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〔お知らせ〕
何時もありがとうございます★
STORYのコーナーが10月より「STORYPT.2。のインデックス」に移動します。
次回よりです。宜しくお願いします★
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定時に走れ
”つるつる”
”つるつる”
小さなイルカちゃん(4歳)は夢中でインスタントラーメンを食べています。
ラーメンの大好きなイルカちゃん。
今日もとうちゃんに内緒で盗み食い。
そんなイルカちゃんに大事件が起きました。
(ああ〜疲れた)
イルカちゃんの父、うみのさんは毎日地味にお仕事をしていました。
人がよく気の弱い彼は意地悪な上司にも耐えて頑張っています。
だって御家に帰れば最愛の息子が待っているのです。
そう思うと足も軽くなります。
定時と共にうみのさんは立ち上がりました。
「おい、うみの」
そのうみのさんを上司が呼び止めました。
「はい、なんでしょう?」
「今から呑みにいくぞ」
「あのう・・・スミマセン。私は自宅に戻らなければ」
うみのさんは頭を下げました。
「付き合いの悪い男だな。・・・・いいだろう少しくらい付き合え。それに、毎日定時で帰るなんてお前少しおかしいんじゃないのか?」
「はあ・・・・」
(困った人だね)
絡まれてうみのさん困ってしまいました。
いっそそのままこの人を突き飛ばして逃げようかと思いましたが、流石にそれは出来ません。
そこに!
「うみのさん!」
颯爽と受付に現れたのは、
息子イルカのボーイフレンドの父である、はたけサクモさん。
「木ノ葉の白い牙」は里の有名人です。
「はたけ上忍」
うみのさんにケチをつけていた上司は固まりました。
「大変申し訳ありませんが、うみのさんには火影様より大切な任務にという指示が出てまして」
そう言ってサクモは外にうみのさんを連れ出した。
「大変ですね、あなたも」
「ええ、めんどくさい人が多いですね。・・・・それより火影様の任務って?」
「今からすぐにイルカちゃんの元に帰っておいしい夕飯を作ることですよ」
「わあ〜」
うみのさん、また少し素敵なサクモさんに恋しちゃいました。
などと父たちはラブラブでした。
うみのさんは早速スーパーで食料を買い込み自宅へ走りました。
「イルカ〜遅くなってごめんね〜今とうちゃんご飯つくるから」
家の中に入りうみのさんは心臓が止まりそうになりました。
小さなイルカちゃんがリビングテーブルの下に丸くなってうずくまっていたのです!
「イルカ!!」
うみのさんはイルカちゃんを抱え「木ノ葉病院」に走りました。
「心配ありませんよ。ただの食べすぎです。お腹を壊しているので当分は消化のいいお粥や林檎だけで、油ものは控えて下さい。お子さんの為ですから」
優しい眼鏡の医師は言う。
(そうか、イルカの奴またラーメンを盗み食いしたな)
取りあえず一安心です。
カカシ君はイルカちゃんからのメールに焦りました。
”イルカ、うごけない。カカチすぐきて”
まるで若い女の子みたいな我がままなメールをカカシ君に送りつけたのです。
ともあれイルカちゃんの一大事、放置なんて酷いことは出来ません。
カカシ君は食べかけのお魚を残して家をでました。
走る。
走る。
イルカちゃんはお腹をこわしていた、それだけでした。
お布団の中で本を読んでいました。
「よかった。なんでもなくて、イルカちゃん冷たいもの食べすぎたりしたら駄目だよ」
「うん」
にっこりとイルカちゃんが笑えばカカシ君は怒れなくなりました。
恋は病ですから。
「カカシ君、ゴメンネ。イルカの馬鹿が心配かけて」
うみのさんはイルカちゃんの頭にコツンとげんこをしました。
そんな訳でイルカちゃんを待っていたのはお粥ぜめでした。
明るいイルカちゃんもそれには参りました。
「とおちゃん、ラーメン」
「だあ〜め。何言ってるだ、当分禁止。・・泣いてもだめだぞ。それからカカシ君と遊ばないこと。カカシ君は忙しいんだぞ」
「う〜〜〜〜〜〜〜」
カカチに会えないの?
イルカちゃん目の前が暗くなりました。
そんなイルカちゃんにカカシは毎日PCでメールをおくり元気ずけました。
”よくなったら二人でラーメン食べようね”
「カカシ〜お前またイルカちゃんにメールしているのか?」
風呂あがりカカシの父、サクモはカカシの部屋を覗いた。
カカシの机の上にはイルカちゃんと二人で撮った写真。
「とうぶん会えないから」
「そうか、でも会えないと余計燃えるだろう」
サクモはフフフと笑った。
「障害のある恋は燃え上がるんだ」
カカシは”カーッ”と全身が熱くなりました。
でも所詮は子供です、お父さんのいう意味は全部わかりませんでしたが。
そして一月後。
お医者様から普通食へとお許しがでました。
(後、5分)
うみのさんは時計をチラリと見ます。
定時で走る彼はどれだけ周囲の人から非難されても負けません。
走れ。
大好きな君がいるから、頑張れる。
大切な家族がいるから。
待っている人がいるって素敵なことです。
0904、
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恋心
「キスしてください」
「ええっ?!」
飲み屋で上忍HKさんは真顔でイルカに言った。
「酔ってらっしゃるんですね」
イルカはやんわりと流した。
「あなたでなければ駄目なんです」
「あ、そうだ、カカシ先生、今夜は私服なんて珍しいですね」
今夜カカシは何時もの忍服ではなく黒のロングコートを着ていた。
しかし、顔はあい変らず覆面でおおっていた。
「だって、折角のデートですしい」
「デート?」
ああ〜困ったかなり酒が回っているな、
イルカは汗をふいた。
時々イルカはこの上忍、はたけカカシに誘われ酒場に行く。
彼の方が階級が上で断りずらいし、それにただで呑めるから。
今夜もイルカはカカシ上忍のお酒のお相手。
カカシはいきなり立ち上がった。
「イルカ先生、俺をみて」
”ガバッ!”
カカシはコートの前をはだけさせた。
「いゃあ〜〜〜〜〜〜!!!」
コートの下は!
コートの下はスッポンポン。
”変態だ!”
イルカは泣きながら走った。
セクハラで明日火影様に訴えてやる!!
あ〜あイルカ先生逃がしちゃった。
ま、でも俺のナイスバディが見せれて良かった。
イルカ先生はラッキーだね。
気がつくとカカシは酒場の店員に囲まれていた。
「この人変態です!」
客らしい若い女がカカシを指した。
「このコートの下は裸です」
「俺はあんたになんか見せたかった訳じゃあない」
しらっとカカシは言った。
「一緒に来てもらおうか」
店長らしい男が出てきた。
「俺のすべてをあの人に見せたかった」
その後、カカシは木ノ葉警備隊に身柄を拘束された。
彼(イルカ)にすべてを、生まれたままの俺を見てほしかった。
(本人談)
恋心時としてただの迷惑行為。
090620.
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心が痛むほどに
”心が痛むほどに誰かを愛してください”
イルカは一冊の本を閉じた。
”心が痛むほど、俺は・・・”
イルカは立ち上がり箪笥の上に飾ってあるフォトフレームを手に取った。
それはカカシと出逢い、恋人同士になって初めてのデートの時撮影した記念写真。
もうあれから随分たつ。
はたけカカシ。
木ノ葉で彼の名を知らない人はいない。
他里のビンゴブックにまで載るほど有名な彼。
まさかそんな人が自分のような平凡な中忍の恋人になるなんて。
「もうすぐカカシ先生のお誕生日ですね」
「はい」
ラーメンを食べながらカカシは照れたように微笑んだ。
「でも今年は任務ですね。・・・カカシ先生」
「残念です」
「帰ってきたら二人でお祝いしましょう」
「イルカ先生・・・・」
「大丈夫ですよ、無理しないで」
イルカはいい恋人を演じた。
我がままを押さえ笑顔を作った。
そんなイルカをカカシは抱きしめた。
強く。
強く。
自然と二人は抱き合っていた。
心が満たされていく・・・・。
でも、その当日はイルカは寂しくてせっなくて、
仕方ないんだ。あの人は俺だけのもんじゃない。
木ノ葉にとって大切な存在なんだ。
それに比べて俺は。
イルカは手にしていたフォトフレームを置いた。
あれから、
心が痛い。
今夜はカカシ先生の誕生日。
心が痛むほどに・・・。
まさにあの本に書いてある文面どうり。
恋は甘いものだとカカシに出逢う前は思っていた。
二人が会えない時は何時も不安で哀しくて。
あの人の事が心配で・・・。
「駄目だ!駄目だそんなんじゃあ、カカシ先生の恋人失格だ」
イルカは首を振った。
「そんなことナイデスヨ。イルカせんせい」
「えっ?」
”はっ!”
そこに居ないはずのカカシらしい声。
イルカは目を疑った。
お膳の上に10cm位の小人のようなカカシ先生。
「カカシ先生!?」
恐らくこの小人はカカシが一人でいるイルカの為に飛ばした小さな影分身だろう。
イルカはチビカカシを手に乗せた。
(かわいい)
抱きしめてあげたいが、サイズが小さすぎる。
「カカシ先生、カカシ先生」
「どうしましたせんせえ」
「どうして?」
「俺のお誕生日して、イルカせんせい」
チビカカシはニコニコ笑った。
イルカはカカシの好物の秋刀魚の塩やきと茄子の味噌汁をつくった。
チビカカシは一生懸命ぱくぱく食べてくれた。
あなたのいないばずのあなたのお誕生日に二人で、
イルカはチビカカシと数日を過ごした。
昼間はベストのポケットに、一緒に出勤した。
そして夜。
「ねえ、イルカせんせい、この本読んで」
何時か俺が読んでいたあの本だ。
「うん。・・・・・・恋をすると人は変ります。毎日が輝いて他人にも優しくなれます」
何度も読み返したあの本。
「だから、あなたも心が痛むほどに誰かを愛してください」
”ぱちぱち”
チビカカシは拍手をした。
(カカシ先生ありがとう)
小さなカカシを手に乗せ、
きっと任務に出ているあの人も心が痛むほどの恋をしていたら、
素敵だと思った。
”心が痛むほどに・・・・・”
お誕生日おめでとうございます。
カカシ先生に。
090514.
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かぶっている!
木ノ葉の若者に人気が高い「コノクロ」ブランド。
夏の暑さも少しひけた。
今年ももうすぐ彼の誕生日。
今年は何をプレゼントしよう。
イルカはその事で頭がいっぱい。
好きな人にプレゼントするのは楽しい。
アカデミーの帰りイルカはイズモとコテツを誘って「コノクロ」に寄った。
低価格でお洒落なブランドは忍達の間でも話題だった。
(秋物のシャツかあ)
勿論、カカシへのプレゼント。
きっと喜んでくれるだろう。
イズモとコテツはイチャイチャとおそろいのジーンズを買っていた。
(見せつけてくれるな)
「なあ〜コテツ、このシャツカッコイイよ」
「ホントだ。・・・イルカ見ろよ」
二人に呼ばれてイルカは探し物を見つけた。
それはシンプルなスタイルのシャツに小さなドット柄のもので色は、赤、黒、茶、グレー、カーキ
値段も手ごろだった。
イルカはカーキのシャツを手に取った。
カカシ先生にこれなら似合うだろう。
「へえ〜やっぱカカシさんにだろう?」
「そうだよな。二人はラブラブだもんな。でも俺たちほどじゃないぜ」
イズモとコテツはニヤニヤ笑った。
「いやあ〜そのう〜そうなんだけど」
(熱い)
(熱い)
イルカはカーキのシャツをプレゼント用にラッピングしてもらった。
そしてついでに自分用にグレーのシャツを購入した。
そして、9月15日。
カカシの部屋で二人っきりの誕生日。
イルカは少し頑張って「稲荷寿司」を作った。
そして小さなケーキを用意した。
「これ大したものではありませんが、カカシ先生に似合うと思って」
カカシは丁寧に箱を開けた。
「素敵ですね〜有難うございます・・・・イルカ先生、今夜は大サービスですね」
「サービスだなんて」
ぽっとイルカは赤くなった。
カカシはやんわりとイルカの身体を抱き寄せた。
唇を重ねる。
「稲荷寿司」も食べるのも忘れ二人は愛し合った。
数日後。
久しぶりの二人そろっての非番。
カカシはイルカから贈られたカーキのシャツを着た。
イルカもおそろいでグレーのシャツを着た。
二人はショッピングセンターに出かけた。
そしておそろいの茶碗や箸を買った。
「そろそろ何処かで休んでいきましょうか」
「はい、お腹ペコペコです」
二人はファーストフードの店に入った。
カカシはコロッケバーガーのセットを注文した。
その時。
「よおお〜カカシじゃないか〜それにイルカ〜」
この濃い眉毛はカカシの永延のライバルマイトガイだ。
「ガイ?」
二人は声をかけられ振り返った。
そして心臓が止まるほどの衝撃をうけた。
何と、ガイは二人とおそろいのシャツを着ていた。
色違いで赤。
「いゃあ〜〜〜」
イルカはしまったと後悔した。
絶対カカシ先生ショック受けているよ。
「さあ〜イルカ先生、こっちの席にどうぞ」
それでもカカシは笑顔でイルカのことをエスコートしてくれた。
そこにガイがやってくる。
「やっぱそうか〜カカシ、お前俺に気があるだろう」
「そんなもんねえ〜〜!」
「じゃあ〜どうして俺とおそろいなんだ?」
「偶然だ、あっち行けよ」
(もう言わないでくれえ〜)
折角誕生日にイルカ先生から贈られたお気に入りを!
「ん?なんだ、カカシコロッケバーガーかあ〜俺と同じだ。マネするなよ」
”はっはっはっ!”
”ガア〜ン”
食べるものまでおそろいだなんて!
カカシは雷に打たれたようにショックを受けた。
「うわああ〜〜〜」
カカシはついに耐えきれず席を立った。
「待ってください、カカシ先生〜」
イルカも後を追った。
「何照れてんだか、あいつ」
残されたガイは何故カカシがうちのめされているのか全く理解できなかった。
「カカシ先生・・・大丈夫ですか?」
「ええ、少しびっくりしてしまいました」
「ごめんなさい俺、まさかガイさんと同じだなんて」
「いいんです。よくある事ですよ。折角先生が俺のことを考えてプレゼントしてくれたものですから気にしないで下さい」
二人はとりあえずクールダウンした。
「あっ、いけないハンバーガー!」
「あっ!」
今更店に戻ることも気がのらず二人は「一楽」にむかった。
「やっぱり涼しくなったらラーメンがいいですね」
このスープの匂い、なんともいえない。
「いらっしゃい、イルカ先生、カカシ先生」
テウチが二人を見て嬉しそうに白い歯を見せた。
二人も笑顔をうかべた。
やっと落ち着いた。
カカシは塩をイルカは味噌をたのんだ。
やはり馴れている店はいい。
その時、
「あら、カカシ君とアカデミーの先生じゃない・・・お久しぶりね、うふふ」
この独特のイントネーション。
「大蛇丸・・・・さま」
その声の主はあの大蛇丸そしてその隣には薬師カブト。
カカシとイルカは再び固まった。
「あら、いやだああ〜カカシ君私とおそろいのシャツだなんて、ナカナカお目が高いわねえ」
「お、おそろ・・・・・・」
ちなみに大蛇丸は茶色、カブトは黒だった。
「もういやだああ〜〜〜!」
カカシは瀧の涙を流した。
イルカも泣いた。
その後、残念ながらプレゼントのシャツは箪笥の肥やしとなったとか。
「かぶってる!よくあるはなし」
090604
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体質恋愛 後編
それからイルカはその足でドラックストアーに寄った。
メンズ化粧品のコーナーへ行く。
パック。洗顔。化粧水。そしてファンデーション。
初めて見た。
(こんなものをカカシ先生は使用しているのか)
イメージが違う。
そんな事を考えているとドラックストアーの薬剤師さんが寄ってきた。
白衣を着ていて眼鏡の優しそうなおじさん。
「いかがです?昨今は若い男性の間で売れているんですよ」
「はあ〜」
「若い人が何というか草食がどうのこうのって家の娘が言っていました」
「へえ〜」
そういえばネットでそんな記事を見たことがあった。
「あのう〜男がエステに通うのはどう思われます?」
「は、ははは・・・・」
人のよさそうな薬剤師は笑って回答を濁した。
イルカは化粧水を一本買ってみた。
そして「草食系男子」の記事をPCで見てみた。
自分から積極的に動くより、相手からリードされることを好む。
イルカは考えた。
まさかカカシ先生って「受身」なのだろうか?
野菜ばかり食べているし。
ますますイルカの中で謎が深まった。
気がつくとイルカは毎日帰るとスキンケアをするようになっていた。
そして数日が過ぎた。
その日、イルカは定時に仕事を終えて街に出た。
サクラからの情報でカカシの通うエステの場所がわかった。
そこは木ノ葉の歓楽街。
まわりには飲み屋や風俗店が多くあまり感じのよい場所ではなかった。
「ビューティースネーク」
看板にそう描かれてあった。
その前に立つ。
イルカはやはり引き返そうと後ろを振り返った。
”バッタリ”
またもやカカシ先生と会う。
エステに通っていたのは事実だったんだ。
「イルカ先生」
カカシ先生は今日も素敵な笑顔。
「カカシ先生」
「奇遇ですね」
「はい」
少し気まずくてイルカはうつむいた。
「先生何をしていらっしらるんです、こんな店の前で」
「あ、あのうテレビで観て興味が・・・」
カカシはイルカの手を掴んで店から離れた。
路地裏に入る。
「あの店のオーナが誰だか知ってのことですか?」
「オーナ?」
何のことだろう?
「ビューティスネークは音の密偵が集う情報交換所です」
カカシは任務で極秘にそれを調査していたのだ。
ただ、それだけのことだった。
それがある日、無責任な噂になり流れた。
夜の酒場。
カウンター席で並んで二人は酒を呑んだ。
「俺は確かにメンズ化粧品は買いましたよ、野菜も好きですけどその、草食なんとかではありません」
カカシは笑った。
「そうですよね」
「俺は受身の男ではありませんし」
”ギク”
イルカは再び気まずくて固まった。
まるで自分の考えを読まれているようだから。
カカシは右手でそっと口布を下ろした。
”きらきらきら”
輝くような美貌だった。
イルカはクラクラとめまいを覚えた。
カカシは美しく微笑んだ。
「ばりばりの攻めです、イルカ先生」
「素敵」
「さあ〜行きますか、二人きりになれるところへ」
カカシはイルカの手を取った。
かくて、野菜は食うが本性は肉食のカカシと肉系のようで草食のイルカとの恋が始まった。
「イルカ先生、恋に体質なんて関係ありませんよ・・・・」
090521.
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体質恋愛 前編
肉屋でミートコロッケを5つ今夜の夕飯に買った。
天然中忍うみのイルカはほかほかのコロッケを今にもほおばりたいのを我慢した。
こんな街中でもしアカデミーの生徒にでも目撃されたら恥ずかしい。
(匂いで我慢)
イルカは夕暮れの街をてくてく歩いた。
ふと、その日がイルカが毎週楽しみにしている少年雑誌の発売日だということに気がつく。
コロッケを持ったままイルカは本屋に入った。
(ドキン)
本屋ではあの天下の上忍はたけカカシが雑誌を立ち読みしていた。
「カカシ先生」
イルカは前々からこの、受付に報告に現れる少しのほほんとした上忍様に目をつけていた。
熱いラブビームをおくり続けていた。
人々の噂では、彼のしている口布の下の素顔は限りなく美しいのだそうだ、という。
イルカは恥らうように上目ずかいでカカシを見た。
「イルカ先生、それコロッケですね」
「はい、夕飯の・・・・・カカシ先生こそお買物ですか?」
わあ〜なんてついているんだろう。
好きな人とばったりなんて、
「イルカ先生、よかったらその辺でいっぱい」
「えっ?」
(お酒のお誘いなんて、積極的)
イルカは嬉しくてその場でステップを踏みそうになった。
「この本やの近くに紅茶の美味しいお店があって」
”ズル”
お誘いはお茶でした。
二人は本屋から静かなティールームへと移動していた。
店はあまり広くないが、
花を沢山飾ってあってとても居心地がいいのだ。
イルカはカカシの手荷物を見てびっくりした。
スーパーの袋の中身は大根、人参、ジャガイモ、野菜ばかりだ。
そして彼が本屋で買ったものは、趣味の雑誌。(愛犬の雑誌とお料理本)
それに比べて俺としたら「ミートコロッケ」
二人は紅茶を注文。
「いい香りですよ、イルカ先生」
「でもカカシ先生、マスクおとりになった方がより紅茶の香りが」
イルカはカカシの素顔が、ナルトと同様気になっていた。
「そおね。これしていたらね」
”すうう〜”
カカシの指がマスクに伸びた。
そして思い切りマスクをおろした。
”はっ!”
マスクの下からは更にもう一枚マスク。
イルカはコケた。
その日はそれで終わった。
このところ毎日蒸し暑い。
「ねえ、イルカせんせい、いい情報あるんだけどなあ〜」
翌日、アカデミーの校庭のベンチでお弁当を広げているイルカの元にサクラが声をかけてきた。
サクラも今では立派な火影様の弟子。
「情報?」
「カカシ先生のことよ。うふふ」
イルカは身を乗り出した。
(ゴクリ)
これは何としても知りたい。
「サクラ、先生からかうなよ、それにどーしてカカシ先生の事なんて、先生には関係ないだろう?」
言葉では否定してみせる。
「残念ね〜・・・いいわ情報はヤマト隊長に教えるから」
「駄目!!」
イルカは所詮、正直者だ。
ヤマトはカカシの暗部時代からの後輩で、強力なイルカのライバルなのだ。
「お礼はお団子でいいわ〜」
「了解、お団子にお汁粉もつけるから」
サクラの話では、
それは、あのはたけカカシ先生は最近ドラックストアーでメンズ化粧品を購入したり、メンズエステに通っているという衝撃的なものだった。
「なんで、男のカカシ先生が」
「まあ、イルカ先生はそういうのにぶいから興味ないかもね」
”にぶいだって!”
そこまで言うなよ。
失礼な!。
団子屋で二人はお団子を食べたアカデミーの帰り。
サクラからカカシ先生のことを色々聞きたかった。
「エステで美肌なんて信じらんない」
「そおね、でもサイなんかもお化粧とか興味あるのよ。最近はそおいう男子が多いのね」
「ふう〜ん」
サクラから結局聞き出せたのは、
秋刀魚が好きで野菜も好きで趣味はエッチな読書だというプロフイールと同じものだった。
「なあ、カカシ先生の好みのタイプって知ってる?」
「さあ〜エロ本は何時も見ているけど、女性の前ではしらっとしているし、奥手なのかもね」
「奥手かあ〜サクラもっと団子食べなよ〜」
「先生、太るわよ」
「どんな人が好きか調べてくれないか?」
「了解、イルカ先生、くすっ」
「なに?その笑いは」
「イルカ先生って積極的なのね」
サクラは意味ありな言葉を残して去っていった。
★後編に続く
すみません2回に分かれてしまいました。
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禁止
「禁止されてしまったんです」
ある夜、虚ろな瞳でカカシの恋人が言った。
先月の健康診断の結果イルカは少し胃腸を痛めていた。
軽い胃炎なのだが、
少しだけ食生活に注意するよう医師の指示を受けた。
「お薬は頂きましたか?」
「はい、ストレス的な原因もあるみたいで、当分は消化のいいもの、油をさけて甘いものやアルコール刺激の強いコーヒーなども駄目です」
”ううう”
甘いものにアルコール油もの。
「全部好きなものですね」
「ええ、でも大丈夫です当分我慢します」
イルカは夕飯を出してきた。
大根の煮つけと焼き魚、カカシ的には好ましいものだが、イルカには物足りないものだ。
そんな事があったこともったのが先月の初めでそれ以来イルカは元気を失くしていた。
そろそろ季節も夏にむかい気持ちのよい青空。
二人は久しぶりに昼の木ノ葉の街を散歩した。
「喉かわきましたね」
「ええ、カラカラ」
二人はコーヒーショップに入った。
「俺、アイスコーヒー」
「じゃあ、俺もアイス、あっ、」
イルカはコーヒーをやめていた。
「温かいハーブティーを」
何だか少し可哀相だ。
でも食生活のおかげでこのところは胃腸もよくなってきた。
やがてポットに入ったハーブティと氷がシャリシャリのアイスコーヒーが運ばれてきた。
何ともいえないいい香りだ。
「ごくん」
イルカの視線はアイスコーヒーにくぎずけだった。
(しまった)
カカシもお茶にしておけばよかった。
食べ物の恨みは怖いから(特にイルカ先生は)
そう思いながら一口ストローでコーヒーを飲む。
ほろ苦くて冷たくていい気持ち。
「知ってます。コーヒーの香りってリラックス効果があるそうですよ」
「そうですか、でもこのお茶も身体にいいんです」
イルカはカモミールを注文していた。
「これ眠くなるそうです」
「へえ〜」
色々あるんですね。
「カカシ先生、ねえ〜一口、一口だけでいいんです、それ飲ませて」
やはりイルカの目にはアイスコーヒーは魅惑てきすぎた。
「仕方ない一口ですよ」
カカシはイルカにコップを差し出した。
”じゅる、じゅるじゅるじゅるるるるうううう”
イルカはそれをいっきに飲み干した。
「イ、イルカ先生!?」
油断も隙もない。
「駄目です、ああ〜〜ああ〜全部飲んじゃった」
「いいでしょ、お酒も甘いものも全部、全部我慢しているんですから」
考えてみればイルカには厳しい話だ。
カカシは美味しいアイスコーヒーを飲みそこねた。
数日後。
イルカ先生は病院で胃腸が正常に戻ったことや食生活の改善を医師から褒められて帰ってきた。
イルカは嬉しくて早速その足で「一楽」に走ったらしい。
「一楽」もずっと我慢していたのだ。
「それにしてもこの間のアイスコーヒー美味しかったです」
「ああ、この前のね」
俺が飲みそこねたあれだ。
「駄目って言われると余計に欲しくなります」
”そんなもんですよ”
カカシは笑った。
この時は他人事だから。
夕食後、カカシは胃がもたれてきた。
「カカシ先生も少し自粛してください、まずお酒その次ぎにお酒飲みすぎは毒です。後、夜のほうもです」
イルカは勝ち誇ったように笑った。
再び何時かのコーヒーショップ。
現在ではイルカがアイスコーヒーを注文してカカシがハーブティ。
おかしなことだが、
何でもほどほどにしないとね。
ただ夜の生活だけは加減出来ないけど。
「ちょっとくらいいいでしょう、ねえ〜イルカ先生」
「駄目です、駄目駄目」
今夜もつれないイルカにカカシは迫った。
駄目って言われると余計に・・・・。
090427
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帰らざる夏の日に 仔カカイル
カカシ君は今年5歳になる天才忍者。
彼にはお父さんにも大好きなイルカちゃんにも言えない秘密がありました。
それは一人物思いにふけることです。
それを妄想というのだというのを知ったのはカカシ君が大人になってからです。
5歳の彼は何時しか13歳にまで成長していました。
しかし、大切なお父さんが亡くなってしまったり、カカシ君には酷なことが続きました。
それを影から支えていたのはイルカという可愛い人でした。
「カカシ大丈夫」
イルカも成長しました。
二人は子供の頃からずっと仲良しでした。
それだけは今も変らないのです。
任務から帰ったカカシの瞳をみて一瞬、イルカは言葉を失いました。
(瞳が片方違う)
いったい今回の任務で何がカカシに起きたのでしょう。
「オビトが死んだ」
自宅に帰りイルカにそれだけ一言いってカカシは横になってしまいました。
オビトさんは、カカシの仲間です。
あのエリートのうちは一族出身なのに、マヌケな奴とカカシはイルカに話すのですが、
カカシは何時もオビトさんやリンさん、ミナト先生の話をイルカに楽しそうに話してくれました。
その大切な仲間を失ったのです。
(どうしょう)
大切な人を失った人に、
かける言葉などないんです。
今日はとにかくそっと一人にしてあげよう。
でも、それでもカカシが悲しむ姿はイルカには耐えられなかった。
「カカシ、スープ作ったから、これ飲んで、少しでも口に入れて」
「ありがと」
カカシの最愛の父、サクモおじさんの事件から、カカシは少しだけ変ってしまいました。
それでも、イルカの前だけは素直な顔を見せてくれます。
(あの時も俺は何もしてあげられなかった)
ただ泣くことしか出来なかった俺と父ちゃん。
イルカの父は一時、サクモさんとお付き合いをしたこともありました。
もう、昔の話ですが・・・・。
ぐるぐると忙しく過去がイルカの中を走りぬけていく。
「じゃあ、今夜は帰るから」
イルカは鞄を持った。
「まってよ」
それをカカシが引きとめました。
「今夜は一人にしないでくれ、イルカ」
「うん、わかった」
その晩、二人は初めて、少しだけ触れるようなキスをしました。
初めてのキスの味はほろ苦かった。
「もう、何年たつかな?」
「え?」
イルカは随分大人になった。
大きくて明るい瞳だけは出逢った頃と全く変らない。
カカシが大好きなイルカちゃん。
「初めてイルカと逢った夏の日に帰れたらいいのに。・・・・昨夜ずっと創造していたんだ」
「そうだね。あの頃は毎日キラキラしていたね」
柔らかくイルカは微笑んだ。
カカシは思った。
きっと何時かは俺もオビトのようにイルカの前からいなくなってしまう日が来るかも知れない。
でも、それまでは力一杯イルカのことを守りたい。
二人は朝っぱらの公園に出かけた。
ブランコに乗る。
この公園は子供の頃二人でよく遊んだ公園です。
カカシはぼんやり明日を見つめた。
俺は、変る。
そして、もっと、もっと強い忍になる。
オビトのぶんまで、
「ああ〜お腹減った、カカシラーメン行こう」
イルカはぱっと笑った。
まるで花が咲いたように。
出来るなら、今ここで、君を思い切り抱きしめたかった。
でも、まだ早い、俺は所詮13歳。
「ラーメンいこう」
「うん」
イルカは手をさしのべた。
カカシはその手を強く、つよく、握りしめた。
”俺には明日=イルカがある”
カカシはふと立ち止まった。
「どうしたの?」
「ううん、俺も腹減ってきた。・・・・行こう、イルカ」
ずっと一緒に、
ずっと共に、
イルカとこの先どこまで行けるかは、
わからないけど・・・・・。
090809.
一部内容にあやまりがあった事をお詫びと訂正させていただきます。
申し訳ありませんでした。
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ランチタイムの悲劇 後編
”ソワソワ”
イルカは気がつくと壁の時計ばかり見ていた。
(カカシ先生はどうしただろう?)
朝、頑張って作ったベーグル弁当。
愛する人の為なら、イルカは料理本と日々戦っていた。
この日は受付はすいていた。
暇すぎるのも、困る。
(まだ3時だ)
マグカップにお茶をもらい席に着く、
ゆっくりと時が過ぎていく・・・。
とんだ一日だった。
折角のイルカの手作り弁当も結局は食べられずサラダと皆から貰ったもので腹を満たした。
カカシはテンションが落ちていた。
でもその理由はイルカには話せない。
彼を悲しませたくないから。
一日かけた話合いも終わり呑み会に誘われたが断りそそくさと逃げてきた。
ガイから貰った生肉のせいか少し腹の調子が悪い。
カカシは洋菓子屋に立ち寄る。
ケーキを買った。
それはお弁当を食べそこねた罪の意識もあったから。
「なあ〜イルカ〜頼むよお〜」
「ええ?でもお〜」
定時、帰ろうとしていたイルカをライドウが呼びとめた。
「ゲンマが五月蝿くてさ、俺もお前の愛のこもったお弁当が食べたいんだ、だって、・・・だいたい俺がそんなの作れないのに」
「断ればいいだろう?」
早く帰りたい。
「だから、一度でいいんだ。俺のかわりにゲンマに手作り弁当作ってくれないか?」
そう、ライドウが作ったことにしてイルカが作る。
「お礼は高くつくよ」
イルカは言った。
「了解。一楽で食べ放題」
まあ〜それならいいか。
イルカは安易にライドウの頼みをきいてしまった。
弁当は来週の月曜日だそうだ。
スタスタ。
イルカは急ぐ、カカシから今日のお弁当の出来の報告がききたかった。
「もう〜それは最高でした。皆に嫉妬されて大変でしたよ」
イルカは満足そうに微笑む。
「またお願いします。次ぎは月曜に」
「はい」
あれ?その日ってライドウに頼まれた日だ。
まあ〜いいか。
カカシからのお土産のケーキを食べながら頭の中でメニューを考える。
翌日、カカシは上忍待合所でゲンマと会う。
不知火ゲンマは楊枝をくわえたクールな男だが、最近少し変だ。
「カカシさん、来週の任務楽しみですね」
紙コップのコーヒーを飲みながらゲンマは笑う。
「そう?でも大した任務じゃないけど」
イチャパラを読みながらカカシは答えた。
(ねむい)
(ねむい)
イルカ先生は目覚ましのベルをとめてベットか出た。
手早く着替え、エプロンをつけキッチンにはいる。
今日は「オムライス弁当」を作った。
二つの同じ容器に同じものを並べ二つ作った。
ついでに弁当を包んだバンダナも同じブルーのバンダナ。
そしてそっくり双子のような弁当が出来上がった。
ライドウがイルカの部屋を訪ねてきた。
そしてもう一つは自分で持ってカカシ先生に届けた。
「わあ〜楽しみです」
大変な任務でも、これがあれば大丈夫。
カカシは張り切って出かけた。
今回の任務は木ノ葉に訪れた他里のVIPの警護。
見るからに偉そうな着物の老人が3人。
カカシも同行したゲンマもそれにしては明るい顔をしていた。
そして休憩時間。
二人は人の来ない部屋に入った。
並んですわり弁当をとることにした。
「え?」
ゲンマの弁当はカカシの弁当とそっくり同じ布で包まれていた。
(偶然だよなあ)
よくあるバンダナ。
「カカシさん、今日は負けません」
自信満々ゲンマが言う。
「フッ」
カカシは笑った。
どうせ、作ったのはあの並足ライドウ。
どんな弁当がでてくるやら。
二人は同時に包みを開いて弁当箱の蓋をあけた。
「ぎょっ!!」
双子のような「オムライス弁当」
二人の間に気まずい空気がただよった。
作ったのはイルカ先生だ。でもどうしてそれをゲンマが?
(ぐるぐるぐる)
カカシは混乱した。
その後イルカ先生から事情は訊いたものの、しっくりこない。
「ごめんなさいカカシ先生、もう他の人にお弁当は作りません」
黙ってビールを呑むカカシにイルカは詫びた。
「じゃあ〜約束です」
二人は指きりをした。
まあ、そんな訳でカカシとイルカの二人は甘く治まったのだが、
一方、ゲンマとライドウは大喧嘩になったそうだ。
恋人のお弁当くらいは自分で作りましょう。
090304. |
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