実はこの「マナー」と言うのが、こと釣りの世界では非常に難しい定義でして、トップページでも書きましたが、ターゲットや釣法、或いは地方によって常識の捕らえ方が違う為、一概に「こうしなきゃダメ!」って言い切る事が出来ないケースが多いのです。
ここでは私のメインである陸ッパリのクロダイ釣りをベースに、最低限のマナーと言う観点で書いていきたいと思います。
Act1)  まずはじめに
Act2)  釣り場に着くまで
Act3)  釣り場に着いてから〜その1〜
Act4)  釣り場に着いてから〜その2〜
Act5)  釣りを始めてから〜
Act6)  投げ釣りのマナー
Act7)  投げ釣りのマナー〜その2〜
Act8)  磯釣りのマナー
Act9)  釣り終わってから
Act10) 最後に



まずはじめに

当然の事ながら海には「立ち入り禁止場所」が数多く存在します。
これは、一つには釣りという、ともすれば危険が伴う遊びに対して、安全管理上の問題が発生するという理由が挙げられますが、もう一方で心無い釣り人のマナー欠如に対する地元住民や土地管理者としての当然の措置も挙げられます。
このあたりは別途「環境問題編」で触れる事とします。
いずれにしてもこの「立ち入り禁止」と言うのが非常に厄介でして、厳密に言ってしまえば、例えば私がHGにしている横浜市を例にあげると、あれだけ広大な海岸線を持ちながら、殆ど釣りをするスペースが無くなってしまいます。
私がここで言いたいのは、決して「立ち入り禁止場所」に侵入した釣りを推奨する訳ではありませんが、少なくとも地元住民や土地管理者との間で軋轢を起すような行為は謹んでほしいという事です。
この考え方をベースにして以下を読んでいただくと非常に助かります。

釣り場に着くまで

釣りのマナーは釣り場についてから・・・と思っている方が多くありませんか?
実は釣り場に向かう途中でも、気づかないうちに他人に迷惑をかけてるケースをよく見かけます。

代表的なのが駐車スペースの問題・・・。
釣り場にできるだけ近い所に車を置きたいという気持ちはよくわかりますが、その為に明らかに迷惑駐車をしている車があります。。
当然の事ながら住民の生活や通行、付近での作業等に支障が出て、この人たちに多大な迷惑がかかります。
と同時に、この人達の通報により、付近のできるだけ迷惑にならないように駐車している車も一斉検挙される事態に発展し、さらにこういった事態が続けば釣り場完全閉鎖にも繋がりかねません。
一時の配慮不足が、結果的に自分たちの首をしめてしまう事になるのです。

また、バイクや自転車で長い竿ケース等を真横に突き出して走っているのを時々見かけます。
本人は「全然問題なし!」と思っているかもしれませんが、周りを走っている車から見ると気が気ではありません。
実際に歩行者に接触しながら何気なく走り去っていく釣り人を目撃した事があります。
二輪車で釣り場に行く場合は、予め釣行仕様に工夫を凝らしておく事が必要だと思います。
確かそんなアイデアを掲載しているサイトがあったような気がしますので、探しておきます。

釣り場に向かう途中で釣具屋さんで仕掛けやエサなどを購入していく方も多いと思います。
釣りエサはその場で開けられないとしても、仕掛け等のパッケージはすぐに開封しても問題は無い筈です。
釣り場に余計なゴミを極力持っていかないように工夫するのも釣り人のマナーの一つだと思います。

先ほどの「立ち入り禁止」場所でよく見かける光景ですが、釣り人の侵入を防ぐ為に施したフェンス等を、無理にこじ開けたり、大きく破壊している人がいるようです。
土地の管理者が何故こうまでして釣り人の侵入を拒むのか、よく考えてみましょう。
この人達の心情を考えた時、傍若無人な不法侵入者の採っている行動は、更にその心情を悪化させて態度を硬化させる事はあっても、将来に渡ってこの釣り場が解放される希望は永遠に無いでしょう。

釣り場についてから〜その1〜

ここから先はターゲットの魚種や釣法によって見解が変わってくる話ですので、はじめに私がメインにしているクロダイのウキフカセ釣りでの話を例にしてみます。

まずクロダイという魚を考えた時、非常に神経質な性格をしているという点が挙げられます。
クロダイ師と呼ばれる人の中には、スパイクで歩く足音さえ気にする方も多いです。
夜釣りで海に向かってライトをあてるなんてのはとんでもない行為なのです。
でも逆に、例えばイカ釣り師などは集魚灯を使ってベイトの小魚を集める方もいます。
この二人が同じ釣り場に立った時、そこで起こる問題は容易に想像できます。
釣法の違いという高レベルの話でなくとも、特に初心者の方がエサをハリに刺したり、仕掛けを直したりする際に、海に向かって作業している場面によく遭遇します。
本人は手元の細かい作業に集中してますから、自分のヘッドライトが海面を煌煌と照らしているなんてのに気付くヒマはありません。
夜釣りで明かりが必要な手元の作業をする時は、海と反対方向を向いて行うのがセオリーと考えて下さい。

次にウキフカセ釣りという観点から見ると、この釣りは仕掛けを潮に乗せて、打ち込むコマセと同調させながら、寄せた魚を釣る釣法です。
当然前面の海は広ければ広いほど釣り易くなります。
竿を振り出そうとすると当たってしまうくらい真横に入られるのは、この釣りを邪魔する事になります。
又、ピンポイントを集中的に攻めるダンゴ釣り師に後から隣に入られると、せっかく作ったコマセの流れを阻害されてしまいます。
さらにこの釣りは5m以上の長い竿を、潮や風の状態によって振り込む場所を変えていきます。
真横または真後ろに投げ竿を立てられるとすぐにラインが祭ってしまいます。
これは投げ釣り師同士でも同じだと思います。
ある程度間隔を置かなければ、ピンポイントに正確にキャストできるベテランならともかく、弾道に自信の無い初心者が後から入って始終お祭り騒ぎを起してる・・・なんて光景もよく見ます。
(実際私もよくやりました。)

要するに先に入っている釣り人の邪魔をしないように配慮するのが最大のマナーなのです。
これにはベテランも初心者も関係ありません。
よく釣り場で遭遇するのが、いわゆる割り込みオヤジです。
まるで自分の家の庭に入ってくるかのように平然とねじ込んでくる姿には嗚咽さえ感じます。
そうまでしてその場所に固執するという事は、たまたまそこが彼のホームグラウンドで、しかもラッキーポイントだったのかもしれません。
確かに「自分のポイント」と思っている所に見知らぬ先客がいるというのは面白くないかもしれません。
特にそこが何十年も通い慣れている釣り場だったらなおさらでしょう。
しかし海は個人の所有物ではありません。
先客はこの場所に入る為に朝早くから苦労して釣り座を確保しているはずです。
そんな苦労をせず、後から来て、しかも先客の荷物を押しのけてでもそこに入り込もうとする行為は是非止めてもらいたいものです。

特に初心者の方だと、周りにいる釣り人が何を狙っていて、どんな行為がその人の釣りの妨げになるのか解らなくて当たり前です。
そんなときは一声かけてみましょう。
具体的にどんな事に注意したらいいのか素直に聞いてみると、結構受け答えしてくれるものです。
ついでに釣り場の状況なども聞けるほど仲良くなれれば、その日の釣りがより楽しくなるのは言うまでもありません。
上級者の方も、先客が初心者風だとつい軽く見てしまいがちですが、こういった考え方も改めましょう。
どんなにベテランでも絶対に初心者だった頃がある筈ですから。

釣り場についてから〜その2〜

この項目は「環境問題編」と重複する内容になります。
いわゆる釣り人の出すゴミの問題です。
釣り場ではさまざまなゴミが出ます。
仕掛けの切れ端、餌のパッケージ、ジュースの空き缶や弁当のパッケージ・・・等々です。
釣り場では必ず数種類のゴミ袋を事前に用意しましょう。
自治体によって分別収集が義務付けられている筈ですから、できるだけその方針に添った形でゴミを分別したいものです。
タバコの吸殻もきちんと携帯灰皿を用意して別に処理しましょう。
勿論、ゴミを放置したり、ましてや海に投げ捨てるなんてのは論外です。
しかしこの明らかに非道徳的な行為が平然と行われている事実があります。
これは「環境問題編」で詳しく語る事とします。

釣りを始めてから

釣りというのは海という大自然が相手となります。
それ故不測の事態というのも多々あります。
よく釣り場で無謀な行為をしている釣り人を見かけますが、これも考え方を改めてほしいものです。
無謀な行為をして事故に遭うのは勝手ですが、その事故を処理しなければならない人、その事故が起こった為に釣り場を追われ迷惑を受ける人、そして何よりもその事故の為に悲しむ人がいる事を認識しましょう。
決して大自然を侮ってはいけません。
自然と共に遊ぶという事は、その自然の懐に入り込む事だと思うのです。

海はアウトドアです。
当然の事ながら気象条件によって環境が大きく変化する遊び場です。
突風が吹いてゴミや仕掛けが飛んでいってしまう・・・という事は十分に考えられる事です。
釣り場の荷物は常に万全の状態にしておきましょう。

これはマナーと言えるかどうか解りませんが、時々釣り場ですごく悲しい光景を目にします。
ターゲットと違う魚、いわゆる外道が釣れてしまい、本命が釣れない腹立たしさをこの外道にぶつけるかの如く、ハリをはずした魚を思いっきり地面に叩きつけている人がいるのです。
釣りの目的っていろいろあるんだなぁ、と考えさせられますが、少なくともこういう光景を目にしてしまうとその日1日が陰鬱な気分になってしまいます。
理由はどうあれ、遊んでくれている魚にもう少し愛情を注いでもいいんじゃないかと、個人的には思っています。
外道と言えども一つの命、自分に必要の無い魚なら静かに海に戻してあげたいものです。

又、本命と言ってもあまり小さな魚を持ち帰ったり、そのまま放置するのはどうかと思います。
場所によっては自治体や有志の団体が魚の稚魚を放流しています。
本命が釣れた嬉しさは理解できますが、水産資源の保護という観点も頭の片隅に入れておいてください。

逆に捕獲禁止や毒性注意などという魚を特定しているエリアもあります。
釣り場そのものを守る為に、コマセ禁止や、付け餌を制限している釣り場もあります。
初めて行く釣り場は、そのエリアの特徴を事前によく研究していく事も大切でしょう。

投げ釣りのマナー

何度も言うようですが、私はウキフカセ釣りがメインなのでその他の釣法についてはあまり詳しくありません。
ただ、釣り場で見ていてあまりにも危険と思われる投げ釣りのマナーについて、少し触れてみたいと思います。

投げ釣りというのは大きな錘を付けた仕掛けを、思いっきり遠投する事が多い釣りです。
当然の事ながら、錘の先にはハリが付いています。
キャストする時に後ろに人がいるのに気付かなかったら・・・。
思わぬ大事故に繋がりかねません。
仕掛けを投入する時は必ず後ろの状況に十分注意しましょう。

又、糸の結び目が甘いとキャスト時に仕掛けが外れて思わぬ方向に飛んでいってしまう事があります。
特に思いっきりキャストする方は糸の結び目やライン・ハリスの状況に常に気を配って下さい。

狙ったポイントに正確にキャストする技術を持った人でも、投入の時にこのラインが切れてしまったらどうなるでしょうか?
聞くところによると、ラインが切れた時に、仕掛けは通常の倍近くの飛距離で飛んでいくそうです。
前方にボートや船がいたら、たとえそれが通常のキャストでは届かない距離であったとしても、このあたりを十分考慮して極端な遠投は避けましょう。
時としてオモリは人を殺める凶器に変身してしまう事を認識してください。

前面にテトラの入っている堤防で投げ釣りをする時は、テトラ際にウキ釣りや落とし込み釣りをしている方がいる可能性があります。
入る前に必ず確認しましょう。
逆に、後から投げ竿に気付かずにテトラに入ってくる釣り師もいる筈です。
自分がそこで投げ竿を出している事を相手が認識できるように竿を出して下さい。
又、それでも気付かずに入ってくる釣り師がいたら、勇気を出して注意をして下さい。
事は命に関わる問題ですから!

潮の流れや速さ、風の状況をを考慮しない仕掛けでは、隣の人の竿と祭ってしまう事がよくあります。
先着の釣り人の迷惑にならない様十分注意しましょう。
初心者の方は、海の状況や仕掛けについて先着の釣り人に教えを乞うのもいいかもしれません。
しかしながらそこまで配慮しても祭ってしまう事も間々あります。
その時は誠意を持ってお詫びしましょう。
祭られた人も気持ちよく許してあげてほしいものです。


投げ釣りのマナー〜その2〜

伊豆Mid Night Casters」の管理人様から投げ釣りのマナーについてご協力頂きました。
以下、常識的に見えても意外に見落としてしまいそうな投げ釣りのマナーについてポイントを整理してあります。

[全体]
・餌は餌箱を持って店に買いに行く。
・ルアー、浮き釣りとは距離をおく。
・前、右横(左利きの人は左横)、後ろに人を立たせない。
・混み合った釣り場では竿数を減らす。
・混み合った釣り場では必ず糸ふけは取る。
・堤防の先端等、人気の場所では皆で三脚を共有して、仕掛けが飛んだ方角にある三脚に竿を置くと狭い場所でも快適に釣りが出来る。
・流されにくい仕掛けを使う。
・漁師の作業場で釣りをしない。
・埠頭では船が入ってきたら速やかに移動。
・係留してある漁船の横で釣りをしない。
・電線に仕掛けを絡めない。跨いでしまったときは無理に引っ張らず、道糸を切って仕掛けを下に落とす。
・イケス際を狙わない。
・仕掛けに絡んできた海草を陸上に放置しない。
・仕掛け回収時は周囲の人の竿の動きに注意し、巻き上げの動きにあわせて穂先が動くようであれば速やかにその人の向こうに行って仕掛けを回収する。それでも絡んでいるようであれば、その人に協力をあおぎ、その絡んだ仕掛けを回収してもらう。

[キス引き釣り等手持ちの釣り]
・西湘海岸等、混み合った砂浜では優先権を主張しない。
・仕掛けが跨いだと思われるときは、その人が仕掛けを回収するまで待つか、速やかにその人の向こうに行って仕掛けを回収する。

[夜釣り]
・民家の付近で騒がない。
・混んだ釣り場では鈴よりもケミホタルをつける(お祭りがわかりやすい)。
・刺し網ごしに釣りをしない(竿下にある場合はOK)。
・ライトを海に向けない。強力ライトはもってのほか。
・堤防でランタンを使わない。
・駐車場ではすぐに車のヘッドライトを消す。
・直火でたき火をしない。堤防の上、民家の近く、燃えやすいものの近くではたき火そのものが厳禁。


磯釣りのマナー

宗像 沖ノ島」のHPより、沖磯釣行のマナーを抜粋させて頂きました。
地域や船宿等によって多少の違いがあるかもしれませんが、参考にして下さい。
  1. 磯ではライフジャケット・磯靴の着用。
  2. 磯の上のゴミの持ち帰りと清掃。捨てれば誰かが拾うなどとは絶対思ってはいけません。ゴミは必ず持ち帰りましょう!
  3. 船長の指示に必ず従ってください。(安全を無視した要求はお断りします)
  4. 海が時化てきたら、すぐに瀬変わりが出来る準備をしておくこと。
  5. 眠たい時は無理な釣りをしないこと。(少し休憩を取りましょう)
  6. 磯上がりの際や回収の際は荷物を渡す手伝いをしましょう。
  7. 瀬回り、磯上がりと回収の最中は速やかに仕掛けを巻き上げること。
  8. 自船と他船関係無く、磯の上では仲良く釣りをすること。(他の釣り客の迷惑になるような行為は慎んでください)
  9. 帰りの船内では手袋・ヒップガードは着用しない。

釣り終わってから

釣り終わって帰るときは、来た時よりもきれいに!という事を心がけたいものです。
自分のゴミじゃないよ!というような狭い心は捨てて、自分が遊んだ場所にあるゴミは進んで処理しましょう。
又、飛散したコマセなどで汚れた釣り座は、必ず海水を流してきれいにしておきましょう。

釣り場にゴミ箱があればそこへゴミを捨てるのもいいですが、できるだけ自分のゴミは持ち帰るようにしたいものです。
前項で話した分別収集に協力する為でもあります。
せめてゴミ箱がいっぱいになっていたら、無理に押し込んだり、周りに放置したりせずに必ず持ち帰るようにして下さい。
又、ハリのついた仕掛けを処理する際は特に注意しましょう。
ゴミ収集業者の方が思わぬ怪我をする場合があるそうです。

帰りが夜中になる場合などは特に周りへの配慮を忘れないようにしましょう。
特に本命が釣れて舞い上がっていると、そういう気配りを忘れてしまいがちです。
私たちにとっては遊び場でも、そこに生活する人々がいるという事を常に頭の中に入れておきましょう。

最後に

いろいろと書いてきましたが、結局はマナーというのは「他人の気持ちになる」と言う事だと思います。
休日に大好きな釣りに行く!
最初から最後まで気持ちよく過ごしたいものです。
いつもより少しだけ気持ちに余裕を持てれば、そんなに苦にならない事なのではないでしょうか。

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