上から広がる里をみおろしている。
カカシはさり気なく腕をイルカの肩にまわす。
(らぶ〜〜〜らぶう〜〜)
ヤマトは悔しがったが、仕方ないことだった。

「カカシ先生今週アカデミーで豆まきをするんですよ」
「あ、もうそんな時期なんですね」
「俺今年は鬼さんに選ばれました」
「え?駄目です・・イルカ先生の大事な身体に豆が当たったら危ないです・・・それに鬼のお面ンなんてイルカ先生には似合いません」
イルカはクスクス笑った。
ベストの中から何か取り出す。
それは小さなつけ角。
「お面はつけないです、これを代わりにつけるんです」
イルカは小さな角をつけた。
”どきん”
カカシは萌えた。
こんな鬼なら俺も豆まきしたい。
さり気ない恋人同士の会話。



ふ〜ん。

豆まきね。
ヤマトはふと悪戯を思いついた。
恋敵イルカに日頃の仕返しができる。
憂さ晴らし。



2月3日は節分です。
アカデミーでは生徒たちが楽しそうに豆をくばられていた。
「よし、イルカ先生を退治するぞコレ」
木ノ葉丸も普段叱られてばかりなので、ここぞとやる気まんまん。

そんな子供たちの中に怪しい子供がいた。
ヘッドギアをつけた可愛い男の子。
仔ヤマトである。
生徒にまじってイルカに豆攻撃をするのだ。
少しセコイ計画だが、うっぷんばらしにはなれる。


アカデミーの校庭を鬼役の先生と生徒たちがキャーキャーいいながら走りまわる。
「鬼はあ〜そとお〜」

”びゅ〜ん”
木ノ葉丸はイルカに向かって必死に豆を投げた。
しかイルカは軽くよけてしまう。

そんな元気なイルカに忍びよる黒い影。
仔ヤマトは瞬時に移動してイルカの前に立った。
この位置ならばばっちりだ。

仔ヤマトは豆を思い切り投げた。

”ばしっ”

はずが、

豆が消えた。

(は?)
今、確かにボクはイルカ先生の顔に豆を。
気を取り直し再度挑戦。

何度イルカの顔にまいてもすべて豆は消えた。

(んな馬鹿な)


ヤマトは一人建物の影に走った。

頭の中のビデオテープを巻き戻し、そしてコマおくりした。


豆は確かにヤマトの手を離れイルカの顔に・・。

その時、イルカの口がぱかっと開いた。
一瞬で豆を飲み込んでいた。

(たらたらたら)
ヤマトは汗をかいた。


うみのイルカ、恐るべし。


ボクは一生イルカ先生には勝てないだろう・・。




夕方ヤマトは疲れた身体で肩をおとしてアカデミーを後にした。
敗北。


自宅へ戻ると家の前にはカカシ先輩が待っていた。

「先輩どうされましたか?」
「ああ〜さっき綱手様からたくさんお団子を頂いてお前のところにも」
「わあ〜〜」
(先輩優しい)

ヤマトは嬉しくて鼻水をすすった。
「どうぞ今お茶をいれます」
「いいよ、すぐ帰らないと」

「でも一杯だけですから」
少し強引に誘う。

カカシは少しだけと言ってヤマトの家にあがる。

「今日はアカデミーで豆まきだったんだ、イルカ先生今年は鬼役でさぞや痛かったろうなあ〜」
「あぐあぐあぐ」

痛くなんかねえ〜〜

と叫びたかったが、ヤマトは我慢した。

「今夜は先生にゆっくり身体を温めてもらおうとおもってさあ〜ね、きいてる?」
「はあ・・・・」

「ふんぱつしてスペシャル入浴剤買ったんだ、んじゃあね、お茶御馳走さん」

カカシは立った。


”ひゅうう〜〜”



せんぱい。


がっくりとヤマトは疲れた。

そして貰った団子をひたすらもくもくと食べた。


せんぱああ〜〜い。


090126.


2009年01月16日

「トラウマ」 ネタメモより。仔カカシ

ある日父サクモは大きな箱を抱え嬉しそうに帰宅した。
「とうさんこれなあに?」
5歳のカカシは瞳を輝かせた。
きっと美味しいお土産だろう。
「ああ〜これは河豚という高級魚だ・・・カカシ今夜は二人でたらふく食べるぞ」
「わあ〜」
カカシは嬉しくて飛び上がった。


サクモはキッチンに入り腕まくりをした。
まな板に魚を乗せる。
「あれ?」
どうやってさばくのか?
包丁を手にとる。
考えてもわからない。
「ええい、めんどくせえ〜」
サクモは魚に小麦粉をまぶし、
油でまるあげした。
これぞダイナミック男の料理。


”ほかほか”
魚を皿に乗せる。
「カカシ見ろ、これは天麩羅という火影様でもナカナカ食べららない豪華料理だ、喰え!」
「はい、とうさん!」

いただきま〜す♪
カカシはこんがりとした魚に箸をつきたて口の中にほおりこむ。

”バタ”

カカシは倒れた。

「か、カカシ〜〜〜!」
サクモはあわてた。




それ以後カカシは二度と天麩羅を口にすることはなかった。




幼い頃の父と息子の美しき思い出。

END08、









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